河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2143- オベロン、チャイコン、山根一仁、シベリウス2番、山田和樹、バーミンガム市響、2016.6.29

2016-06-29 23:30:53 | コンサート

2016年6月29日(水) 7:00pm みなとみらいホール、横浜

ウェーバー  オベロン序曲  10′

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調  18′、5+10′
ヴァイオリン、山根一仁

(encore)
バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタBWV1003より、アンダンテ  4′

Int

シベリウス 交響曲第2番ニ長調  10+15′、6+14′

(encore)
チャイコフスキー エフゲニー・オネーギンより、ポロネーズ  4′

山田和樹 指揮 バーミンガム市響


前日のサントリー公演から今日は横浜みなとみらいで。
コンマス席空席のまま、1プルト内側さんが立ってオーボエから始まるチューニング、それを済ませてからコンマスが登場するスタイルはこの日も同じ。コンマスさんは特にすることが無い。これが逆に指揮者の次の人、という雰囲気を醸し出す。いざとなれば指揮者のすることは替りにやるよといった意思表示のようにも見える。アメリカオケみたいに30分ぐらい前からがやがやとステージに三々五々集結して定刻になったらコンマス以外全員そろってた、というスタイルとの違いはそれなりに大きいのかもしれない。

オベロン序曲から始まった演奏会は昨日に続いて本格的な演奏。副主題でテンポをグッと落とし静かにスローに歌い始めるあたりに何故か郷愁を感じる。徐々にアチェルランドしていき主題回帰でインテンポへ。これが山田式なのかと、普段聴いている国内オケ棒とは随分と違うなぁと、昨晩に続き感じる。極端なテンポ落としでした。

次のチャイコン、ヴァイオリンは山根さん、1995年生まれだから21ぐらいですね。若い。
前の晩の神技ピアノの河村さんのようにはなかなかまだ、いかない。
妙な言い方かもしれないが、音を出してから型を決めていくことができない。それがいいことなのかどうかということはあるけれども、落ち着き先が判然としない。もう一度弾いたら全く別のような演奏になっているかもしれませんね。
低音に潤いがあり音がでかい。このホールいっぱいに響き渡るものでした。
指揮者はヴァイオリニストを見守っている感じ。第2楽章の憂いを含んだ多彩なニュアンスはサポート越えでした。終楽章のノリは音楽的で、上滑りしないのはヤマカズ、そしてこのオケのいいところです。

後半シベリウス、モザイク風味満載の曲は前夜のベト7のようにストレートなトライだけでは料理しきれない。山あり谷あり崖あり。
ザザザザザ、ザザザザザザー、ザザザザザ、ザザザザザザー、、ザザザザザー、
もう、聴き過ぎな曲で。
陳腐なルーチンワークに陥ることは無い。やはり山田式の濃厚なもの。特に第2楽章の緩急自在過ぎるテンポの揺らし、目まぐるしく変わる変幻自在の濃淡プレイ、咆哮と静寂が滑らかに入れ替わる。そうとうに濃い味付けでした。本来の曲想以上の揺らしで、ドラマチック。モザイクの醍醐味を味わい尽くしました。オーケストラのドライブも含めコントロールしてましたね。
半面、スケルツォ楽章のように何度繰り返しても同様な煮凝り状態なところがあり、ここがオーケストラの限界線、みたいなところも見え隠れします。こういったあたりはロンドン響の方が1枚も2枚もうわて。
スケルツォに導入された終楽章はシンプルな構造がさらにスカスカに見えるヤマカズ棒。なのですが、アンダンテ楽章と同様な動きを濃くつけることで飽きさせない。ただ、展開部の終結が再現部のエンディング、コーダへと進んでしまうように聴こえるのはヤマカズの曲想のとらえかた、構造を表現するときの全体俯瞰がどれだけできているかというテーマにぶつかっていくのだと思いますよ。シンプルな曲は簡単ではないですね、特にこの3,4楽章みたいなものは。

あと、第1楽章でトランペットがフライングのように聴こえましたがあれは指揮棒によるところが大きい。全体的に前夜のベト7の域には達せず、ベートーヴェンの本格派演奏をそのままシベリウスに移送するだけでは全部を表現するのは簡単ではなく、合奏体としてのこのオーケストラの能力は素晴らしいものですけれども、ロマン派あたりまで本格的に演奏をこなしていくにはさらに多彩な表現を身につけていかなければならないと思いました。

このホールには日フィル定期その他でたびたび訪れてその都度感じることですが、横浜の聴衆の拍手やブラボーは、違和感ありまくり、感動邪魔しまくりの都内の客とは随分と違います。
最初は静かな拍手、だんだんヒートしてくる、いつもながらベストなかたたちが沢山おります。
この日は、セクションごとの立たせ、ヴィオラのスタンディングで客が大きくどよめく、なにか裏ワザでもあったのかもしれない。

それから、500円プログラムとは別にこの公演用のプログラムが無料でつきました。奥田氏の解説文は香りのある生きたもので、ヤマカズならず音楽への愛着が感じられるいいものでした。
おわり


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