J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

岡山トップスポーツファミリー(ファジアーノ等)、スポーツ文化情報リスペクトブログ(共同運営)。

観客のためのスタジアム13 【J特】

2012-07-15 00:04:08 | 総合型地域SC・地域振興

 事例紹介コラムです。
 先日、岡山市職員後援会で、師匠的存在である傍士理事が講演会をされたと聞きましたが、「Jリーグニュース」でその記事をじっくり読みました。その資料の紹介は次回として、今回は視察報告編です。これからのJリーグは「専用スタジアムの普及」が長期的展望のテーマで出てくると思います。岡山県サッカー協会の「ヴィジョン」にも出ていました。2010年度の記事になりますが、全然新しい内容です。抜粋して紹介。
   
 2010年度 Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告 「スタジアムは『わが町のシンボル』」
 Jリーグでは2010年10月に「10年後にどのようなスタジアムを作るか」というJリーグスタジアムプロジェクトの一環として、欧州の各地でスタジアムの実情を視察。単なる競技場から入場者に快適な観戦環境を提供し、地域のランドマーク、シンボルとして進化。視察にはスタジアム建設計画のあるクラブ、自治体も参加。ドイツ、スイス、英国(イングランド、スコットランド)の12都市、13のスタジアムを訪問。

【訪問先】
・ドイツ
 ヴォルクスブルグ:フォルクスワーゲン・アレナ(30,000人)、マクデブルク:MDCCアレナ(27,250人)、ドレスデン:ルドルフ・ハルビッヒ・シュタディオン(32,066人)、ミュンヘン:アリアンツ・アレナ(69,901人)
・スイス
 バーゼル:ザンクト・ヤコブ・バルク(42,500人)、ザンクトガレン:(AFGアレナ19,694人)、ベルン:スタッド・ドゥ・スイス、バンクドルフ(32,000人)
・英国
 グラスゴー:アイブロックス(51,082人)、セルティック・パーク(60,832人)、エジンバラ:タインキャッスル・スタジアム(17,420人)、バーミンガム:ビラ・パーク(42,640人)、コベントリー:リコー・アリーナ(32,609人)、ウェストブロムウィッチ:ザ・ホーソンズ(28,003人)
   
【ドイツ】
 ヴォルフスブルクと東ドイツのマクデブルク、ドレスデンを訪問。東ドイツの2都市はドイツ4部、3部リーグ所属クラブのホームタウン。どちらも2部リーグライセンス基準を満たす環境。
 東2都市とも今は専スタ(サッカー専用スタジアム)だが、元々は陸上競技場。ドイツでは2006年W杯開催を機に専スタへの移行が加速。バイエルン・ミュンヘンもオリンピックシュタディオンからアリアンツ・アレナへ移転。
【スイス】
 ベルン、バーゼル、ザンクトガレンを訪問。いずれも多機能複合型の施設が特徴。どのスタジアムにもショッピングセンターが併設。バーゼルには4Fから9Fが介護付き高齢者用住宅となっており、居住者専用のラウンジがピッチ側に設置し、107戸はすべて満室。ビジネスラウンジには、ラウンジ契約企業が社員名刺を入れるボックスが設置。クラブを媒介して異業種交流ができる仕組みになっている。環境への配慮はスイスが最先端。ベルンのスタジアムは屋根に4,500㎡のソーラーパネルがあり、年間約500家庭分の電力を地元の電力会社へ売電。
【英国】
 コベントリーは、スタジアムにホテルが併設し、客室からスタンドへ移動可能。ベッドは収納式で、試合時は観戦ラウンジに変身。訪問したスタジアムでは、試合関連収入よりもそれ以外の収入の増加の傾向。試合がない日の収益を上げるスタジアムの複合的機能は、多岐に充実化。
 
 視察先13のスタジアムはすべてが専スタであり、ほとんどが街中に存在。郊外でも駅が隣接したり、アクセス環境は高い。ドイツやスイスであれば、入場券を持っていれば試合前後の路面電車やバスを利用可能。交通機関の利用で、交通渋滞の回避、CO2削減に貢献。
 多機能を持ったスタジアムが街中にあれば、試合以外の日でも様々な動機で市民が集う事で、そのエネルギーを地域経済に貢献できるのがポイント。街中にあれば、すぐにスタジアムへ行け、スタジアムのラウンジを利用したパーティー、会議、商談などの利用もしやすい。

 スタジアムは「街のシンボル」であり、スタジアム建設は「シンボル」「故郷」「ホーム」づくりになる。スタジアム建設費用は思ったより安い。ドレスデンで約55億円、マクデブルクで約37億円(1席あたり約17万円)。
 Jリーグの強みは、青少年育成、経済、環境、中心市街地活性化などの地域の課題を解決してくれる可能性を持つ事。エネルギーは、スタジアムで人の出会いから生み出される。スタジアムを起点に様々な目的で人々が集まる。やがて、スタジアムは人々の生活の中にかけがえのないものとなり、わが町のランドマーク、シンボルになっていく。
   
【スタジアム八策】
①スポーツ文化: ためにサッカースタジアムでなければならない
②地域の誇り: ためにホームスタジアムとしてのありさまを貫かねばならない。
③地域社会: ために誰もが家族みんなで楽しめなければならない。
④社交場: ために快適な観戦環境とホスピタリティーを備えなければならない。
⑤好立地: ために誰もが集いやすい「まちなか」に近くなければならない。
⑥環 境: ために水・緑・光があり、公共交通機関を活用しなければならない。
⑦経済性: ために多機能複合型のビジネスモデルが望ましい。
⑧経営の持続性: ために各分野の専門家集団がかかわらなければならない。

 以上、なかなか中身の濃い内容であり、10年後のJリーグ環境を考えた構想として読み応えがありました。今後は日本協会及びJリーグではたびたび取り上げられるテーマになるでしょう。
 今日、J1リーグがあり、某黄色いチームは1-3からの大逆転劇で清水に5-3で勝ちました。本当に面白いチームです。そのJ1柏は「日立柏サッカー場」を保有しています。規模は小さいですが、スポーツ文化を発信し、地域の誇りであり、家族みんなで楽しめる所であり、好立地な社交場になっていると思います。ビジネスモデルと専門家集団のかかわりについては、今後に期待しましょう。
該当資料:http://www.sportsonline.jp/hfa.home/files/wagamachishinboru.pdf
 
 先日、仕事関係の研修会でいい言葉を学びました。「「コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)」というもので、社会貢献を企業のマーケティング活動に積極的に結びつけていこうという考え方です。簡単に言えば、企業が社会貢献への積極的な姿勢を示すことにより、企業のイメージアップが図られるというもの。売り上げの何%を慈善事業に寄付するという活動を、ここ最近は優良企業と言われているところほど実施されているようです。事業収支のみを追求する企業活動は、時代遅れであると習いました。講師がいい事を言っていました。「効率だけで一番になれるが、一流にはなれない」。そういう「一番」を口にするところ、そういえばと思い当たる・・・ 確かに今のままじゃ一流にはなれないだろな。

コメント
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