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裁判員になりうる私達が頭に入れるべき知識:「刑事裁判の流れ」刑事訴訟法291~3の三条文

2013-06-07 09:29:35 | シチズンシップ教育

 刑事裁判の大きな流れ。

 まず、大きく三つのパートにわかれます。

 Ⅰ冒頭手続と、Ⅱ証拠調手続と、最後にⅢ弁論手続。

 この流れは、ものすごく、基本的ではありますが、刑事訴訟法で、条文も覚えやすく並んでいます。
 Ⅰ冒頭手続:291条、Ⅱ証拠調手続:292条、最後にⅢ弁論手続:293条
 
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Ⅰ冒頭手続

 重要な4つの事項の確認。

 1人定質問、2起訴状朗読、3黙秘権等の告知、4罪状認否。


 誰に、何について公判するかを明らかにし、被告人に権利を告知し、罪状の認否。

 1、人定質問

 裁判に出てきているひとが、被告人であるかの確認。

 根拠法:刑事訴訟規則196条

(人定質問)

第百九十六条 裁判長は、検察官の起訴状の朗読に先だち、被告人に対し、その人違でないことを確めるに足りる事項を問わなければならない。


 2、起訴状朗読

 根拠法:刑事訴訟法291条1項

第二百九十一条 1項 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。


 3、被告人の権利の告知、黙秘権など

 具体的に告知する内容

 1)黙秘権
 ずっと、黙っていてもよい。一つ一つの質問に対して個別に黙ってもよい。

 2)話してもよい。
 話した内容は、証拠になる。

 3)「証拠」の意味の説明
 判決を書くが、判決文につかうことがある。
 不利にも有利にもなりうる。

 4)弁護人との関係。
 法廷で、弁護人と相談することができる。そのために、時間をとることもできる。

 など。

 根拠法:刑事訴訟法291条3項
第二百九十一条
○3項  裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。


 4、被告人・弁護人の起訴事実に対する罪状の認否

 黙っていてもよいが、意見を述べてもよい。

 認否の意義→被告人にとっては、反論したいこともあるだろうから。主宰する裁判所としては、起訴事実を認めることもあるかもしれないから被告人の意見を聞く。

 根拠法:刑事訴訟法291条3項
第二百九十一条
○3項  裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない


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 冒頭手続後、証拠調べに入っていきます。

 裁判員裁判で導入される公判前整理手続(公判「まえ」と読んだほうが、こうはん「ぜん(全)」と聞き間違えられないためによい。)があることを前提に書きます。
 

Ⅱ証拠調手続

 1、検察官の冒頭陳述

 根拠法:刑事訴訟法296条

第二百九十六条  証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。


 2、被告人・弁護人の冒頭陳述

 根拠法:刑事訴訟規則198条、刑事訴訟法316の30条

刑事訴訟法
第三百十六条の三十  公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第二百九十六条の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。


刑事訴訟規則
(弁護人等の陳述)
第百九十八条 裁判所は、検察官が証拠調のはじめに証拠により証明すべき事実を明らか
にした後、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すこと
ができる。

2 前項の場合には、被告人又は弁護人は、証拠とすることができず、又は証拠としてその取
調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる
虞のある事項を述べることはできない。


 3、公判前整理手続の結果を確認。

 根拠法:刑事訴訟法316の31条、316の32条

第三百十六条の三十一  公判前整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、前条の手続が終わつた後、公判期日において、当該公判前整理手続の結果を明らかにしなければならない
○2  期日間整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、その手続が終わつた後、公判期日において、当該期日間整理手続の結果を明らかにしなければならない。

第三百十六条の三十二  公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、第二百九十八条第一項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。
○2  前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。


 4、具体的な証拠調べ

 証拠は、三種類。

 1)書証

 取り調べた記録書類が朗読されます(刑事訴訟法305条)。
 全文ではなく、要旨の抜粋が示されます(刑事訴訟規則203条の2)。

刑事訴訟法
第三百五条  検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調をするについては、裁判長は、その取調を請求した者にこれを朗読させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させることができる。
○2  裁判所が職権で証拠書類の取調をするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させなければならない。
○3  第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつたときは、前二項の規定による証拠書類の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
○4  第百五十七条の四第三項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、第一項又は第二項の規定による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。ただし、裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。
○5  裁判所は、前項の規定により第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第百五十七条の三に規定する措置を採ることができる。

刑事訴訟規則
第二百三条の二 裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、請求により証
拠書類又は証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、
その取調を請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にその要旨を告げさせ、又は自
らこれを告げることができる。

2 裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、職権で証拠書類又は証拠物
中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、自らその要旨を告
げ、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを告げさせることができる。
(昭二五最裁規二八・追加)

 2)物証

 犯罪の凶器などが、訴訟関係人に示されます。

第三百六条  検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。
○2  裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。

 3)証人

 証人尋問を請求します。

第三百四条  証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人は、裁判長又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。
○2  検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問することができる。この場合において、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の取調が、検察官、被告人又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。
○3  裁判所は、適当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。

 5、被告人質問

 被告人は、質問を請求するものではありません。
 請求権の概念がありません。

 刑事訴訟法311条2項
第三百十一条  被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
○2  被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。
○3  陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。


********************

 証拠調が終わると、論告求刑へと移っていきます。
 

 Ⅲ弁論手続

1、検察官の論告・求刑(刑事訴訟法293条1項)

2、被害者参加等の意見陳述

刑事訴訟法316の18条
第三百十六条の三十八  裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。
○2  前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
○3  裁判長は、第二百九十五条第一項及び第三項に規定する場合のほか、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の意見の陳述が第一項に規定する範囲を超えるときは、これを制限することができる。
○4  第一項の規定による陳述は、証拠とはならないものとする。

3、弁護人の最終意見(刑事訴訟法293条2項)

4、被告人の最終陳述(刑事訴訟法293条2項)

5、判決の宣告(刑事訴訟法342条)

刑事訴訟法 
第二百九十三条  証拠調が終つた後、検察官は、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。
○2  被告人及び弁護人は、意見を陳述することができる。

第三百四十二条  判決は、公判廷において、宣告によりこれを告知する。
 


以上、大まかな裁判の流れでした。




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