12期生の大川鉄太郎です。
最近経営に関するニュースでインパクトがあったのは、先日のイトーヨーカ堂の非正規社員中心の店舗運営への
切り替えの話と、以前から続いているシャープの経営危機です。
シャープに関してはよく分からない点も多いです。経営判断を誤った結果であることは間違いないのですが
そのことは棚上げにして、資金繰りが苦しくて困った、と慌てている様子しか傍からは見えてきません。
ただ同社に限らず家電系メーカーの浮沈は、国全体への影響も大きく、非常に気になっています。
一方イトーヨーカ堂が非正規社員中心の店舗運営への切り替えは、いろいろな可能性を考えさせられました。
もともとパートタイマーという形態は、限られた時間でかつ非課税限度内で働きたい、そのためには賃金は高望みしない、
という労働側のニーズと、正規社員だけで店舗運営したら高コストで成り立ちゆかないのでパートタイマーを入れて
コストを下げたい経営側のニーズがかみ合って成立したものです。今回のニュースは、この枠組みまで変わる
のかもしれないと思われるものです。パートの賃金水準を上げ、店長や役員にもパートのまま就任させる、
店舗で働く人の9割をパートにする、というからです。
少なくとも正規社員を補完して総コストを下げるためだけの安い労働力ではなくなります。正規社員とパートの本質的な違いは、
労働時間の多少とそれに伴う賃金ベースの違いのみになって、責任と権限についてはアサインメント次第、ということになります。
しかし労働条件の選択の幅が広がるのはよいとしても、人件費削減という当初の経営目的は苦しくなります。
そうなるとさらにパートの下の「アルバイト」という職種が増員されるのでしょうか? そうなるともうループですね…。
やはり店長や役員は成果主義、総菜コーナーや薬局などで技能と資格のある人が相応の待遇を受ける、ということでしょうね。
一方で削減される4300人の正規社員の転出先は、主としてセブンイレブン店長のようですから、売り上げ目標達成に
日々追われる生活になり大変そうです。
いずれにせよ、かつて花形だったデーパートと総合スーパーは今行く道を模索しています。どの産業でも同じパターンで
延々と行けるところなどありませんし、製造業と違って国内から小売りがなくなるわけでもないので、どのように専門店や
ネット通販と張り合うのか興味深いです。