河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1526- ブルックナー4番、パッサカリア・イマジナリア、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ、読響、2013.10.12

2013-10-12 21:44:20 | インポート

2013年10月12日(土)6:00pm サントリー

スクロヴァチェフスキ パッサカリア・イマジナリア  23′

ブルックナー 交響曲第4番 ロマンティック WAB.104 20-15-11-21

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ 指揮 読売日本交響楽団


ブルックナーの7番は滑らかな曲でミスターSが強固な構築物にしようとすればするほど第4楽章のバランスが悪いのが出てきてしまう。それに比して、この4番は7番ほど流麗ではないが全体バランスがよく、Sが振ると不動の演奏作品となる。
この日も完全無欠のソナタ形式構築物の建立!!となりました。
構造が透けて見えるジャングルジムのような演奏、その鉄筋はさびることも動くこともない。とはいえ、ブルックナーの歌、みたいな部分もありました。硬い引き出しではあるがそれなりにあるのだろう。
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まずは初めの一言、ミスターSがブルックナーを振ると空気が変わる。これを今回も感じさせていただきました。ありがとうございます。
第1楽章の3主題提示部と再現部は、ほぼ同じながら第3主題の少なからずの加速化。特に再現部の方はコーダになだれ込みますので自然なアチェルランドが心地よい。でも、再現部のエンドとコーダの開始の節目はきっちりと切っていくあたり彼らしい。
また、展開部の表情が濃い。作曲家自身による主題のこねくり回しはあるがほぼ羅列状態の中、Sのちょっとした表情が濃く、これがブルックナーの歌なのですね、みたいな感じになるところがある。音楽の表情ですね。
そもそも、このオーケストラにはSの刷り込みがはいっているので、もはや細部の指示だけで十分なのではないだろうか。結構大胆な抑制指示とかが出ていて、パースペクティヴが効き、歌も良い。
あと、延ばし音符よりも同時進行の刻み音符を克明に響かせていたのが印象的でした。両端楽章が顕著でした。フィナーレのコーダなど、ホルンの3連符の方を聴け、みたいな振り方でした。
いずれにしてもこのような、強固で味わい深いブルックナーは他ではめったに聴くことはできません。今回もありがとうございました。
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前半の自作自演
Sの作品はわりと聴く機会があり、内容も好きです。
この日の曲は、もはや実験などといった言葉は彼にとっては陳腐であり、素材の駆使、そしてその先にある音楽の表情、そこに力点がいっているように聴こえる。フルオーケストラの鋭角的な響きが美しく響き、魅惑的。聴きづらさや、やにっこさがなく響きの世界にすんなりと入ってゆける。長い曲なのだが飽きのこない曲。管弦楽が分厚い曲だからかな。
この日の演奏も秀逸であったと思います。
出来ることならSの作品のCDは全部揃えたいと思っております。
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自作自演は譜めくりしていましたが、ブルックナーは譜めくりは不要でした。指揮台にスコアは置いてあるもののスポンジ?無しだったので最初からめくるつもりはなかったのでしょう。支えみたいなものですね。
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プログラムにSさんの二男坊の映像エディター、ニコラスさんの2ページの短文「素顔の父・スクロヴァチェフスキ」が載っております。文中ちょこっと拝借。
「~食器棚に大事に隠してあるとっておきの古いワイングラスが、父の美意識に従って配置されています。こうした穏やかで秩序正しい生活が、音楽的研究に対する深い集中や、作曲におけるクリエイティブな着想を支えているのです。~」
おわり