中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

健康情報の取り扱い方

2021年12月14日 | 情報

健康情報の取り扱い方で、トラブルが多いようです。
「健康情報の取扱規程」って、なに?という質問もあります。

1.前提;
健康情報は、個人情報の中でも 特に機微(センシティブ)な情報とされています。
個人情報は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)で、多くの規制がかけられています。
しかし、個人情報のなかでも、健康情報は、個人情報の中でも 特に機微(センシティブ)な情報と
されていますので、安衛法に心身の状態に関する情報の取扱いについての規程が追加されました。

2.「健康情報の取扱規程」
法令では、よくわからないので、「労働者の心身の状態の情報の適正な取扱いのために
事業者が講ずべき措置に関する指針」(2019.3.28)が公表され、
すべての企業は(安衛法では珍しく、企業単位です)「健康情報の取扱規程」を
定めなければならないとされました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html

参考に、中災防 安全衛生情報センターの情報です。

https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-20/hor1-20-19-1-0.htm

なお、厚労省は、「本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、
事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたものである。」と
しています。

3.「事業場における労働者の健康情報の取扱い規程を策定するための手引き」
それでも、「健康情報の取扱規程」を、どのように策定しなければ、
これもよくわからないということで、手引きが公表されたのです。

https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf

4.策定にあたって
参考に、と云うよりも、手引きをほぼ丸写しでOKです。
策定は義務ですが、当規程を規定しないことによる罰則は、ありません。

5.情報の取り扱いポイント
①情報の収集は最小限で本人の同意を
②情報は集約・整理を
③情報の漏洩防止策を
④情報の取り扱いルールを策定し周知を
⑤情報の第3者提供は本人の同意を
⑥収集した情報を労働者の不利益になるように取り扱わないよう 等
註:各種指針等にも情報の取り扱いに関する規程があるので留意

6.社内でのトラブル対応

① 健康情報は、50人未満の企業では、人事労務の責任者に集約してください。
② 少し規模の大きい企業における多くのトラブルは、
人事労務部門と産業保健スタッフの対立が原因です。
この場合には、当事者間でよく話しあって解決の糸口を探してください。

話し合いのポイント
・情報を使用する目的はなにか?
・情報の提供先はどこかを明らかにする
・提供先を絞り込み、提供先に情報の秘匿を確約させる
・情報提供の取り扱い責任者を決める

(参考)職場と健康情報 産業医学振興財団
健康情報の取扱い
・健康情報は「要配慮個人情報」
・セキュリティーを確保ー鍵のかかるキャビネット、電子媒体はID、PWを設定
・健康情報を取扱う人を限定ー衛生管理者、衛生推進者等に、守秘義務を課す
・病名や検査結果等の生データは医療職に取扱わせる
・事業場のルールを決めるー健康情報取扱規程の策定、教育の実施(労働者・管理監督者対象
・法定健診項目以外の情報は本人からの提出か、同意を得て適切に活用する

https://www.so-net.ne.jp/webmail/index.php/mail

(参照)働き方改革関連法解説(労働安全衛生法 産業医産業保健機能の強化関係)厚労省

https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf

当ブログの再掲
・事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き
2019年04月09日

・(第6編)こころの健康確保対策 個人情報保護
2020年10月23日

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