河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1319- 第87回 新日本交響楽団 演奏会2011.11.27

2011-11-28 00:00:20 | インポート

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2011-2012シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2011-2012シーズン
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2011年11月27日(日)1:30pm
文京シヴィック・ホール
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ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
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グリーグ 「十字軍の兵士シグール」より3曲
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シベリウス 交響曲第1番
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(アンコール)
シベリウス アンダンテ・フェスティーヴォ
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新田ゆり 指揮 新日本交響楽団
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アマチュア・オーケストラの演奏会を聴いたことはほぼ皆無。東京フルトヴェングラー研究会の公演にたまにいくぐらいだが、これはちょっと主旨が違うし、とにかく初めてのような経験です。
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それで演奏会のお初の感想としては、一言で言って、ゼロから100へ。そんな感じ。だんだん良くなり最後はアンコールで燃え尽きたという感じですね。ワーグナーのどちらかというと物語前史のタントリス状態から徐々に燃えフェスティーヴォにたどり着いたというところでしょうか。
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メインディッシュのシベリウスの1番は、指揮者がいかにもシベリウスのオーソリティといった雰囲気でこなれた棒になっていました。クラリネットの序奏に続く第1主題のテンポが結構進みまくるので驚きますが、メリハリをつけたというところでしょう。ただ個人的には第1主題は序奏と同じ速度で行ってほしかった。シベリウス特有の透明感はソロ楽器ではなく合奏で限りなくでてくるものですから。曲の第1印象としてあるのは序奏ではなくやはり第1主題。
昔々最初に買った1番のLP(アナログディスク)は、アンソニー・コリンズの棒、ロンドン交響楽団のロンドン・レーベル。これを最初に聴いたときはインパクトありましたね。学校に持って行って音楽室でブラバンの連中に聴かせましたから。全日本吹奏楽コンクールなんかでも材料が過激にオーケストラ曲に偏向していった時期があり、よもややるまいと思っていたタコ5の第1楽章!、シベリウス1番の第1楽章!、ここらあたりまで行き着いてしまった時期がありましたから。定期演奏会では運命の第3,4楽章とかね。ブラバンですよ。まあ、そんな時代もありました。
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シベリウスのこの第1楽章は、吹奏楽でもオーケストラでも序奏の後の透明感の深さで決まります。今日の演奏はその部分を深く味わうには少しスピードがありすぎました。埃っぽくなり輪郭の明確さが多少犠牲になる。でもいわゆるモザイク語法の初期ではあるのですが、一見(一聴)気まぐれ風なショート・フレーズが次々につぎはぎにされ最後はジグソーがはまったような感覚、この曲はまだ初期ですのでそこまではいきませんが、後記交響曲をイメージさせてくれていたように思います。
第2楽章の広い音楽、前広で豊かな音楽になっておりました。第3楽章のトリオのブレーキ感、いいですね。
第4楽章は、横ではなく縦の響きです。フレーズが縦になっている。ろうそくの炎の核が上に向かうように、そのような流れです。ミステリアスな垂直的な響きがよく表現されていました。第3楽章の爆発は間違いのないところで腕達者なオーケストラだと認識できましたし、そのまま第4楽章へアドレナリンがうまく移っていき最後の爆発とピチカート、よく決まりました。あの響きを最初に感じたい。第1楽章の透明な第1主題ですでにミステリアスなピチカートが用意されている。そういうことなんでしょう。
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前半1曲目のトリスタンは前奏曲結尾の盛り上がりのあたりで急激に合わなくなりましたけれど、プロとアマの違いは演奏中の自発的な矯正力の有無といったところかもしれません。愛の死は字余り的でメリハリが今一つ。指揮者がワーグナーに慣れていないというか今一つオペラの呼吸になっておりません。
2曲目のグリーグでようやく活力が出てきました。指揮者が積極的に音の粒立ちにもっと関与してもいいと思うのですが、とにかくいい方向感が出てきました。
そして最初に書いた通りシベリウスのメインディッシュはよかったと思います。
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それでアンコールのアンダンテ・フェスティーヴォ、祝祭アンダンテですね。弦のウエットで幅広い表現を全部聴きことが出来ました。ここで最高潮、最初のワーグナーから始まりようやく頂点を聴けました。指揮者の最も得意とするところでもあったようです。
この曲を世の中に知らしめたのは、個人的には、たぶん、ネーメ・イエルヴィ&エーテボリのCD黎明期のBISから5番との組み合わせCD。イエルヴィはその後DGにも全集を作っているが、アナログ・ディスクからCD移行期の全集が印象的です。ブラックディスクはジャケットもブラック模様で、移行期のCDも同じような雰囲気。新鮮なシベリウスを呼吸のように聴きました。とにかくあのあたりからこの佳作が比較的演奏され始めたように思います。初めて聴いたときのみずみずしさを思い出すことが出来てよかったと思います。
(イエルヴィは1970年代後半1980年代前半あたりのNHKの表記です。いまはヤルヴィと発音、表記されてます)
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このホールで聴くのはお初です、天井が高すぎるのか拡散系でまとまりのつかないホール音。また椅子の座り心地がやたらとよくない。前に狭い。
コンサートホールという感じではない。シヴィックなホールということで。
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シベリウスつながりということで、
ムラヴィンスキーの棒による7番を紹介しておきますね。

1251- シベリウス交響曲第7番 演奏は曲を超えた。異形の絶演!ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル(改変・再々掲)

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