先週、ぶらっと山野楽器にいったら写真のようなCDがあった。
厳密にはCDではなくXRCD24というもの。
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ブルックナー作曲交響曲第5番
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ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮
チェコ・フィル
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録音1970年
価格¥4,200
2枚組
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オリジナルマスターを使用して、XRCD24という方式で作成されたもの。
通常のCDプレイヤーで24ビット相当の再生が可能。
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XRCD24はSACDではないが、これまたベラボーに音が良いので、昔のLPの価格帯ながら、結構たくさん持っている。ストコフスキーのラプソディーズなど普通のCDとは、かけ離れた良質のサウンドで甦っているものが多い。
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今回のブル5は枚数やデザインがほぼLPイメージ。全体のサイズは違うけど。
ブツは見開きジャケにCDが昔のLPのごとく2枚納まっている。
第1,2楽章で1枚、第3,4楽章で1枚。
ものの見事にLP感覚。
違いと言えばA面B面のひっくり返し動作がいらないこと。
音は、スプラフォンやDENONなどからでている通常のCDとは比べ物にならないぐらい、いい音。
全く違うということはないが、ザラザラした肉厚感など、目から耳から鱗だ。
ただし演奏内容は通常CDと同じ。あたりまえだ。
剛直、質実剛健、ブンブン、という感じで、全く香りのない強面の解釈だ。
ライナーノーツは宇野さんの絶賛の言葉がのっているが、
演奏はハッキリ言って、時代おくれ。
というか、現代の解釈とは180度異なる。
いつまでもべたほめしているのもどうかと思う。
今の潮流というのは、スローなテンポで一つずつかみしめ、すべての音符を鳴らしていくスタイルが主流。
早い話、(日本語の意味で)スマートな演奏が多勢。
多勢に無勢とはいわないが、あまりにもかけ離れているため、天然記念物みたいないものだが、そんなことをいったらクラシック音楽自体が天然記念物みたいなものなのだから、それを崩さない程度の範囲で、話を進めていかなかればならない。
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オペラを振っていた人間にとって交響曲なんてホントに簡単なもの。
どんなしろものでもだいたい、サッと振れてしまうものだ。
総合芸術ではないので、オケと曲のことだけ考えていればすむ。
だから、交響曲・管弦楽は、演奏の解釈がされやすい。
オペラ指揮者にとって、交響曲は自分の主義主張を簡単にぶち込むことができる手っ取り早い音楽媒体なのだ。
だから、このような豪放磊落な演奏も簡単にできてしまう。
まぁ、やろうと思ってやっているわけだからその意味では成功した、ということになるのであろう。
オペラはそうはいかない。
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それにしても37年前のブル5を高音質化して出さなければならないほど、今の指揮者の才能は無いのだろうか。
無いのであろう。きっと。。
オペラを通り抜けてきた指揮者(昔はみんなこんな感じ)の振る交響曲は、
いと易し、
ではあるが、棒に限りない自信が植え付けれているため、確信をもった演奏であることが多く、サイケデリックな演奏にも、比較的容易に納得できる部分がある。
生まれつきのコンサート指揮者は、交響曲管弦楽ばかり振っていると、
ふと、これでいいのかしら、と思うことがあるかもしれない。
あったほうがいいと思う。
征爾小沢のように後付けオペラで、ウィーンの音楽監督になるなんてアンビリーヴァブルなパターンもあるが、日本で有料の練習をしてから現地で同じ出し物を振ってるんじゃないかぁ。ほかに練習する場所がないからしょうがないと言えばしょうがないが、そのとき無いと思っていたツケもあとでまわってくることがあるものだ。
彼のオペラの棒はあまりよく知らない。残念だ。。
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ということで、日本では宇野さんの影響の大きい指揮者マタチッチであるが、
極度の美化は滅亡をまねく。
心にばい菌を。
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