2016年4月1日(金) 7:00pm 石橋メモリアルホール、上野学園
ヘンデル ソロモン第3幕序曲シンフォニア、シバの女王の入城 3′
パーセル(R.エガー選曲) 妖精の女王、ソプラノと管弦楽のための大組曲 36′
ソプラノ、阿部早希子
Int
ヘンデル(R.エガー選曲) 水上の音楽 18′
ヘンデルの歌劇より
リナルド第2幕第4場、私を泣かせてください4′ ソプラノ、阿部早希子
ジュリアス・シーザー第3幕第7場、海の嵐で難破した小船は6′ ソプラノ、阿部早希子
セルセ第1幕第1場 オンブラ・マイ・フ3′ カウンターテナー、藤木大地
リナルド第1幕第8場 風よ、旋風よ4′ カウンターテナー、藤木大地
リナルド第1幕第6場、私の面差し優美に溢れ3′ ソプラノ、阿部早希子、
カウンターテナー、藤木大地
リチャード・エガー、指揮&チェンバロ
紀尾井シンフォニエッタ東京
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*プログラム詳細は最下部に記載。
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「東京・春・音楽祭」というあまり座り心地の良くないネイミングのお祭り公演の一環。
ホグウッドのサクセッサーとして活躍しているエガーのチェンバロ弾き&指揮。ざっくりとした雰囲気で、イギリスのテレビ連続ドラマ物のなくてはならない脇役風貌みたいなところがありますが、弾き振りは完全な主役で、エネルギッシュでダイナミック、濃淡こめた表現は聴きごたえありました。
この日のプロはヘンデルとパーセル。ヘンデルはメロディーラインが機能美のようなところがあってそこらへん好みです。パーセルの妖精の女王は昨年(2015.12.13)、全幕物を観て興味を持ちました。いい組み合わせのプログラムです。
ヘンデルではカウンターテナーも聴けるとあって、興味津々ですね。
古楽のオーソリティのエガー、全く板についた指揮ぶりと説得力はホールを圧するものがありますけれど、それよりも感じる説得力というのは、例えば妖精の女王と水上の音楽でのピックアップされたピースと並べた順番、豊富な知識と経験がベースにあって、どのような思考回路でピックアップし並べたのか、そういうところにも興味がいきます。というよりももはやこうやって自信に裏付けされた形で演奏されるあたり、それだけでなんだか実力のほどを、有無を言わせずに納得させられてしまう、屈服。お初で聴く指揮者ですけれども、このようなところだけとっても実力のほどが割と瞬間的にわかるところがありますね。なんだか安心してこれら選曲に入っていけると言いますか、そんな感じです。
最初のシバの女王からメリハリの効いた彫りの深い音楽が展開。
パーセルはさらにぐっと引き締まりパースペクティヴの効き具合もいい。濃淡の表情が濃いです。昨年聴いた妖精の全幕物を思い出します。今晩の演奏では3曲ソプラノが入ります。ちょうどよいホールサイズで極上の歌唱を楽しみました。比較的ドライで固めのオケサウンドとの分離、融合具合も良いもの。1階席で聴きましたがちょっとブローラ・ウィスキーのバシャッとした雰囲気の響きで、もしかして2階席の方がより楽しめそうな気もしました。最後のシャコンヌ、大きな音楽の表情が締めに相応しい。
後半は水上の音楽から。このアンサンブルは名手たちが多くいるようで、音場が全体になにかひとつグイッと持ち上げられたようなレベルを感じます、リールテープをオープンデッキで聴いたときのようなやや上方に持ち上げられてグイッと引き締まった音場、そんな雰囲気をほうふつとさせてくれます。日本のアンサンブルはいつでも素晴らしい、そんな実感。
水上の音楽を楽しめました。
そして同じくヘンデルより歌劇から5曲、ソプラノ、カウンターテナーのピースが2曲ずつと最後に二重唱。カウンターテナーの音色は個人的にはめったに聴く機会がありません。人間の技の奥深さを感じないわけにはいきません。特に高音での歌いまわしなど、滑らかで自然で美しい、そしてこの歌い手特有だと思いますがかなり劇的なところも。そのしぐさから、オペラのシーンをイメージして歌っているようで入れ込みがすごい。歌詞は今一つよくわかりませんでしたけれど、対訳リブレットを見ながら色々と楽しめました。
指揮のエガーはうまく合わせているというより、彼の柔軟で説得力ある棒、ときにはユーモラスであったりするが、今晩の全てが、彼の中にあるように思えました。
良質でいい演奏会でした。
ありがとうございました。
おわり
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(プログラム詳細)
ヘンデル:オラトリオ《ソロモン》HWV67 より、
第3幕序曲シンフォニア「シバの女王の入城」
パーセル(R.エガー選曲):歌劇《妖精の女王》 より「ソプラノと管弦楽のための大組曲」
第2音楽:エアとロンドー
第1幕 序曲
第3幕 愛が優しい情熱なら
第3幕 妖精の踊り
第3幕 千草を作る人たちの踊り
第5幕 ほら、風がこだまを返しながら ソプラノ、阿部早希子
第3幕 終曲:ホーンパイプ
第4幕 シンフォニー
第5幕 嘆き:私を泣かせて ソプラノ、阿部早希子
第5幕 猿の踊り
第5幕 前奏曲
第2幕 ごらん、夜の闇が自らここで ソプラノ、阿部早希子
第2幕 おいで、すべての空の歌い手たち
第2幕 前奏曲
第5幕 シャコンヌ
ヘンデル(R.エガー選曲):組曲 《水上の音楽》
2-1 (序曲)
2-2 アラ・ホーンパイプ
3-2 リゴードン
3-3 (アレグロ)
(3-2 リゴードン)
1-10 (アレグロ)
1-6 エア
2-3 メヌエット
2-4 ラントマン
2-5 ブーレ
ヘンデル:歌劇《リナルド》HWV7 より、
第2幕第4場「私を泣かせてください」
ソプラノ、阿部早希子
ヘンデル:歌劇《ジュリアス・シーザー》HWV17 より、
第3幕第7場「海の嵐で難破した小舟は」
ソプラノ、阿部早希子
ヘンデル:歌劇《セルセ》HWV40 より、
第1幕第1場 「オンブラ・マイ・フ」(なつかしい木陰よ)
カウンターテナー、藤木大地
ヘンデル:歌劇《リナルド》HWV7 より、
第1幕第8場「風よ、旋風よ」
カウンターテナー、藤木大地
ヘンデル:歌劇《リナルド》HWV7 より、
第1幕第6場「あなたの面差しは優美に溢れ」
ソプラノ、阿部早希子
カウンターテナー、藤木大地
以上