河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2285- チャイコン1、金子三勇士、マンフレッド、炎、2017.3.3

2017-03-03 23:14:54 | コンサート

2017年3月3日(金) 7:00pm 東京芸術劇場

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 21′7′8′
 ピアノ、金子三勇士

Int

チャイコフスキー マンフレッド交響曲 17′11′12′21′

小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


小林さんは会場でたまに見かけますが、指揮台の姿を見たのは2013年来。動きのあまりの違和感に遠ざかっていた。今日は前半のピアニスト、後半の作品、それらがお目当てだったのだが、結果的には指揮者の偉大さにうなるところとなりました。
指揮の印象が前とずいぶん違う。右手一本での振りがメインになってきていて、また空気を振るようなところもなくて、炎の核が燃えているような芸風になってきたのだろうか。

金子さんを聴くのは、昨年2016年横須賀で、ノット&東響のブル8の前プロでモツコン20、これ以来です。
チャイコフスキーの粘着質的歌い節は排除されていて、小打楽器風な叩きのようなおもむきで、鍵盤をピンポイントでとらえた音響が鳴る。それの連続。スタイルとしてはドラスティックなものを感じる。冷えたアドレナリン。表現の幅がいまひとつなんだが、フィナーレのようにエキセントリックなまでの叩きと進行。ここら辺が彼の真骨頂のひとつだろう。味な演奏でブラボー。
また、プレイ中に一部、それに伴奏オケだけになるところではほぼ指揮者を凝視。入りのアイコンタクトがしっかりとれている。リハで合わせる回数は知りませんけれども、本番での意気込み、臨む演奏、ハイレヴェルに前進させようとする双方の力を感じます。いいことですね。コンチェルトにはこのような一体感が欲しいですね。小林さんのサポートは落ち着いたもので、金子さんは思いっきりプレイ出来てました。
双方の普段あまり感じない面を見た気がしました。よかったです。

後半のマンフレッド。
第1楽章から、副主題の味付けがこってりと歌い込まれていてそれだけで空気が幽玄になる。主題はダイナミックなもので伸縮自在な演奏。
このような演奏で息を吹き返す作品、お見事な小林棒ですな。右腕の振り一本、なにやら昨年2016年のロジェヴェンのタコ10を思わせるような棒の動き。右手一本で全てを表現、指示できる、極めた棒に近づきつつあるような動きです。左手も相応な動きをみせるが以前とはだいぶ違っている。どのタイミングで音を出せばいいのかよくわからず不安定な演奏が見られたが、今日の指揮はそのような棒とはだいぶ違っている。炎の核が透けて見えてきている。いい演奏だ。
短調の押しつぶされたようなフレーズが全曲に渡りあって、そのメロディーラインはチャイコフスキーの数多溢れるものとは必ずしも同じレヴェルとは言えず重苦しさが全編を支配。吹っ切れた感、無しな作品。シンフォニーとは言えず、標題音楽そのもと言った感は否めない。(別に悪い話でもないが)
2,3楽章は、小林棒のいつくしむような味わいが見事で、まぁ、共感の愛着が無ければこのような振りにはならないと断言できますね。

大胆なダイナミズムと幽玄さで音楽は進み、終楽章ではそれに寂寥感が漂い始める。吹っ切れない内容にふさわしい表現と言えば妙かもしれないけれども、この標題音楽の解決はこのようなものであるのだろう。作品が小林棒で息を吹き返したときにマンフレッドは終わりをむかえる。
一旦終わったようになり、1時間近く待ったオルガニスト、ようやくホールに響き渡る。オルガンとオーケストラの荘厳なサウンド。ゆっくりと静かに続き息絶える。炎、最高の棒。お見事の一言に尽きる!

以前振った時のような乱れはオーケストラには無い。力感、呼吸、静寂、ため息の出るような演奏。柔らかで包み込む響きがものすごく印象的な演奏。
譜面不要核心の炎。炎の日フィル。
ありがとうございました。
おわり


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