熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立能楽堂・・・組踊「雪払い(ゆちばれー)」

2016年11月01日 | 能・狂言
   今日の国立能楽堂の「◎古典の日記念2<雪舞う里に>」は、
   組踊  雪払い(ゆちばれー) 眞境名 正憲、親泊 興照  
   能  鉢木 坂井 音重(観世流)

   沖縄の組踊は、これまでに、能を本歌取りしたと言うか、能「羽衣」からの「銘苅子(めかるしー)」と能「道成寺」からの「執心鐘入」を見たのだが、非常に興味深かった。
   能に近い、動きを最小限に抑えた非常にシンプルな舞踊を伴った舞台劇と言った感じで、舞台も極めて単純化されているのだが、非常に優雅で素晴らしい古典芸能である。
   登場人物が、台詞を、非常に抑揚の利いたリズム感豊かに歌うように喋るのだが、これが、大変、美しく聞こえて心地よい。
   それに、バックの、能における地謡と囃子に相当するのが、謡を兼ねた3人の三線と、琴、笛、胡弓、太鼓の伴奏楽器による音楽だが、組踊や古典舞踊とともに、発展してきたと言い、非常に素晴らしくて、これを聴くだけでも値打ちがある。

   そして、衣装がカラフルで非常に美しい。
   私には、首里織と言うのか、びんがたと言うのか、良く分からないのだが、それに、古い時代の舞台を現出する所為もあるのであろうが、中国風と日本風を折衷しながら独自のスタイルを創り出したエキゾチックで美しい舞台衣装が、印象的である。

   組踊の役者は、男優で、歌舞伎と同じなのかどうかは分からないが、びっくりするほど、女形は女性的で美しく、今回、思鶴を演じた新垣悟は、仲間由紀恵に似た雰囲気で、実に優雅に品良く振舞い踊る姿は、特筆ものである。

   さて、この組踊「雪払い」は、能「竹雪」を脚色したもの。
   能「竹雪」は、喜多流と宝生流にしかない稀曲のようだが、組踊と違って、主の留守中に、姉弟の内、弟の方が継母に虐げられて、竹の雪を払われて極寒の中で死に絶え、竹林の七賢人の声で蘇ると言う話のようである。
   国立劇場おきなわのパンフレットによると、
   ”「雪払い」は、仇討物が多数を占める組踊のなかで、人間の愛情の機微を描いた数少ない世話物の作品です。姉弟がお互いに気遣いあう姿、継母にいじめられている子供が継母の窮地を救うそのいじらしさは、今も昔も人々の心を打ちます。また、物語の中で雪が降る設定も琉球芸能では珍しく、舞台上で幻想的に舞い散る雪もお楽しみください。”
   雰囲気を示すために、ポスターを借用する。
    

   最低でも、10℃くらいだと言う温かい沖縄で、雪が降る筈はないと思うのだが、口絵写真の能舞台のシテ柱後方の垣根が雰囲気を出している。
   地謡座に、まず、奥から太鼓、琴、三線3、胡弓、笛の順に音楽方が並ぶ。
   

   ところで、組踊は、古い言葉かどうかは分からないのだが、当然、沖縄言葉で演じられるので、少し分かる程度で、殆ど理解できないし、それに、能よりは動きがあるものの、舞台演劇とは違って、役者も能の直面のように表情を表さずに、非常に切り詰めて様式化された舞踊劇なので、ストーリーを知らずに舞台を見ているだけでは、中々、微妙なところまでは十分には楽しめない。
   国立能楽堂では、詞章がディスプレイされるのだが、これだけではダメで、私は、プログラムの訳を対照しながら鑑賞した。
   国立劇場おきなわで、琉球舞踊と組踊を、一度観たいと思っているのだが、上演される機会は、かなり、少ないようである。

   とにかく、私には、優雅で美しい組踊の雰囲気が好きで、それに、能に触発されて生まれた古典芸能でもあり、能を題材にしてストーリーを展開して、新しい古典芸能を生み出すと言う、文楽や歌舞伎とは、一味違ったエキゾチックな変容が、魅力である。
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