「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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来年度23年度 東京都中央区 予算案に対する私の考え方

2011-03-18 05:21:03 | マニフェスト2011参考資料
 3月17日中央区議会第一回定例会が閉会しました。


 この会期中には、予算特別委員会も開催され、委員として出席しました。
 私は、来年度予算案に対して、以下の考え方をもっています。

****来年度23年度中央区予算案に対するわたしの考え方****
 
 このたびの東日本関東大震災において多くの方が犠牲になられました。心から哀悼の意を表します。被害にあわれました皆様にはお見舞い申し上げますとともに、人命救助活動、復興事業が、迅速になされますことをお祈り申し上げます。

 近年、核家族化となり家族機能が低下、また、都市化にともなって近隣関係の希薄化、地域コミュニティの崩壊が言われて久しくあります。少子高齢化の進行とあいまって、その状況は、年々深刻さを増しています。昨今、「無縁社会」や、「孤族」なる言葉まで誕生しています。
 ストレスフルな生活の緩衝の場、個々の安全基地が本来、家庭でした。家族の絆・つながりが希薄になり、家庭を補完し支えるべき地域からも孤立し、ストレスの増加は、家庭力を維持できないどころか、その不安定な精神の矛先は子どもに向かっています。子どもの観点からは、「小児虐待」へとつながり、同様に高齢者の観点からは、「行方不明高齢者」、「孤独死」などへと問題が深刻化しています。
 一方、地域社会においても、新旧住民の接点の不足、住民同士の連帯感の希薄化、地域を支える担い手の高齢化や、なり手不足など、地域力の低下が叫ばれています。
 これら地域諸課題解決に向けたなお一層の取り組み方が求められている中、そして、リーマンショックから日本経済の立ち直りの兆しがわずかながらに見えている中、来年度、平成23年度予算案が提案されました。

 来年度一般会計704億5319万4千円で前年度当初予算678億2407万3千円に比べ26億2912万1千円の増となっています。まだまだ厳しい経済状況での、必要な行政需要に応えるためのやむを得ない増加であったと認識致します。
 歳入では、景気の低迷に伴う所得の減少等により特別区民税の18億1840万5千円前年度比9.4%の大幅な減が見込まれますが、基金からの繰り入れ及び特別区債前年度比172.8%増の発行などにより対応がなされました。歳出削減や予算執行の効率化の姿勢をさらに持つことと、「広告収入」や「財産価格審議会を入れつつ区外区有地の有効活用すること」そして「1%NPO・ボランティア支援制度導入」など、財源獲得のさらなるご努力を期待いたします。
 歳出では、景気回復に向けた「積極的な160億6000万円の支出」や「地域通貨の研究」、
 環境における「エコタウン構想の策定と実施」や「新たな中央区の森環境ふれあい村構想の推進」、「中央区子ども環境サミットの開催」、
 医療福祉における「在宅療養支援充実のための取り組み」、「予防接種助成」や「健康診査の充実」、
 子育て支援における「幼保一元化施設も併せ持つ晴海児童館建設工事着手」、「待機児ゼロに向けた取り組み」、「認証保育所保育料の差額助成の拡充」、「子どもショートステイの区内協力家庭においての実施」、
 障がい者支援における「障害者支援手帳の作成」など、総合的な施策の推進を評価するとともにその成果に期待をいたすところです。
 
 昨年度の予算特別委員会でも述ベたところがありますが、本区には、中長期的課題として、
1、 新しい施設の整備
2、 施設の更新、まちの更新、そして美しいまちづくり
3、 築地市場の移転問題
4、 地方分権の確立
そして
5、教育改革
があります。
 

1、 新しい施設の整備では、
 労働スクウェア跡地を活用した京橋図書館の移転、生涯学習拠点の整備や、京橋地区の再開発に伴った環境館や観光館の整備が行われるところですが、幅広く意見を入れた施設整備とその運営に置いて恊働の仕組みもと取り入れた区民参加の拡充を期待致します。
 また、京橋図書館が移ったあとの本庁舎部分には恊働ステーションを入れるなどの有効活用もまた期待致します。


2、 施設の更新、まちの更新、そして美しいまちづくりでは、
 復興小学校の改築・改修、歌舞伎座の建て替えなど文化教育施設の更新や、防災上課題の多い地域のまちの更新があります。

 これら課題では、さらにもう一歩住民の側に踏み込んだ形での対応がもとめられる施策もあります。
 復興小学校改築問題では、地域のシンボル的な存在となり、日本建築学会をはじめ建築の専門家の皆様及び中央区文化財保護審議会委員から重要文化財相当の価値があると高く評価をされている明石小学校及び中央小学校が、多くの保存・活用、リノベーションを望む声があるにもかかわらず、残念ながら取り壊しが昨年なされてしまいました。
 そのもともとの堅牢なつくりゆえ、耐震性・耐久性の面から、現存のままでも子どもたちの安全が確保されている以上は、安直な解体は慎み、賛否両論を、子どもたちの目線を忘れることなく十分検討したうえで、今後の教育の需要に合わせた更新を図っていくべきでありました。  
 明石小、中央小の轍を踏むことなく、今後取り壊しが計画される明正小や残された現役の復興小学校の今後の更新のあり方を考えていかねばならないところです。
 明正小学校の更新のありかたの検討では、リノベーション案を含め検討するということであり、幅広く開かれ場での検討に期待をいたすところです。

 まちづくりでもまた、住民の皆様の側に立って行われていく必要があります。
 開発計画が出されるたびに、周辺地域の住民の皆様から「計画ありき」で進められることの指摘がなされます。まちづくり協議会を開かれたものとしていくことや、計画の早い段階において周辺住民との合意形成に務められることを期待致します。
 さらに景観行政団体となり、住民参加のもと住民が主役となり、まちの美観の良好な景観形成の方向性を決めていくこともまちづくりのひとつの手法であると考えます。


3、中央区の最大の重要課題である築地市場の移転問題では、3月11日の都議会に置いて、豊洲移転に関連した予算が成立した段階です。
 移転候補地である豊洲6丁目東京ガス工場跡地は、日本最大規模の土壌汚染であり、生鮮食料品を扱う市場を開場するには適切な場所とはいえません。そもそも、農林水産省は、豊洲地区への移転について、「安全について納得できなければ認可しない」方針であり、改正土壌汚染対策法上の土壌汚染指定区域とされる場所への新市場開設認可がなされることはないと考えられます。
 築地市場は、中央区にとっては、二兆円規模の経済効果をもたらし、地域商業に深く関わる中での移転は、売り上げや消費の減少で、区内商店街に大きな打撃を与えることになります。 
 本予算特別委員会でも改めて確認をしたところでありますが、築地市場を現在地で再整備させ、築地の食の文化、食の安全、食のブランドを守って行くことこそ、中央区のとるべき施策の方向性であり、区議会では、平成11年9月30日に石原都知事宛に提出した「築地市場の現在地での再整備を求める意見書」を総意として堅持しています。中央区及び区議会が一体となって、「築地市場を守る、そして、築地を守る」ために全力をつくすことに期待致します。
 あわせて、移転候補地豊洲六丁目東京ガス工場跡地の土壌汚染に関する都民、消費者とのリスクコミュニケーションをする場を東京都に求めます。

4、地方分権の確立では、特区制度改革の取り組みの進展と、恊働という新しい形の公共の広がり及びコミュニティや町会自治会を活性化する取り組みが功を奏する形で住民自治が確立された結果、到達することを期待しています。

5、教育改革では、中央区でも、幼保一元化の認定こども園が開始されましたが、幼稚園、保育園からの幼児教育を、どの子ども達もきちんと受けられる環境を整備していかねばならないと思います。また、少人数学級の実現、小中の一貫したカリキュラムの取り組み、メディアリテラシー教育も含めたICT教育環境整備、先生方が教育に力を注ぎ込めるように事務局体制の強化、先生方の指導力を向上する様々な制度や機会の提供など多くの教育に関わる取り組みが必要です。

 述べて参りました、中央区における「復興小学校改築問題」や「再開発等まちづくりの問題」、そして東京都における「築地市場移転問題」これら問題の本質には、民主主義の大切なひとつひとつのプロセスがなされていないことが原因としてあるのではないかと思います。
 民主主義のプロセス、すなわち
1、 科学的な裏付けのもと政策をつくり、
2、 それを早い段階から情報公開し、
3、 議会、審議会で十分に議論し、
4、 少数意見を尊重しつつ、多数の合意形成で方針策定、
5、 施策を行った後の再評価、
そして
6、 施策の見直しをすること。
 いまいちど、この民主主義のプロセスが区政においても、都政においても、点検されなければならないと思います。また、施策の裏付けとなる住民のニーズを把握する手法として、「全区民アンケート」や「常設住民投票制度導入」も検討すべきと考えます。


 本来であれば、これら前提のもと予算を執行していくべきところでありましたが、予算特別委員会が佳境に入った3月11日午後2時46分、1000年に1度ともいうべき未曾有の大震災、マグニチュード9.0の東日本大震災と大津波が東北・関東地方を襲いました。日に日に犠牲者が増加し、同時に発生した原子力発電所事故と相まって日本最大の危機が訪れ、予断を許すことができない状況にあります。
 中央区では、同日午後3時10分、いち早く災害対策本部を立ち上げ、帰宅困難者避難所開設と、3月14日には救援物資の緊急輸送を開始した迅速な対応を高く評価致します。
 先行きが見えない状況ではありますが、日本経済の大幅な落ち込みが予測され、本年の予算の前提とするところが大きく揺らいだこととなります。経済の低迷に伴う税収減、国や都の予算配分の組み替えに伴う歳入への影響を鑑み、予算執行段階での事業再評価や大幅な見直しの必要性が考えられます。
 また、日本全体、国を挙げて取り組まずしてこの危機は乗り越えられないと考えられ、中央区をあげて被災地への人的支援、物的支援に全力をつくすための新たな予算の組み替えもまた求められるものと考えます。
 同時に余震によるマグニチュード6~7級の地震が続くことが考えられることから、私達中央区での備えと警戒も怠ってはならない状況です。

 東日本大震災から派生する様々な状況の変化に十分に対応するため、今後の補正予算による大幅な見直しが必要であることを指摘しつつ、平成23年度各会計予算案に賛成をいたします。
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