河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1744- ペトレンコ、辻井信行、ロイヤル・リヴァプール・フィル、2015.1.27

2015-01-27 23:40:47 | コンサート・オペラ

2015年1月27日(火)7:00pm サントリー

ストラヴィンスキー  火の鳥(1919年版)  20′
プロコフィエフ  ピアノ協奏曲第3番 9′9′9′
  ピアノ、辻井信行
(enocre)
ラフマニノフ  プレリュード32-12  2′
ラフマニノフ(辻井信行編曲)  パガニーニ・ラプソディⅩⅧ  2′

Int 20′

ストラヴィンスキー  春の祭典  15′+ 18′
(encore)
エルガー  朝の歌  4′
リムスキー・コルサコフ  雪姫より、道化師の踊り  3′
ブラームス  ハンガリー舞曲第1番  3′

ヴァシリー・ペトレンコ 指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィル


辻井のソロ含め3曲のプログラムだが、アンコールが前半2曲、後半3曲と大盛りの演奏会となった。

ペトレンコと辻井のコンビは息がよくあっている。演奏中だけでなく、腕組みにしてステージに向かい、終わればアンコールの為に出入りを一緒に繰り返すペトレンコ、辻井のソロアンコールのとき用のペトレンコ椅子もあり、なんというかシステムの流れが自然で、今始まったようなものではないということが本当によくわかる。また、彼の空気が支配しているわけでもなくて絶妙。お互い、それにオーケストラの皆さんも敬意をもってプレイしているのがよくわかりました。ゴールデン・コンビネーションです。

プロコフィエフの3番コンチェルトは、ガブリリュクの演奏を二日立て続けに聴いたばかり。爆な演奏でした。
辻井のスケジュールはかなり過密で才能の酷使にならなければいいなと思っていたのですが杞憂でした。彼はたぶん毎日弾いていることが栄養になりちからになり成長の糧になっている、弾くのが楽しくてしょうがない、そんな感じです。
ガヴリリュクのようにシャープな演奏とは異なり、辻井の鳴りは独特ですね。音符が一つずつ切れていくのではなくて、束になって鳴っている。分解していく感じではない。第3楽章などオーケストラともどもバリバリ腕まくり状態なのですが、グリッサンドをずっと聞いているような錯覚に陥るところもある。まぁ、ユニークです。
伴奏パートのオーケストラ部分はプロコフィエフ的な線の際立ちのある曲ですけれど、ペトレンコの棒は最初の火の鳥とがらりと変わり、抑制と節度のコントロール棒。伴奏オケのあるべき姿に従っている。ここらへんのギアチェンジ、演奏行為に対する考え方、見事だと思います。至難のコンチェルト、辻井も弾きやすかったと思いますね。終わってみると爆発曲、爆な演奏でした。
彼のアンコール仕草は、わかったわかったちょっと待って、みたいな感じで手で聴衆に向けてちょっと抑えるような動きで、それがなにかほっとさせてくれるところがあり、そのまますーっとアンコールモードになれる、安心感があります。曲も演奏も短い中に泣かせどころのツボを完全に把握し披露、見事なストーリーテーリング。

このオーケストラはCDで聴いているときと随分雰囲気が異なり、バリバリ鳴らしてくる感じ。明るくて硬質で粒立ちよく、厚みはそれほどでもなく空洞化的鳴りのところもあるが、音楽に対する熱の込め具合は、全員同じレベルの高みですね。
ということで、後半、ハルサイ第1部の終結部、猛速で飛ばすペトレンコ、最後にチューバだと思いますが音がファンブル気味に残ったが、みんなやる気度満点。
音色に潤いや艶が欲しいなと第2部の長い最初のシーンではそう思ってしまいます。ただ、弦がばらけ気味に解きほぐされて流れていく感じは相応な高性能オケ、それと地勢といいますか風土的な香りも感じさせてくれる。特色のあるサウンド構成です。
バランスは指揮者の役目、四方八方に至れり尽くせりの棒ではないが、要所を下目でしっかりと指示してくる。プレイしやすい棒だと思います。プレイヤーたちも彼のもとで演奏している心地よさが垣間見える。アンサンブルは特筆するものがあるわけではないが、オケ全体が一つのアンサンブルになっていて、音色にも方向性が出ているのだと思います。指揮者のもたらす波及効果は大きい。
ハルサイは丸みを帯びたものではなく、ギザギザと角ばっているあたりが前面に出ている。面白い演奏で楽しめました。

ペトレンコは演奏後、ポーディアムでお辞儀を繰り返すが、しなくなるとアンコールの合図、聴衆を見やり棒立ちになり、いるの?、わかったわかったみたいな感じでアンコールを繰り返す、大盛りの3曲。これらも楽しめました。
楽しい演奏会、ありがとうございました。





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