山田耕筰の大作オペラです。気合いをいれて観にいってきました。
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2008年2月22日(金)6:30pm
新国立劇場、オペラパレス
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山田耕筰/黒船-夜明け
Black Ships
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お吉/釜洞裕子
お松/青山恵子
姐さん/永田直美
吉田/星野淳
領事/村上敏明
伊佐新次郎/大島幾雄
盆歌,舟歌/福井敬
他
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尺八/三橋貴風
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東京交響楽団
新国立劇場合唱団
若杉弘、指揮
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序景:30分+第1幕40分
第2幕30分
第3幕65分
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日本のオペラはたぶんはじめてみる。
オールジャパニーズキャスト。
演出、演奏、歌、の勝利。
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序景は今まではカットするのが普通だったらしいが今回初めて復活。約30分。
それを含め御覧の通りのタイミングだからかなりヘビー級なオペラだ。
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これはオペラ好きが普通に観れるオペラだ。これが一番の強み。
それに新国立劇場ができてから日本でも来日引っ越し公演にたよらない国内製の上演を観ることができるようになったため、観る経験、が圧倒的に増えた。それにレベルも高い。
そのような成長の中でこの黒船も身構えることなく普通にオペラ好きが受け入れることのできるオペラだと思う。
20年前ならそのイベント性だけで終わっていたと思うが、今このような時代背景のなかで観ると好評につき再演があってもおかしくない。
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ストーリー、時代のことなどは新国立劇場のHPを見ていただくとして。
いきなりの盆祭りの騒ぎから静かな局面へと舞台上は推移していくが、左右を狭くした舞台配置はそれでなくてもあまり幅のないステージを狭いものとし、またいろいろなものが舞台にでてくるので少し説明過多の気がしないでもない。これは序景の様子だが、以降同じような傾向はある。
また、山田のこのオペラ、歌から歌へのつながりがあまり良くなく、歌い手が出てくる場面がストーリー性とあまり関係なく歌うために出てくるといった傾向がある。これはきょうの素晴らしい演出でもいかんともしがたい部分だ。
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それはそれとして、最後まで観終えて、
序景と続く第1幕が総じて緊張感があり隙間のない音楽となっている。観聴きするほうとしても初物でありそこらへんの緊張感も上乗せされているかもしれない。
序景は説明過多なのはアメリカでの上演を想定しているため納得できる。というより現代の日本ではこのくらい説明しないとわからない人が多くいるかもしれない。
作曲した当時の昔から見た昔が、現在からみると同じ昔に見えてしまうほどの時の流れの速さであり、そのことが逆にオペラというものを過去の遺産のように感じさせ、いわゆるイタオペの時代背景のような感覚で観ることができるようになってしまっている。序景の復活はそれだけでも意義のあることであり、今日の舞台、演出は見事の一言に尽きる。
お吉の「不思議やああら不思議やな」をものの見事に歌い上げた釜洞のいきなりの絶唱に聴衆は素早く反応し心地よい緊張感はさらに聴衆を黙らせながら徐々にヒートアップしていく。
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第2幕の30分は深みよりも、はかなさが出ておりストーリーは深刻ではあるがあまりそのようなことを感じさせない。第1幕からこの幕と領事が歌う「からたちの花」調のアリアはここでも素晴らしく一貫性のあるものとなっている。
ただ、この幕は第1幕のような緊張感はあまり感じられず、こちらもちょっと流された。
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第3幕は3場構成。次々と場面が変化する。仕掛けが横にスライドする舞台で作りも昔の日本風な簡素なもので音楽の流れが途切れることはない。
最終シーンは、お吉が真ん中、右に白装束割腹自殺寸前の吉田、左に領事を配し、聴衆が固唾をのむ中、幕が下りる。
何かが終わり、何かが始まる、そのような気配を感じさせつつ幕が下りるシーンは非常に印象的で演出の勝利。
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演出はやや説明的ではあるが、そんなこといったら日本語のオペラに日本語の字幕がつくのに比べたら説明的なんていったって、今はこのくらいの説明舞台でないと聴衆も楽しんでくれない、といったところもあるし、いずれにしろ現在の潮流に沿った見事なものであった。
字幕は日本語のオペラでも威力を発揮。歌だと発音がわからなくなることもあるし、歌だけでなく長い語りのような場面もあるので正解だ。
演奏はオーケストラのレベルが高いというか、演奏者が日本の音のDNAをもっているためか確信のある音出しであり、若杉の棒によく反応していた。
歌は釜洞をはじめみんな素晴らしく日本人が日本語のプロンプター(あったかどうかわからないが)、または暗記?かもしれないが、日本人が日本語で歌う分、頭の中でトランスレートするものがないためか気が少しは楽なのかもしれない。
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今回は3回のみの公演であり、せっかく練習しておいてたった3回だけというのはどうにももったいない。再演をのぞむ。
今だからみなければならないということはないが、新国立のラインナップに連なる公演とするだけの価値あるオペラと痛感。
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今日のプログラムは800円。価値あり。
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