河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2263- オール・ベートーヴェン・プログラム、長富彩ピアノリサイタル、2017.1.22

2017-01-22 22:20:07 | リサイタル

2017年1月22日(日) 2:00pm リサイタルホール、東京オペラシティ

<オール・ベートーヴェン・プログラム>

ピアノソナタ第8番ハ短調 悲愴 10′6′5′
創作主題による32の変奏曲ハ短調  12′
ピアノソナタ第24番嬰ヘ短調 テレーゼ 7′2′
Int
バガテル エリーゼのためにイ短調  3′
ピアノソナタ第30番ホ長調  4′2′14′

(encore)
ベートーヴェン エコセーズ  3′
モーツァルト(ヴォロドス編) トルコ行進曲  3′

ピアノ、長富彩


昨年末に、ベトソナ悲愴、30番、32変のCDが発売されて、それやこれやで色々と。
お初で聴きます。

オール・ベートーヴェンのプログラムは作曲年次に並べられ、休憩は当初のものから変更となり、アウフタクトから始まる2曲を後半プロとする。

悲愴のアダージョ・カンタービレにはいつもなぜか憧憬のようなものを感じる。ベートーヴェンの憧憬の目です。過去から未来を見ているその間の時間に今いるベートーヴェンを感じる。作曲した頃の思いは分かりませんけれども、あれやこれやと想像を掻き立てさせてくれるベートーヴェン。このメロディーライン想像を越える美しさです。気持ちの安定が不可欠ですね。前後の楽章も筆舌に尽くし難いパーフェクト作品。
長富さんは曲想をつかんで自分のものとしてる。他の曲もそうですが作品の線を生き生きと表現。殊更叩くのではなくて、そういった激しさも自分のラインの中に入れている。全体像をつかんでいる表現だと強く感じます。音楽がつながっていく。あと、装飾音的なオタマの弾きに独特な切れ味があり、一つのアクセントになっているように思いました。
いずれにしても、ピアノの弦が見えるようなプレイ。

つながっていくということでは次の32変、滑らかに流れていく。テーマの右左入れ替えなどバランスが整っていて均整のとれた美しさを感じる。きれいに聴くことが出来ました。
ワルトシュタインと告別を感じますね。

ベトソナは後期になるほど、様式が自由になっていって、楽章バランスも長短のことはあまり頓着しないというか、様式はバックボーン的な色合いになっていて、なにか新しいものを目指すということよりも自由な空気を感じる。テレーゼもそうですね。優しく柔らかいプレイで、きめの細やかさ、さえています。思考は鋭角的かなと思いますね。長富さん。

後半のアウフタクトから始まる2曲。このアウフタクト解説はご本人執筆と明記されたプログラムノートからの受け売り。(失礼)
ところでこのプログラムノート、大変にわかりやすい。ポイントになることを時間の流れに沿って書いていて、また、作品の性格などについても的確にして必要十分。世の中のプログラム解説はこれを見習うべきと思います。わけのわからない作品をさらにわからなくさせるような解説は時として現代音楽系に多いわけですけれども、それはどうであれ、この解説の爪の垢を煎じて飲んでほしい、というぐらいわかりやすい。コンパクトな中に情報量も多いですよ。

ということで、後半、アウフタクトからのエリーゼのために。小ポーションでロマンチック満載。これがベートーヴェンの作なのかと思えるほどですけれども、彼の頭の中は何をどう思っていたのか知るすべもない。美しい作品。その作品に寄り添うように曲想を作り込んでいく長富さんのプレイは素敵です。

30番、これまた様式は自由で奔放な域。長富さんのピアノで終楽章の変奏曲のウエイトが十分に高い高い、よくわかりました。今まで持っていた30番のイメージがちょっと変わりました。といいますか、形が明確になりました。
29番のあとというよりもっと前に立ち戻ったような気持ち。29番は折り畳みのミシン目のように思えてきました。色々と考えさせてくれる演奏でした。CDももう一度聴いてみたいと思います。
アンコール2曲も佳演で満足したリサイタルでした。
ありがとうございました。
おわり





   








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