昨日、エイプリル・フールズでもお馴染みのセンベーさん&KIKUKOさん夫妻が所属するバンド、PLAY BACK PARTYのライブに行ってきたのである。え?日本シリーズの最中だというのに、試合も見ないで出かけて行ったのか、って? 世の中には、日本シリーズよりも大事なものがある、ってことですよ(笑)
このPLAY BACK PARTYは、古き良き歌謡曲のカバーを中心に演奏するバンドである。ま、噂によると、次のライブでは洋楽オンリーだそうだけど(笑) で、昨夜のライブで演奏されたのは、
1.古い日記
2.恋の季節
3.かもめが翔んだ日
4.喝采
5.また逢う日まで
6.卒業写真
7.どうにもとまらない
8.六本木心中
許可なしに掲載しました。センベーさん&KIKUKOさん、ゴメンナサイ。それにしても、特定の世代(最近こればっかし)にとっては、涙なしには聴けない名曲の数々。正直言うと、「卒業写真」だけは毛色が違うかな、という気がしないでもないが(笑)、懐かしくも新鮮な昭和の歌謡曲に、どっぷりと浸らせて頂いたのだが、中でも特に感激してしまったのが「喝采」である。
ご存知、ちあきなおみの最大のヒット曲にして、昭和いや20世紀を代表する名曲である。この曲がレコード大賞を受賞したのは、テレビで見てたから覚えているが、いつ頃かは忘れていた。1972年だそうだ。僕は小学4年生である。この時既に、「喝采」は忘れられない名曲となっていた。ませたガキだったのかどうか(笑)
今と違って、昔はオリコン上位に入るヒット曲は、テレビでも街中でも、とにかくあちこちで聴く事が出来たから、「喝采」はガキでも知ってたし、なんとなく歌詞を覚えて口ずさんだりしていた。でも、ガキには難しい内容であったのも確かだ。
いつものように幕が開き、恋の歌うたう私に
届いた知らせは、黒い縁取りがありました
だいたい「黒い縁取り」の意味が分からない(笑) 曲全体も通して聴いてると、ストーリーがあるのは分かるのだが、でもやっぱり理解出来ない。で、母親に聞いたら、「黒い縁取り」とは死亡通知の事で、ハガキの縁を黒く塗ってあるのだ、と教えてくれた。そして、続けて母親は、「都会に出て歌手になるという夢を叶える為に故郷の恋人を捨てた女が、望み通り歌手になるが、ある日捨ててきた恋人の死を知る。そして、悲しみに打ちひしがれながらも、死んだ恋人の為、そして自分の為に歌い続けていこう、という決意を新たにする」という、この「喝采」のストーリーを解説してくれた。正直言うと、ショッキングであった。流行歌に人の死が歌われている、というのもあるが、ほんの数分間の歌の中に、こんなドラマがあるなんて、という驚きの方が大きかったと思う。
実際の所、10歳のガキに、そこまで解説してくれた母親も大したものだと思う(笑) 理解できるかどうか、きわどい年齢だし(笑) でも、そんなドラマは理解出来なくても、聴く人を引きつけずにはおかない、圧倒的な力がこの曲にはあった。詞にも曲にも、そしてちあきなおみの歌唱にも。だから、何も分からない僕でも、素直に感動していたのだ、と思う。ここいらは、聴いて貰わないと分からないのではないかな。
そんな圧倒的な力を持った名曲を、流行歌のひとつとしてリアルタイムで体験出来た自分は幸せだと思うし、そういう楽曲を生み出した昭和という時代に生きる事が出来たのも有り難い事だと思っている。くどいようだが、だから昔は良かったんだ、と言う気はない。現代には現代のリアルな歌があると思うからだ。けど、市井の全ての人を感動させ、しかも何十年経っても色褪せることのない力を持った曲が、どの程度あるのかは疑問に思う。これは、ただ単にリアルタイムで知ってた、というだけの感覚なのだろうか。いや違う。あの時代の歌は違うんだ、と僕は思いたい。
「喝采」、今聴いても素晴らしい曲だ。昨日のPLAY BACK PARTYのライブで、久しぶりにこの曲を聴いて、ほんと僕は涙せんばかりに感激した。もちろん、こんな事はセンベーさんにもKIKUKOさんにも言ってないけどね。なぜって?だって、恥ずかしいもん(爆)