河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1477- オール・ベートーヴェン・プログラム、ロリン・マゼール、ミュンヘン・フィル2013.4.13

2013-04-17 23:50:00 | インポート

2012-2013シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2012-2013シーズン
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2013年4月13日(土)1:00pm
サントリーホール
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オール・ベートーヴェン・プログラム
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コリオラン、序曲
交響曲第4番
交響曲第7番
(encore)エグモント、序曲
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ロリン・マゼール 指揮 ミュンヘン・フィル
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1974年来何十回も観ているマゼールですけれど、この日のアンコール曲のエグモント、左手でコントロールした第1ヴァイオリンへの強い抑止(2回)、あのような仕草はこれまであまり観たことの無いものでした。もしかしてアンコールに関しては練習不足のため、その場での指示の徹底化だったのかなとも思いましたけれど、そうだとしても敏感に反応するオーケストラもすごい。どちらにしても音楽が生きている。生き生きしている。こうでなくては!
動きは小さくなりましたが、相変わらず棒さばきにはほれぼれする。プレイヤーは最少動きにも敏感に反応する。棒の動きがあって、それから音楽が奏でられる。音に合わせた小躍りのような指揮を昨今いろんな指揮者で見るにつけ、本当の音楽の姿をこうやって観られることの喜び。深い理解でベートーヴェン全体が視野にあって、それで一つずつ紡いでいっている、そのように聴こえます。
この日、マゼール節が出たのは7番の第3楽章でした。トリオにおける、怪獣が眠りについた様な表現から、スケルツォのぶ厚い音圧まで、多彩な響きにやられました。
あと、アレグロ・コン・ブリオの情に流されない正確なテンポ、加速が音楽をエキサトさせるということから少し距離を置いて、まず、そこにスコアがあるということでしょう。
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コリオランからコンサートが始まりました。素材主題が二つ、素材のままで置かれたような曲。指揮者とオーケストラ双方の充実度がはかられる曲ではある。ミュンヘン・フィルは艶やかで柔らかくなったような気がします。ブラスは遠慮した押しがウィンドの補完のように聴こえてくる。要は弦のまとまりがポイント。ヴァント&ハンブルクのような求心的なオケ配置(中央客席からコンマスの背中が見るような)ではありませんが、ややその傾向。限りなく重厚というサウンドではなくどちらかというと(ありきたりながら)南方ドイツ的。
ドラマチックでもなく、オーケストラの鳴るがままに、それでも味わい深いコリオラン。
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4番はもしかして1974年(*)に聴いて以来のマゼールの4番かもしれない。あのときの演奏会の事は全部覚えているし、クリーヴランドから同行した新聞記者たちにからまれて誰かさんのステッキを持たされポーズさせられ写真を撮られた。あれ、なんか記事になったのかな。色紙2枚にサインをもらえるだけもらって。ダニエル・マジェスケ、ダイアン・マザー他、しっかりもらいました。あの時の4番は、まるで水の中で弾いているような滴るようなクリーヴランドの音色に序奏から完全に打ちのめされました。それとものすごいスケール感。華麗なピアニシモでホールが鳴っておりました。
時は流れ、ミュンヘン・フィルとの4番をこうやって聴けるとは思ってもおりませんでした。だいぶ鳴りは異なる。入念な入りは昔と同じですが、こうゆうところよりも力点が移ってきたようにも感じました。
一番思ったのは第4楽章の主題の短めのアウフタクトのあとのバー冒頭の幅広な弦の圧力、ドイツのアクセント(なまり)のようにも聴こえます。こうゆうところの強調は以前はなかったと思いました。シンフォニックなベートーヴェン。譜面通りの形式、そしてそのロジカルな強調。シンフォニック。
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7番は柔らかい入り。肩の力がまるで抜けている。気張らなくても嵐のような第4楽章を表現できそう。第1楽章の展開部と再現部の第1主題が好きで、特にウィンドとブラスで付点音符が奏でられるときの爽快感。日本のオケではなかなか味わえない重厚な開放感。マゼールの指揮は目障りなところが皆無。曲に没頭できる。まず、曲を楽しめる。
第2楽章の踏みしめてするアンサンブルや一つ一つの音色がうれしい。第3楽章とフィナーレについては最初に書いた通り。
ベートーヴェンの音楽の喜びを肌で感じることが出来て幸せでした。エキサイティングなものから距離を置いた音楽自体の熱狂。
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アンコールは最初からエグモントとわかっていたような。ホルン空席2席最初から置いてありましたし。短い曲ですがこれもシンフォニックなものを強調していく。楽器のもがく音があるとき肉声に変わってゆきそうな変幻自在。雄弁なインストゥルメントの味わい。素晴らしい。
おわり
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(*)
1974年来日公演
ロリン・マゼール
クリーヴランド管弦楽団
ベートーヴェン 交響曲第4番
ベルリオーズ 幻想交響曲
(Encore)ヴェルディ 運命の力、序曲
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