じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

安東能明「撃てない警官」

2021-01-28 20:13:59 | Weblog
★ 安藤能明さんの「撃てない警官」(新潮文庫)から、表題作と「随監」を読んだ。

★ 警察小説といえば、刑法犯を追う刑事課やテロ組織などを追う公安警察を舞台にしたものが多いように思うが、この作品の主人公は現行犯逮捕を経験したこともない管理部門の警部だ。

★ 警視庁総務部企画課企画係の柴崎令司警部に上司から電話がかかってくる。精神的に不安定だった部下が回復してきたので拳銃の射撃訓練をさせてやって欲しいとのこと。上司の指示なので、柴崎も許可のハンコを押す。ところが、その部下が訓練場で拳銃自殺をしてしまう。

★ 悲惨な現場を見て動転する柴崎。その上、上司の課長は電話などかけていないというのだ。結局、責任を押し付けられて、柴崎は左遷されてしまうのだが、彼はどうも納得がいかず、真相を追い求める。

★ 「随監」は左遷先の所轄での話。方面本部の随時監察が入り、放置された被害届の存在が明らかになる。その被害届をめぐる人間模様が描かれていた。

★ 警察組織というのは、一般人にはなかなかわかりづらい。犯罪組織同様に「隠語(業界用語)」も多い。そうした実態をこの作品は教えてくれる。

★ ドラマ化(2016年)もされていたので観た。主人公の警部役は田辺誠一さんが演じられていた。
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