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フランスものブーレーズ他の評 ホライゾン -12-

2007-01-13 22:30:00 | 音楽




1984.6.6のホライゾン(動き回るドラッカー ホライゾン-11- 1984.6.6)の評が翌々日のニューヨーク・タイムズに載った。

1984.6.8
Concert: Horizons 1984 By ALLEN HUGHES
1984年6月8日(金) ニューヨーク・タイムズ
アレンさんの評

水曜日夜、エイヴリー・フィッシャー・ホールで、ニューヨーク・フィルハーモニックによるホライゾン1984にフランスが立ちはだかった。
この日の4人の作曲家のうち3人がフランス人であり、そのうちの一人ギルバート・アーミーが棒をとった。
この日の大勝利は、既にある種‘古典’として成功している16年前のフランスの新作である。それはピエール・ブーレーズの‘Domaines’である。
しかし、それに先立って演奏された曲もまた重要なものであった。
それらは、ベッツィー・ジョラスの‘Quatre Plages’、アーミー氏の‘Shin’anim Sha’ananim’(玉座の天使)、ジョージ・ウォーカーの‘Serenata’である。ウォーカー氏は、もちろんアメリカ人であるが、去年から手掛けた彼の作品は、この中では一番新しいものである。

‘Domaines’は、真に創造的な才能が、最も因習にとらわれない虚飾のテクニックとスタイルを通して感じたもうひとつのことを提示してくれる。
この作品では、ブーレーズ氏は6つの楽器群を作った。それは、あるときは歩きまわるソロ・クラリネット(このコンサートではスタンリー・ドラッカー)を伴い、ステージに散らばったりペアになったりする。
さらにブーレーズ氏は、ソリストと指揮者にオプションを与えた。そのオプションというのは、ソリストとそれぞれのグループが演奏する順序を決めるというものである。数学的確率は、‘Domaines’の二つの演奏に対して、正しく同じものとして響く。
‘Domaines’全演奏者にとって、書かれたパートは異なるものである。しかし、もちろん、それらは、多種の混乱した音の特別な強調を伴ったある種メモ書きのように、普段着の聴衆の心には聴こえる。これがだいたい30分継続する。
それはつまらなく退屈であると思われたかもしれない。しかしとんでもない。そんなことはなく、時間が経過し音楽が進むにつれ、聴衆はだんだんと理解が深くなり、音色、リズム、メロディーの意図するところにだんだんと反応をみせてきた。さらに、ついには、最後の部分においては、魅力的な家族の訪問が、予定し望んでいたよりも少し早く断ち切られたような感覚を味わうに至った。

ウォーカー氏の‘Serenata’は、何かリヒャルト・シュトラウスに負うところがありながら、それにもかかわらずやはり同じようにロマンティック気味な観点で、よく練られたしっかりしたオーケストラ作品である。ウォーカー氏の比較的保守的な音楽が、より冒険的なブーレーズ、ジョラス、アーミーの作品と並べてみると耳障りなところがなく受け入れられやすい、というのがこの演奏会で一つ良かったことである。
アーミー氏の音楽はこの日、最もエキゾティックで官能的なものであった。それは、11世紀のスペインユダヤ神秘主義者のSolomon Ibn Garirolによるヘブライの詩を伴ったもので、1979年に書き始められたものである。3人のソリストは、メゾソプラノのダンナ・フォーチュネイト、チェリストのエリック・バートレット、クラリネットのアナンド・デヴェンドラ、それにアンサンブルはSpeculum Musicaeであった。ヴォーカル・ラインは自由にベルクの雰囲気をもち(もちろん、アルバン・ベルクのこと)、それでいて、チェロとクラリネット・ソロは両方とも、しばし、恍惚状態になる。多々の結びつきの良くない器楽編成にもかかわらず、そのスコアは基本的に複雑にはみえない。どのような場合も聴きやすいものであった。
1968年に書かれたジョラス女史の作品は、明らかにこの日一番アカデミックなものであり、最も魅力的でなかった。‘plage’というのは普通、フランス語で‘beach’を意味している。しかしここにおいてはそのようなことは意味していない。プログラム・ノートによると、それは‘特定な型の音響構築によって占有された時間の一部を指示すること’らしい。この作曲家は新鮮なソノリティーを達成するために弦楽器をグループに分割した。女史は自身のしたいことを成功させたかもしれない。しかし、結果はコンサート作品としてはアピールが足りないものだった。
おわり


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