河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1373- 未完成、英雄の生涯、ハーディング、新日フィル2012.7.6

2012-07-10 20:05:43 | インポート

2011-2012シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2011-2012シーズン
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2012年7月6日(金)7:15pm
すみだトリフォニーホール
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シューベルト 未完成
シュトラウス 英雄の生涯
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ダニエル・ハーディング 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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前週のタンホイザー、エルガーとだいぶ異なり、策を弄せず、いや弄していたのかもしれないが、音楽の揺蕩う(たゆたう)流れは自然であり、定まらずして定まる。
未完成は巨大な編成。未完成とは譜面のオタマが歯抜けだから未完成ということではない。そんなことをあらためて感じてしまった。
柔らかく始まる。タンホイザーの序曲もそうだった。でもまるでちがう。妖しさと不安げなざわめき、未完成の響きは魅惑的。そして音が角立たない。第1主題第2主題、曲想の変化、滑らかに推移する。エルガーのように細部に耽溺しない。
先を急ぐとはないが、音楽とは流れなければならないとシューベルトは言っている。両楽章ともに3拍子系の同じ雰囲気の中にあり、ハーディングとしても彼の今の方針であれば違いをくっきりとさせるような演奏にはならないのは聴く前からわかる。そもそも観点が別のところにある。
この曲の冷たい美の極致演奏はムラヴィンスキーのもの。第2楽章中間部のフォルテのフレーズをピアニシモから始めることにより氷の中で凝縮する美、シベリウスの7番を想起させる真の天才技。レニングラード・フィルを完全掌握し、圧倒的な技術レベル、真の美はスキルの中にある。ほぼ信念に近いのではないだろうか。スコアの読みに他演奏等参考になるものはなく、一切の雑念がない状態から生成していると思う。
ハーディングはそうではない。なにか肩の荷がおりたようなところがあり、まるで、前週の河童メソッドを読んで、はっと気がついてそれでスタイルをマイナーチェンジした。(ありえないw)これは聴く方の錯覚。
肩の力が抜け余裕があり、このシューベルトの流れに自然に身を任せられる、いい気持ちにさせてくれる。濃い表現は出来るが意識して排除しているんだよ、そんな感じの気持ちの良い演奏でした。
曲の恐さをまだ知らないのかもしれない。でも指揮者は振り続けるしかない。巨大音響を鳴らしながら、滑らかさも追求。このような縁取り感覚は好みです。それにしても巨大でした。
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ヘルデンレーベンは編成が超巨大。雄弁すぎて字幕付きオペラでも観ているようだ。スペクタクルなオーケストレーションでは右にでるものはいない。作曲者自身もそう思っているに違いない。めくるめく音色変化、全ての楽器を鳴らしきる。音響効果満点の曲、ハーディングは中心部に位置するウィンドから魅惑的な響きを引き出す。伴侶ヴァイオリンもあれぐらい頑張らないとこの音響ではつとまらない。
全ての楽器がピアニシモからフォルテシモまで完璧にピッチがあうような機能があれば、もっと力を抜いてもこれ以上きれいなサウンドハーモニーはない、というぐらいになると思うのだがそこまで贅沢に求めることもない。
ハーモニーばかり気を取られがちですが、リズムのきざみがきっちりしていて会話的な効果も十分に楽しめました。
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この日の未完成、英雄の生涯ともに最終音が鳴り終わり、音楽の響きの振動が止んでから拍手が起こりました。たくさんの聴衆のもとで概ね理想的な余韻を楽しむことが出来ました。いつもこのような演奏会であればいいですね。
フライングブラボーは「意識された感動」であり、始末が悪い。
この日の演奏会のことを忘れないようにしましょう。
おわり
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