ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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女性宮家4~彬子様のご発言

2012-01-24 09:11:46 | 皇室
 寛仁親王家の長女・彬子(あきこ)女王殿下は、毎日新聞社の単独取材に応じて、女性宮家創設の動きに関して発言された。皇族女子のご発言として注目される。女王とは、天皇の曽孫以下の世代の女性皇族の称号である。
 彬子様は、「今の議論は女性宮家を創設するかしないか(のみ)になっているような気がして、そこには違和感があると申しますか……。男系で続いている旧皇族にお戻りいただくとか、現在ある宮家をご養子として継承していただくとか、他に選択肢もあるのではないかと思います。女性宮家の議論だけが先行しているように感じられます」と述べておられる。
 成人の女性皇族が、旧皇族の皇籍復帰と旧皇族からの養子等の選択肢があると発言されたことは、大きな意味がある。政府・宮内庁は、当事者のご発言として、よく傾聴すべきである。
 以下は関連する報道記事。

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●毎日新聞 2012年1月7日

http://mainichi.jp/select/wadai/koushitsu/news/20120107k0000m040108000c.html
寛仁親王家長女・彬子さま:「女性宮家」早い決着を

 政府が検討作業に入った「女性宮家問題」などに関し、寛仁親王家の長女彬子(あきこ)女王殿下(30)が毎日新聞の単独インタビューに応じ、「お国の決定に任せるしかないが、決めるのであれば早く決めていただきたい」などと思いを語った。彬子さまは未婚の女性皇族8人のうち最年長で、皇族がこの問題について考えを示したのは初めて。
 彬子さまは、日本美術史を専攻し、英国オックスフォード大で女性皇族としては初めて博士号を取得。現在、立命館大衣笠総合研究機構でポストドクトラルフェロー(博士研究員)を務めている。
 皇室典範は、女性皇族は皇族以外と結婚した場合、皇族の身分を離れると規定しており、このままでは皇族が極端に減ってしまうため、野田政権は年明けと共に、結婚後も皇族にとどまる女性宮家制度の本格的な検討を始めた。
 彬子さまはインタビューで、国(政府・国会)に任せるしかないと政治的発言に関し控える姿勢を示しつつ、戦後に皇族の身分から離れた旧皇族の復帰案もあることを指摘。「今の議論は女性宮家を創設するかしないか(のみ)になっているような気がして、そこには違和感がある」と戸惑いを語った。
 また、結婚して民間人になるという前提で教育されてきたことを挙げ、「その前提が大きく変わるかもしれないというので、私自身落ち着かない状態です」と心境を吐露した。そして、結婚適齢期の女性皇族が増えることに関し「お相手の方の将来にも関わってくる問題です」として女性宮家問題の早期決着を望んだ。
 一方、皇室の将来については「国民のみなさまが皇室をどのように見ておられるか」「国民のみなさまが残したいと思われているか」にかかっているとし、自身が結婚後も皇族にとどまることについては「結婚後も公務をすることに抵抗はありません」と語った。【大久保和夫、川崎桂吾】

◇解説 将来設計を左右 十分な考慮を
 政府が改正を検討する皇室典範は、対象を広く一般化した他の法律とは違い、天皇陛下と皇族の23人の立場などを規定したものだ。
 女性宮家制度は、独身女性皇族の今後の生き方や将来設計を直接左右する。典範の改正時期によっては「姉が一般人なのに妹は結婚しても皇族」という差が出る恐れもある。宮家を作る女性皇族の範囲をどうするかという問題もある。
 皇族は選挙権もなく、政治的言動は控えており、彬子さまも質問ごとに熟慮しながら、国の決定に任せるしかないと自らの立場を強調した。制度上は「意向の確認・反映」が必要事項ではないとしても、典範改正に際しては「若い女性たちの人生を変える」という事実を踏まえた十分な考慮が必要だ。
 一方で、国民の理解も欠かせない。2月からの有識者ヒアリングについては、国民に皇室の課題について理解を深めてもらうためにもオープンにして判断の素材を提供すべきだろう。【大久保和夫】

http://mainichi.jp/select/opinion/approach/news/20120107ddm004070141000c.html

急接近:彬子さま 典範改正に向けた女性皇族自身の思いとは?

<KEY PERSON INTERVIEW>
 女性宮家創設を視野に入れた皇室典範改正の動きが急浮上したことで、女性皇族の存在がクローズアップされてきた。どんな生活を送り、どのような活動をされているのか。寛仁親王家の長女彬子(あきこ)女王殿下(30)に聞いた。【聞き手・大久保和夫、川崎桂吾、写真・大西岳彦】

◇落ち着かぬ、任せるしか--寛仁親王家の長女・彬子さま(30)

--現在、どのような生活を送られているのですか。
◆ 研究員として論文を書いたり、研究発表したり、ということが主な仕事です。最近は月に1、2回、講演や研究発表の機会をいただいています。

--昨年12月には、勤務先の立命館大で「文化財の現在・過去・未来」国際シンポジウムをプロデュースされましたね。
◆ 前年に引き続いての開催で、漆器、竹工芸など伝統の技を継承する人にも話していただきました。文化財を残していくためには今何かしなければならないという認識は、みなさん、共通しています。しかし、異業種・異分野間で協力してこの問題に取り組もうとする動きはあまり見られません。そこで市民の方々と共に考えていくプラットホーム(基盤となる環境)のようなものを作りたいと思って、企画しました。一般の方たちから反応が返ってきたことはうれしかったですし、ありがたかったですね。

--一方で皇室の公務があり、シンポの直前にも外交団の鴨場(かもば)接待が2回ありました。
◆ 鴨場接待はさまざまな国の方たちとお目にかかることができ、とても勉強になります。ただ、どうしても時間が足りなくなるので、移動する新幹線の車中で原稿などを書いています。

--皇族女性として初めて博士号を取得されましたが、研究活動に関心を持った経緯は。
◆ 祖父(古代オリエント史研究で知られる三笠宮さま)の影響だと思います。幼稚園の頃から私の質問に三つくらい資料を出して、「ここにはこう書いてある。ここではこうだ。だから僕はこう思う」というふうに説明してくださいました。研究とはこのようにするものだと、子ども心に感じていたと思います。
 そして、初めての英国留学中のことですが、日本に関する質問が全部私に回ってきて、自分がいかに日本を知らないかに気付かされました。浮世絵一つとっても、外国人と日本人の視線は違います。日本美術に最初に出合った外国人たちがどう見ていたのかということが、論文のテーマにつながっていきました。

--留学中のご様子は。
◆ 寮生活で食事は自炊していました。料理は論文を書いている時のよい気分転換でした。「プリンセス」としてではなく、日本から来た「アキコさん」として偏見なく付き合っていただきました。世界各国に友人ができたので、自分の狭い世界が広がったような気がいたします。

--皇族ということを自覚されたのはいつごろでしょうか。
◆ 幼稚園の頃ですね。周りの子は電車で通っていましたが私は車でした。(皇宮警察の)側衛がお母さんたちに交じって迎えにきてくれて。「彬子ちゃんはお父さんがたくさんいていいね」と言われていました(笑い)。

--「女性宮家」創設の動きはどう受け止めていますか。
◆ お国の決定に任せるしかないと思っています。一方で、今の議論は女性宮家を創設するかしないか(のみ)になっているような気がして、そこには違和感があると申しますか……。男系で続いている旧皇族にお戻りいただくとか、現在ある宮家をご養子として継承していただくとか、他に選択肢もあるのではないかと思います。女性宮家の議論だけが先行しているように感じられます。

--将来は皇室を離れることを前提に生活されてきました。
◆ 「お前たちは結婚したら民間人だから」と、子どもの頃から父に言われてきましたが、その前提が大きく変わるかもしれないというので、私自身、落ち着かない状態です。

◇研究と公務、どちらも

--現行の皇室典範のままでは皇族が極端に減るという問題についてはどうお考えですか。
◆ それは国民のみなさまがどのように皇室を見ておられるかということにつながってくるのではないかと思います。皇族の私がどうすべきかを申し上げるのではなく、国民のみなさまが残したいと思われるのであれば、自然と残っていくのではないでしょうか。こういった流れがあって初めて、将来を見据えた皇室典範の改正も議論されるべきだと思います。

--立場が定まらないと、ご結婚にも踏み切れない、ということはありますでしょうか。
◆ 私は、結婚後も公務をすることに抵抗はありませんが、女性宮家創設はお相手の方の将来にも関わってくる問題ですので、決めるのであれば早く決めていただきたい。今は、子どもたちに日本の伝統文化に自然と親しんでもらうような寺子屋のようなことができないかと考えています。ただ、成人後に留学を5年間させていただきましたので、その分を公務でお返しできたらと思っています。研究と公務のどちらかを優先するというわけではなく、どちらも100%が目標です。
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■ことば
◇女性皇族
 天皇の娘と孫にあたる「内親王」は現在、皇太子家の長女愛子さま(10)、秋篠宮家の眞子さま(20)、佳子さま(17)の3人。天皇の曽孫以下の世代は「女王」で、寛仁親王家の彬子さま(30)、瑶子さま(28)、高円宮家の承子さま(25)、典子さま(23)、絢子さま(21)の5人がいる。
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■人物略歴
◇あきこさま
 学習院大を卒業後、英国オックスフォード大に留学。大英博物館の日本美術収集などに関する論文で博士号を取得した。09年10月から京都市の立命館大衣笠総合研究機構に勤務。
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関連掲示
・三笠宮寛仁殿下のご発言(『文芸春秋』平成18年2月号による)
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/dc3ed005398c892986f7855c29f76f83

■追記

 本稿を含む「天皇と国柄」に関する拙稿は、下記に掲載しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion05.htm

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7 コメント

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彬子殿下のみのお言葉だけでいいのか (古田誉)
2012-01-28 19:39:07
ほそかわさん、私は6年前まではあなたがたと同様の考えだった。しかし、小林よしのりさんの新天皇論に触れ、悠仁殿下のみの状態に憂慮して考えを変えました。帝が敬宮殿下の即位及びその系譜を容認されれば私は認めてもいいのではないのか。何とぞ女性宮家だけで尖んがることは絶対控えていただきたいです。天皇条項の典範改正権の大政奉還を勝ち取ることが重要です。又、宮内庁の省復活も非常に重要です。内閣府から独立して内閣の言いなりにならないシステムに勝ち取ることも大切ですし、宮中儀礼やその公務員の身分を文藝春秋2月号の斎藤吉久さんの警告も重視して正常な法体制を勝ち取る闘いが大切ですぞ!余り女性云々に構ってどうするのですか!
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>古田誉さん (ほそかわ)
2012-01-29 09:27:53
 主旨のよくわからないところがあります。

>ほそかわさん、私は6年前まではあなたがたと同様の考えだった。<
 私以外に誰かを含むようですが、「あなたがた」とは誰のことでしょうか。

>しかし、小林よしのりさんの新天皇論に触れ、悠仁殿下のみの状態に憂慮して考えを変えました。帝が敬宮殿下の即位及びその系譜を容認されれば私は認めてもいいのではないのか。<
 「私は認めてもよいのではないのか」という言葉は、あなたの自問自答ですね。もう少し自分の考えを整理してから、発言されてはいかがですか。
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反論します (古田誉)
2012-01-29 11:31:28
先程、あなたのコメントを拝見しました。あなたがたとは、男系一統を信じ込む自称保守派の人々です。神社本庁、日本会議、その支持者を指します。次に、私に向かって古田の自問自答だ、考えを整理しろ!と抜かしよりましたが、間違ってるぞなどとほそかわさん、尺に触ります!私はありのままを語ったまでです。まだまだ宮中の法制の現状を言い続けますので、今後ともよろしくお願い申しあげます。
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>古田誉さん (ほそかわ)
2012-01-29 12:25:15
「あなたがた」が誰を意味するかは分かりました。
自問自答ということについては、再度読み返しても、そうとしか読み取れない表現になっています。自問自答中のようですので、考えを整理してから発言されてはいかですか、と書きましたが、別に間違っているとは書いていません。主旨がよくわかりませんでしたので、正誤の判断までしておりませんでした。
なお、尺に触るは「癪に障る」の誤記かと思います。
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吉田誉さま (Unknown)
2012-03-01 06:41:04
宗教法人神社本庁を敵視しし、男系の断絶の推進を謀るという事は国の大多数派の「宗教」の弾圧を意識しているという事です。許されざる事です。
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男系皇族で! (おさげ)
2014-05-28 07:54:26
高円宮典子様がご婚約されて、再び女性宮家創設の話がでましたね。つい先日、旧皇族の方々との昼食会が執り行われましたし、もしかしたら、その時に、旧皇族復帰について話し合いがなされたかもしれません。雅子もいたことだし!今の内親王方は、幼い頃から、いずれは皇籍を離れると教育されてきたから、お嫁に行く夢を持たれていたのに、今更変えられてはかわいそう。旧皇族の中に結婚適齢期の男性はいますが、必ずしもご成婚されるとは限らないし、お子様が授かる保証もないはずです。
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>おさげさん (ほそかわ)
2014-05-29 12:13:29
あなたは一見皇室を崇敬する意見のようでいて、雅子妃殿下を呼び捨てにするなど、不敬な点があり、書き込みの真意を測りかねます。
私は、女性宮家よりは尊称保持、だが根本的改善は旧皇族の活用という考えであり、下記の目次から13に私見を書いています。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion05.htm
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