河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2115- ベトソナ、27,28,29、中尾純、2016.5.12

2016-05-12 23:28:07 | リサイタル

2016年5月12日(木) 7:00pm リサイタルホール、オペラシティ

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.90  6′+8′

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第28番イ長調op.101  4′6′10′

Int

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調op.106  9′3′20′12′

ピアノ、中尾純


オール・ベートーヴェン・ピアノソナタ・プログラム、意欲的なプログラムの公演がありましたので聴きに来ました。
27,28番はCDでは割と聴きますが生演奏ではどうなのか。生を聴くというスタンスで。
プログラムノートにショートながらベートーヴェンのこの時代の作品や背景を書いてあるので、あらためて感じながら聴く。

前半のプログラムだと27番はなじみやすいですね。特に第2楽章の歌謡性がいい、2拍子だと思いますが何度聴いてもワルツのように聴こえてしまう。魅力的な曲です。
修飾音的なところの扱いや節回しが少し重い気がするのは一個ずつの音符の押しが深いからなのかどうかよくわかりませんけれど、全体的な流れが今一つでした。
28番のほうは第3楽章の頭はソナタ形式の序奏のような部分、気持ちの入れようと切り替えがよくできていると思います。気持ちの切り替えとコンセントレーションがストレートに出来るプレイヤーですね。27番と同じように流れがうまく湧き上がってこないもどかしさが少しありました。

休憩後の29番、最初の一撃で、つまるところ、27番28番はあまり得意でなくて29番は十八番なのかとのっけから思わせるようなエネルギッシュで生き生きしたプレイ。巨大な曲に立ち向かう意気揚々としたアタックが素晴らしい。
第1,2楽章はかなりのスピード感で一気に弾きあげられて、押して前に進むベートーヴェンの強い推進力をあらためて感じさせてくれました。見事な演奏で作品の大きさを再認識。
第2楽章スケルツォの中間部は今更ながらエロイカの冒頭主題を強く感じさせてくれました。推進力が激しい。
次のアダージョ・ソステヌート、頭2楽章の流れでいったと思います。けれども結構な経過時間となりました。この時間感覚。
間延びしないテンポで隙間なく進んでいく。虚飾無きベートーヴェン、肩の力が取れた演奏で、1,2楽章からの切り替えが素晴らしい。この楽章はソナタ形式を意識しながら聴くと割とすっといく。プレイヤーのお見事な演奏にあっというまの20分。
間髪入れずに終楽章へ。この終楽章にも序奏があります。この序奏の込み具合はマーラーの6番終楽章の同じく序奏を、響きは違うかもしれないが、イメージとしては思い出させてくれる。
主部の進行種類の因数分解を黒板を使わず、頭の感覚だけでわかるようになるにはたくさん聴き込まないといけないとは思うが、そのための集中は家で音源を聴くだけでは厳しい。やはり生演奏での一発集中、これに尽きる。まぁ、やっているほうはすべてお見通しなのだろうが、そこはへぼな聴き手、興味はいつ果てることもない。
いいリサイタルでした。
ありがとうございます。
おわり


と、ここで書くのをやめようと思ったが。
客質があまり良くない。演奏前にホールをバタバタと走る音。一つしかない入り口でパンフ全部こぼし、前も後ろも頓着無いおばちゃん。ホール通路で尻をまわりの客の鼻っ面元にあてがいながらのおじいちゃんおばあちゃんの井戸端挨拶会議。
コンパクトなリサイタルでは、妙な話かもしれないが、勝負はどれだけ赤の他人を呼べるかにかかっていると思う。学芸会のような客たちとは別に、赤の他人が4千円も払って聴きに来ている。変なはなし、赤の他人だと礼儀作法も生まれる。プレイヤーご本人のあずかり知らぬところで色々とある。まぁ、仕方がないとあきらめないでモラルアップに腐心しますよ(私)。
ご本人は力演、次回は30,31,32番で、東京9/8、名古屋9/14とのこと。

追、
プログラムパンフに奏者のごあいさつが載っていますが、ちょっと文章が変だと思います。ベートーヴェンがこの日演奏された作品を書いた年齢よりまだ若いという前提での文章のように見受けますが。
最高の演奏をするという意思を感じさせる文章の方がいいと思います。
おわり


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