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2011-2012シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2011-2012シーズン
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2012年4月13日(金)7:15pm
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ヨゼフ・スーク おとぎ話
ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン、マティアス・ヴォロング
(アンコール)バッハ パルティータ第3番よりガボット
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ヤナーチェク イェヌーファ、組曲(日本初演)
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クリスティアン・アルミンク 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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あらためて曲の真価を知るといった趣きでいい演奏会でした。スークのおとぎ話は初めて聴くのであらためてということではありませんけれど、なにかドヴォルザークにあったものがここにもあった。力を込めて聴けばどのような曲でも必ずいいところはある(変な意味ではなく)。曲の光を探す行為。それなりにアクティブではあるつもり。
標題音楽のイメージのふくらみを感じ取ることが出来ました。アルミンクはこの音楽もそうだがどうもチェコ風なものにこなれているというか感性があっているのか、いつぞやのマルティヌーも立派なものでしたし。
2曲目のドヴォルザークは本当にあらためて曲の大きさ、オーケストラのスケールの大きさを感じました。ヴァイオリンに直接絡んでくる旋律が多くてどうもすっきり感がない曲だと思っていたんだが、今日のヴァイオリンは艶やかさとともに幅のある音、力強く輝くサウンドで、強大なオケ伴に負けていない。
オーケストラ編成もこれだけ大きければ伴奏としてのサウンドは埃っぽくなりがちだが、この日のオーケストラは非常に丁寧な演奏に終始し微妙なニュアンスを飽きることなく聴かせてくれたと思います。いわゆる味のある演奏でこの曲にあらためて光りをあててくれた演奏。気持ちのいい演奏会ですね。
19:15から始まった演奏会はここまでで時計を見ると20:30、後半のヤナーチェクは30分ほどだが、始まる前からこの曲のウエイトをなんとなく感じる。休憩時間、外に出てみると雨、錦糸町に来るときは本当に雨が多いような気がする。5月22日オープン予定のスカイツリーも雲の中。
それで後半イェヌーファ、組曲ものとしては日本初演。このオペラは昔、METで観たことがあるがなにがなんだかさっぱりわからなかった。字幕などない時代、ネットなんかあるはずもなく情報皆無。日本語のあらすじ本もなかったと思う。当日もらったプログラムをめくりながら斜め読みしてのぞむ。日本語ではないので半分も読めず、幕が上がる。
遠い記憶の底にあるのは、さざ波のように打ち寄せるオタマジャクシ、そしてハートの鼓動のリピート。柔らかくて境目がなく大海の海原のような響き。なんとなく記憶にある。
この日の組曲は全曲からのピックアップ&編曲。遠い記憶が蘇えってきた。まさしく記憶通りのものが溢れてきた。そして新発見もあった。斬新な響きがいたるところにある。こんなに新鮮で強烈な音楽だったのかと。魅力的過ぎる。
全6曲エンディングのストップの仕方が非常にユニークで、これがチェコ語と言われればそうだと納得するかもしれない。ヤナーチェクは例えばハンガリーのバルトークみたいに自国の民謡のようなものを収集してあるいたのだろうか。音楽に言葉のアクセントが再現されるのは足で稼いだ自国への愛であって、これがあるからこそいわゆる民族音楽となる。ヤナーチェクはどうだったのだろうか。この日の編曲に声はないが、声の歌まで編曲しているのだろうか、そうであれば作曲家編曲者ともども並々ならぬ自国への愛で満ち溢れている。不勉強で的外れかもしれない。とにかくそう感じました。
それからこの響きなんですが、リズムに関してはマルティヌーほどではないにしろミニマルなものを感じます。これもさかのぼればドヴォルザークとかスメタナあたりまでいってしまい結局、チェコ音楽はそのような刻み大好きの音楽であってたまたまライヒとかグラス風に後になってそう聴こえてしまうだけだ、と言われればにべもなくなっちまうが、まぁ、その方向で聴いてみると非常に面白い曲が多いですね。マルティヌーもヤナーチェクも。
関連性の有無についてはこれまた不勉強でよくわかりませんけれど、自分にとってはエルガーの交響曲第1番をブラバンの曲だと思って聴くと飽きが来ず惹きこまれていくのと同じ感覚。普段こんな聴き方をしてます。だから音楽の流れ、歴史が織りなす流れがどうであれ自分で宇宙の法則を創っちまう。これって創造とは言わず、創造のねつ造なのかな。
おわり
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