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憲法記念日。声を失った元市議小池公夫氏の闘いに心から敬意を表します。

2013-05-03 10:52:18 | シチズンシップ教育
 今朝の東京新聞は、ものすごく重要な問題を一面に掲載しています。

 特集記事『憲法と、』の第1回目、声失った市議小池公夫さんの闘いを掲載。

 岐阜県中津川市議会、市議一期目に咽頭がん手術で声帯を失い、市議二期目、市議会の一般質問を代読で行うことを求めたが、「本人の肉声が原則」「ほかに前例がない」などの理由で認めなかった。

 発言できない事態が続く中、岐阜県弁護士会が「議会の対応は表現の自由や参政権の侵害にあたる」とする人権救済勧告をした。
 議会側は、音声変換機能付きパソコンによる発言を提案したが、小池さんは、「声を失った障害者は意思伝達手段を選ぶ権利を選ぶ権利がある」と代読を求めた。

 市議28人と市に損害賠償を求め岐阜地裁に提訴。

 小池さんは、一度も一般質問できないまま、二期目を終え、引退。

 昨年2012年5月11日名古屋高裁は、「地方議員には表現の自由(憲法21条)および参政権の一態様として、議会などで発言する自由が保障されている」としたうえで、議会が発言の権利・自由を侵害したと認定した。
 2012年になされた最も重要な裁判判例のひとつと思います。

 ひとりの個人でも、行政、議会のおかしさに異議を言い、闘われた小池さんに心から敬意を表します。

 おかしなことを、屈すること無くおかしいと言って行くことは、とても大切だと思います。
 とてもたいへんなことだけど、でなければ、社会は変わりません。

 だれでも参加でき、傍聴でき、議会活動を知ることができる議会を、実現して行かねばなりません。
 


 名古屋高裁判決文全文→小池公夫さんのホームページhttp://www.geocities.jp/chocoball1018/よりご覧下さい。

****小池公夫さんのホームページ*****

 私は中津川市議会議員であった2002年(1期目の任期途中)に下咽頭ガンに冒され、声帯を失いました。そのため議会での発言を代読で行えるよう議会に要望しましたが、口頭が原則という理由で認められませんでした。そこで2004年8月には、議会活動の保障を求める陳情書が1万5千筆の署名とともに市議会議長に提出されました。また、2005年11月には岐阜県弁護士会人権擁護委員会から「議会事務局職員による代読」の勧告が出されましたが、「法的義務はない」などと市議会側はこれを無視。そして遂に2期の任期終了(2007年4月)まで、代読による一般質問が認められることはありませんでした。 
 この信じがたい議会の対応は、障害をもつ者に対する人権侵害であり、まさに 「いじめ」であると考えています。そこで、2006年12月に中津川市及び代読に反対をした市議会議員28名に対して損害賠償訴訟に踏み切り、2010年9月に被告:市に対し、参政権の侵害による賠償支払を命じる判決が言い渡されました。しかし、その内容については極めて不十分な点が多くみられた為控訴し、2012年5月、賠償増額の判決が下されました(二審)。
 この6年間、物心両面で支えてくださった全国の皆様に心より感謝申し上げますと共に今後ともよろしくお願い申し上げます。

****弁護団声明*************
声明

2012(平成24)年5月11日
代読裁判弁護団

1 本日、名古屋高等裁判所所民事第4部は、中津川市議会における発声障がいを持つ議 員へのいじめ損害賠償請求訴訟において、原判決を変更し、一審被告中津川市は一審原告 に対し300万円の慰謝料を払えとする一審原告勝訴の判決を言い渡した。

2 本件は、当時、中津川市議会議員であり発声障害を有する一審原告が、議会において、 自ら希望する、議会職員による代読発言の方法で一般質問することを求めたにもかかわ らず、中津川市議会がパソコンの使用以外の発言方法を認めないとして、2期目の4年 間、一審原告の一般質問を妨害し続け、結果、一審原告は、一度も一般質問をすること が出来なかったという事案である。 岐阜地方裁判所は、地方議会の自律権を広範に認めたうえ、障害ゆえに一審原告の参政
権が侵害された場合についてのみ審査・判断するとしたうえで、パソコンの使用を押しつ けたごく一時期について、参政権侵害を認め、中津川市に10万円の慰謝料の支払いを命 ずる一審原告の一部勝訴判決を下していた。

3 これに対して、本判決は、原告が求めてきた議員である前に人間であり、障害者が自 分のことを自分で決定するという点を否定した点では、重大な欠点を有している。原告 は、本判決を聞いて、「障害を持つ人が主権者として自分のことは自分で決め、障害を 持たない人と同じように生きていけるということを明確に判断してほしかった。障害を 持つ私の発言方法を、私の希望を一切聞くことなく多数の力で一方的に押しつけてきた 事実をおかしいと見ないのか。議員である前に障害を持つ人間です。」との思いを述べ ている。
ただ、本判決が、表現の自由、参政権という「議員として最も基本的、中核的な権利」 が侵害されたとして、一審被告中津川市に慰謝料300万円の支払い義務があることを 認定した。これは、原判決が、参政権侵害をみとめたにすぎないのに対し、本判決が表 現の自由、参政権の侵害を議会で発言することは、「議員として最も基本的、中核的な権 利であることからすれば、これにより、一審原告が多大な精神的苦痛を被ったことは明 らかというべきである」と原告が求めていた議会での発言を保障しなかったことを重大 な違法行為と認定判断したものであり、高く評価できる。
本判決が被告議員の行為が悪質であることについては、慰謝料額を10万円から30 0万円に引き上げたことにその評価が表れている。
しかし、他方、原告が求めていた障害補助手段決定の自由まで認めず、障害者の自己 決定権、平等権を正面から認めなかった点は非常に不十分である。その結果がパソコン による音声変換装置の使用を認めるに至った段階では議会の行為を違法と認めないとい う弱点につながっている。この点は、現在の日本の裁判所の遅れた現状を現したものと いわざるを得ない。
ただ、「発声障害者の場合、健常者に比べ、発言しうる方法が限定され、議員として議 会で発言する場合、発言方法の規制により、議会での発言の機会が奪われる結果となる おそれがより大きいため、そのような結果を招来しないよう、健常者である議員の発言 方法を制約する場合とは異なる配慮が必要となる」としている点は、障害者に対する配 慮を求めているものと評価でき、我が国において今後の障害者の権利を確立していくに あたり、評価すべき部分である。これを獲得できたのは、本事件に心を痛め、支援して くださった全国の方々のおかげといえる。

4 私たちは、一審被告らに対し、障害者への権利侵害を認識し、障害者の人権について の正しい理解を求めるとともに、一審被告中津川市が、本判決を真摯に受け止め、自ら の責任を認めて一審原告に謝罪し、正当な賠償金を支払うこと、そして、障害者の人権 に配慮した議会作りを行うことを強く要求するものである。
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