事例紹介コラムです。
先日、岡山市職員後援会で、師匠的存在である傍士理事が講演会をされたと聞きましたが、Oご夫妻ご主人からその資料をいただいて読みました。これからのJリーグは「専用スタジアムの普及」が長期的展望のテーマで出てくると思います。岡山県サッカー協会の「ヴィジョン」にも出ていました。2011年3月発行の「J.LEAGUE NEWS特別版『スタジアムの未来』」です。以下、抜粋して紹介。
1.文化として【サッカースタジアム】 ~もっとピッチに近く!陸上競技のトラックはもう要らない。
今までサッカー場は「専用」を付けないと一人前にはなれなかった。陸上競技場を使用してきた欧州のサッカー強豪国も、W杯やユーロ大会開催を機にサッカースタジアムへ一変。陸上トラックがあると、Jリーグでゴル裏で最長45mもピッチから離れ、試合が観づらく、選手もプレーしにくい。様々なシーンで高評価を受けるスタジアムは、いずれもサッカースタジアム。
2.シンボルとして【ホームスタジアム】 ~スタジアムは街の誇り。設計思想は一貫して「ホームのために」
クラブカラーは「ホームタウン」の色。カラー一色に染まったスタジアムから、選手は心理的優位をもらい、市民は誇りを抱く。欧州クラブではスタジアムにエンブレムが飾られ、かつての名選手の記念碑的仕掛け、スポンサーブロックが外壁に置かれています。
3.コミュニティーができる【ファミリースタジアム】 ~誰もが安心して楽しめる空間。交通アクセス、屋根のある個席、ナイター照明、バリアフリー。
観戦環境の良さ
①交通アクセスが良い。
②すべてが個席で独立し、立見席はない。
③観客席は四方すべて屋根に覆われている。
④コンコースは開閉式強化ガラス窓で、外と仕切られ、見晴らしも良く、ラウンジやサロンとして利用できる。
ゆりかごから・・・
①託児施設が併設
②スポンサーの命名権の付いたファミリースタンドの設置
③ファンショップにつながるキッズスペース
④高齢者向け施設(高齢者用集合住宅の併設)
バリアフリー
①車椅子席、専用リフト・トイレが完備
②実況放送が聴けるヘッドホンを備えた視覚障がい者専用席
③絵文字を利用した、分かりやすい案内表示
安全
①入場前通路から観客席まで完全分離した固定フェンス
②警備指令室の設置
4.ホスピタリティー【社交スタジアム】 ~「ホーム」の感情を共有し、他者とつながる社交場
欧州の最近のスタジアムには、社交ラウンジが増加。スポンサーが顧客を招待したり、特別な日を過ごしたい人のために「ホスピタリティー・パッケージ」として販売しているビジネスラウンジがある。
テーブルごとに招待客が紹介され、ベンチ外の選手がテーブルを回ってファンサービス。試合後は出場選手も加わり、ティーサービスの中でインタビューや記念写真を楽しみ、1時間で終了。クラブのスポンサー同士のビジネスマッティングに有効な「名刺ボックス」を設置。年間契約した企業は、個室スカイボックスを、試合がない日も商談や会合に自由に利用する事など。充実したケータリング設備とサービスで運営される一般客向けのラウンジもあります。
5.街の集客装置【街なかスタジアム】 ~中心市街地活性化の新たな求心力
①街づくり
アウェーのファン・サポーターも含めた巨大集客装置となり、観客が長く滞留する街の仕掛けがあれば、中心市街地に大きな経済効果を。
②都市再開発
郊外の再開発プロジェクトの核として、面開発の複合型の街づくりが行われる。公共交通や駐車場、パーク&ライド整備が必要。
6.多機能複合型【スタジアム・ビジネス】 ~365日、試合のない日も人を呼ぶ
多機能複合型ならば、年間を通して市民生活と接点を保ち、スポーツ以外で稼働率を高めて施設全体の収益を上げられる。また、周囲の施設と複合的な関係を持つ事もできる。
複合機能の実例:
ショッピングセンター、レストラン、ホテル、オフィス、ホームセンター、高齢者用集合住宅、教育センター、職業専門学校、フィットネスクラブ、見本市
7.環境にやさしい【グリーンスタジアム】 ~経済成長と環境政策の両立を実現
欧州のスタジアムには環境に配慮した工夫が見られる。
①効率的で持続可能な土地利用の観点から、人の集まりやすい街なかに近く立地。
②水使用の効率化のために、雨水等を活用。
③多くの緑に囲まれ、市民の憩いの場をつくる
④自然エネルギー利用促進のために、屋根には太陽光発電パネルを設置。
⑤リユースカップや食器を使用するなど、ゴミ削減やリサイクル促進を図る。
⑥温暖化ガス削減のために、アクセスの良い公共交通の利用を促進。
8.プロフェッショナル【スタジアム経営】 ~各分野の専門家集団による
①スタジアムが合理的に建設、維持、管理できるよう、設計段階から建設、管理までを一括して発注。
②複合型ビジネスへの対応。
③国際試合誘致やイベント開催などのマーケティング。
④スタジアム内のキャッシュレス化。
⑤3ケ月に一度、経営者相互の協議会の設置。
Extra.防災拠点【ライフスタジアム】 ~災害時の大規模ベースキャンプや住民の避難場所として活躍。
①利便性に優れている。
・万人単位の収容能力
・街なかに立地
・情報や通信の最新設備が完備
・医療体制が整備
・ピッチがヘリポートに使用可
・快適な避難生活を送る事ができる。
②自立性のある施設
・太陽光、自家発電によるエネルギー供給
・貯水槽、雨水の活用
・物資の大量備蓄可能
③帰宅困難者の受け入れ拠点として
④後方支援拠点として
最後のページに「スタジアムの夜明け」として、これからサッカースタジアムに期待する(傍士さんの?)言葉がありました。
Jリーグは開幕当初の10クラブから準加盟を含めて43クラブまで発展。この間、bjリーグやプロ野球・パリーグはこれを範とした。「地域化」をビジネスモデルとするスポーツ文化は、人々に夢と希望を与え、クラブは今や地域にとってかけがえのない存在となっている。
みんなを満足させ、街の誇りとして愛され続けるスタジアム。
文化的にも経済的にも地域社会に貢献するスタジアム。
プロスポーツにふさわしいビジネス環境としてのスタジアム。
2012シーズンのJクラブのホームスタジアムの地図が載っていました。見ると、陸上競技用トラックありとなしのマークで区分されています。ちなみに「あり」は24、「なし」は18という事で、思ったより専スタの数は多い事に気づきました。全国のJクラブが専スタになる日が早く来ればいいですね。これから10年、日本サッカー界のトレンドは「サッカースタジアム(専スタ)を造ろう」になると思います。また、傍士さんにお会いしたいですね。
サッカースタジアム(傍士理事)関連:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120715
この週末に急遽、東京足立区の方に出張になりました。せっかくだから、何か試合観に行こうかなぁ。でも日本全国天皇杯でリーグ戦は無し。他に何か面白い試合なかったっけ・・・