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2009-2010シーズン聴いたコンサート観たオペラより
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今日はカンブルラン&読響の7月公演より
この月のカンブルランは非常に多彩なプログラムで唸らせる。
ベルリオーズ、オネゲル、ラフマニノフ、ムソルグスキー、ハイドン、ヴァレーズ、マーラー、フォーレ、メシアン、ドビュッシー、デュティユー、メンデルスゾーン。
このうち14日の公演はこんな感じ。
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2010年7月14日(水)7:00pm
サントリーホール
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フォーレ ペレアスとメリザンド
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メシアン 鳥たちの目覚め
ピアノ、児玉桃
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ドビュッシー ピアノと管弦楽の為の幻想曲
ピアノ、児玉桃
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デュティユー 5つの変遷
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シルヴァン・カンブルラン指揮
読売日本交響楽団
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多彩なプログラムで圧倒。
フォーレの第一フレーズ、抑えた第二フレーズ、この丁寧さを聴いただけでこの絶好調男の充実感が手に取るようにわかる。今が一番乗っている棒振りだろう。積み上げてきたものを自由自在に振れるみなぎる力を強く感じる。
フォーレはペレメリ・シリーズ、シェーンベルクに続く二つ目。全く異なる音楽ではあるが、その静けさには妙に聴き耳をたてさせる。美しい音楽。
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児玉桃がほぼ弾き語りのような様相の鳥たちの目覚めは、フォーレの後ではあまりに鮮やかな響きで思わず耳を奪われる。最初から最後まで鳥だと言われればそれまでなのだが、トゥーランガリラの後の作品で、その響きのきざみ節的な感覚はここでも鋭利でグリースだ。このピアニストはお初ですけれど、舞台感覚は日本人ではないだろう。国際派というより来日演奏家といった感じ。
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メシアンの響きよりプログラム後半のドビュッシーの曲の方が、はやりそうもないのは聴き耳を立てなくてもそんなもんだろう。ピアノが邪魔というかしっくりしないというか、なによりも音楽が板についておらず説得力のない曲であまり面白くない。
カンブルランは当初のプログラミングを変えて2曲目と3曲目を入れ替えた。フォーレのあとはシャープなメシアン、ドビュッシーのあとはメタボール。その対比の妙を浮き彫りにしたのだろうか。このほうがいい。カンブルランはこの月、多彩なプログラムなのだがラヴェルは振らないのだろうか。ドビュッシーではなくラヴェルでも聴きたかったような気がする。
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メタボールこそはカンブルランの得意技。このての曲を振るときの棒さばきは大したもの。
以前2006年に聴いたトゥーランガリラにもいたく感銘をうけたものだ。
1916年生まれのデュティユーは存命。メタボールは1965年ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団により初演。若気のいたりというには晩い曲ではあるのだが、それでもやっぱり機は熟したという時期は、ほかの作曲家同様割と早めにやってくるものなんだろう。晩ければいいというもんでもない。
変遷メタボールは5曲からなる変容。初めて聴きます。変容というより全体になにか上昇するような雰囲気を感じさせる。それと緊張感。一瞬の閃きで作った曲のように思える。このような場合、大概出来のいい曲となっている。
5曲目は読響の腰のある動きが見た目以上に軽やかに動き、重い響きが自在な動きを感じさせるとき指揮者の意思がとおっているのであり、またメンバーたちの積極的なやる気度もなみなみならぬものがあった。切れ味鋭い演奏で、指揮者、オーケストラ双方お見事でした。
おわり
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