2016年7月23日(土) 3:00pm ミューザ川崎
ヴィラ=ロボス ニューヨーク・スカイライン・メロディ 3′
アイヴス ニューイングランドの3つの場所 10′6′5′
Int
ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調 田園 12′12′5+4+10′
ジョナサン・ノット 指揮 東京交響楽団
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フェスタサマーミュージックKAWASAKI2016、初日公演に行ってきました。前半のアメリカ物が出色のプログラム。
1曲目のニューヨーク・スカイライン・メロディは、マンハッタンのスカイスクレイパーを遠景から見た時のスカイラインを写し取り譜面化したもの。
3分ほどの短い曲、初めて聴きます。ヴィラ=ロボスの角の無い澱んだ音楽が、マンハッタンの丸みの無い角だらけの摩天楼とそれを遠くから眺めたスカイラインも角だらけ、そしてアヴェニュー、ストリートは整然、ブロードウエイだけが一つが斜めに走る、そういったものと全くの真逆、ブラックジョークと思える響きにびっくり仰天。確信犯的な皮肉音楽と思いました。それにたった3分、これならワン・ブロック先にも行きつけない。(笑)
ノットもわかったうえでの確信犯としか思えない。そして、オーケストラル・セットNO.1の最初の曲、ショーと黒人連隊に、ノットとしては連続演奏で入るモードだったと思うが、せっかちな拍手で一旦とめて開始。相変わらず興ざめの日本人拍手なんだが、協奏曲の第1楽章済んだところや悲愴の3楽章終わったところでは静まり返っているという、いくら外国人にほめられても、ジャパニーズ・ファーストでは決して無いあたり、そこらへんは認識の必要あります。知ったかぶりは日本人に多い、心を鎮める技を持っているはずの日本人に。
スカイラインとオーケストラル・セットとの関連性は音楽の響きのモード親近性だけだとは思いますが、賛美というより祈りに近いアイヴスの1曲目は深い味わいがあるものだ。
2曲目のパットナムは一変してシンフォニーの2番を思わせる種々雑多な行進曲等色々面白い。はずなんだが、ノットの演奏は1曲目も含めてかなりシリアスな音楽づくり、派手さよりも心を鎮める方向に舵取りをしているようだ。3曲目のフーサトニック川も祈りに近い。そしてかすかにエコーするのは、夕焼け小焼けのメロディー、気のせいか。
アイヴスのインスピレーションは賛美より祈りなのだろうか。きれいなストリームが心を鎮める。と、答えのない質問もやってほしかった気がする。
ノットの祈りのような演奏解釈はユニークなものと思います。オーケストラのハイな演奏技術とテンションの高い進行、目に浮かぶアイヴスのニューイングランド。お見事な演奏でした。
おわり