熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ベネチアで記録的な高潮、サンマルコ大聖堂も浸水被害

2019年11月13日 | 地球温暖化・環境問題
   AFPが、”水の都ベネチアで記録的な高潮、サンマルコ大聖堂も浸水被害 ”と報じている。
   イタリア・ベネチア(Venice)は12日夜、過去50年以上で最高水位の高潮に見舞われた。潮の監視センターによると、今回の「アクアアルタ(Acqua alta、イタリア語で高潮の意味)」の水位は最高で187センチに達し、記録がある1923年以降、1966年の194センチに次ぐものとなった。海抜が低い地域にあるサンマルコ広場(St Mark's Square)は特に影響が大きく、同広場にあるサンマルコ大聖堂(St Mark's Basilica)は入り口付近が水に漬かった。と言うのである。

   口絵写真は、AFPBB Newsからの借用だが、サンマルコ広場が水浸しになっており、朝日新聞の報道では、
   ”最も標高の低いところにあるサンマルコ寺院は、12日の高潮で深刻な被害を受けた。伊紙レプブリカ(電子版)によると、寺院入り口近くの柱廊では高さ70センチまで浸水し、大理石の柱や建物のれんがが被害を受けた。「1200年の歴史で6度目」という深刻な被害で、同寺院を担当する国の財物管理官は「水が引いた後も残る塩害が心配だ」と懸念する。”と報じている。
   AFP記事の写真を借用させてもらうと、高級ホテルも水浸しである。
   

   サンマルコ大聖堂のHPを見れば、
   On Wednesday November 13 2019 St. Mark’s Basilica and Bell Tower will open at 1:00 p.m. due the high tide.と書いてあるのだが、こんな時にもオープンしているのであろうか。

   船着き場の正面に、聖マルコと聖テオドーロの円柱が立っていて、その背後の広場を、ドカーレ宮殿を右に見て進むと、すぐ右手に壮大なサンマルコ大聖堂が立っていて、その前の広いサンマルコ広場まで、海岸縁から、僅かな距離しかなく、広場の高さは海抜2メートルもないくらいであるから、一寸した高潮でも、水浸しになる。
   ベニスの旧市街は、海水と淡水が混じる水深の浅い潟に木の杭を打ち込んでつくられた街であるから、地球温暖化の影響による海水面上昇による被害は致命的で、平均海面が2050年に最大約42センチ、2100年には最大約108センチ上昇すると想定されているとかだが、これに満潮時の上昇分が加わり、高潮などが起こると冠水は免れようがない。
   7世紀から地中海の文化文明の中心として燦然と輝いていたベニスが、今まで、その雄姿を維持しながら、その発展による地球温暖化によって、いつかは、アトランティスのように消えて行くかもしれないと思うと寂しい。

   尤も、政府も座視していたわけではなく、大洋につながる3つの水路の3ヶ所にフラップ式の可動型ゲートを設置し押し寄せる海水を止めようとする巨大な公共工事モーゼプロジェクトを推進している。
   しかし、2003年にスタートして8年間で完成する予定だったのが、そこは、イタリアで、汚職で首長が逮捕されるなど頓挫していて、いまだに、完成しておらず、完成しても、ベニス全土が冠水から免れる保証はないという。

   私は、1973年正月に、初めて、あのキャサリン・ヘップバーン主演の映画「旅情」の冒頭とラストシーンの舞台になったサンタ・ルチーア駅についてヴァポレット(水上バス)に乗って運河を渡って、サンマルコ広場近くの船着き場について、仰ぎ見たのがドカーレ宮殿と、このサンマルコ大聖堂と鐘楼、
   ヨーローッパ歴史を勉強していたので、ベニスの栄光の輝きを想起して感激しきりであったが、その後、ヨーロッパに8年住んで居たので、何度かベニスを訪れていて、中世にタイムスリップしたような雰囲気の中で、文化文明の軌跡を追って歩くのが楽しみであった。

   さて、先にレビューしたヘンリー・ポラックが、「地球の「最期」を予測する」で、ベニスの洪水に触れている。
   運河は外界に繋がり、海は手袋のように市を囲んでいて、サンマルコ広場は、海からの強風、高潮、豪雨などによる洪水の影響を受けやすい。
   水面はIPCCの予測の上昇の範囲内だが、海面は徐々に上がっているので、3つの原因が同時に起こらなくても、更に頻繁に洪水に見舞われるようになる。と言う。

   問題の根本は、地球温暖化による海水面の上昇で、2つの原因があると言う。
   1つ目は、単純な物理学で、海水温度が上がると海水が膨張すること、2つ目は、大陸に何千年間もあった氷が溶けて海に戻ることで、地球温暖化を阻止する以外にない。と言うことである。
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