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フィリップ・グロードさんのこと

2013年02月19日 22時31分31秒 | つれづれ日録
 札幌時計台ギャラリーから「21ACT」の145号をご恵送いただきました。
 いつもありがとうございます。

 「ACT21」は同ギャラリーが年6回発行しているフリーペーパーで、道内の美術展評や、同ギャラリーで開かれた展覧会の評などが細かい活字でびっしり掲載されている。
 ギャラリーのオーナー荒巻義雄さんの随筆も楽しみである。
 末尾には、同ギャラリーで近く展覧会を開く人たちの「ひとこと」が載っている。4月第1週は毎年、函館の抽象画家、外山欽平さんが油絵個展を開いているのだが、今年は、外山さんは、つぎのような文を載せていた。

 グロード神父が亡くなりました。絵を描くのが大好きな方でした。

 焼鳥屋の壁に汚れた絵があったので洗ったら神父の八雲の港を描いた作品でした。日本に来てすぐの作なので六十年も前のことです。

 それを神父に話したらいいのか迷っているうちに本当に日本に骨を埋めてしまったのです。


 フィリップ・グロードさんはカトリックの神父で、函館市内で特別養護老人ホーム「旭ケ岡の家」を運営するなど、社会福祉に力を注ぐかたわら、いまや夏の函館の風物詩となった野外劇の創始者として、長く実行委の委員長を務めた。
 昨年暮れの27日、85歳で亡くなった。

 外山さんは、絵筆を執るほかに、その野外劇では毎年舞台監督を務めてきた人だから、グロードさんとは盟友といっていい。
 2004年に札幌時計台ギャラリーで開いた個展は「グロードさんの偉業を称えて」という副題がついているほどだ。
 
 グロードさんは1996年に第50回北海道新聞文化賞を受賞なさっており、このとき筆者はわざわざ函館まで行って短時間ながらインタビューをしている。
 しかし、そのときに、社会福祉や観光振興の話題は出たが、絵画をよくするなどという話はなかったと思う。あったら、覚えているだろう。

 外山さんの一文を目にして、グロードさんが絵を描く方だったと知った。

 ほんとうに
「人生を楽しむ達人」
だったのではあるまいか。

 いま調べてみたら、2005年と09年に函館で絵画展を開いていることがわかった。
 いずれも会場は、函館市芸術ホール。09年は、来日当時のスケッチをもとに新たに制作した水彩画などを展示している。
 一度見てみたかったと思う。


 下に毎日新聞北海道版の訃報記事をコピーしておく。ただし、この記事は、社会福祉の貢献については全く触れていない。

http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20121227ddlk01060230000c.html

 フィリップ・グロードさん 85歳(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会理事長)25日、老衰のため死去。葬儀は27日、関係者のみで営む。市民向けしのぶ会は来年2月5日午後1時半、函館市末広町の五島軒本店。

 1954年、フランスから宣教師として来日。同市のカトリック元町教会などで司祭を務め、87年に「野外劇」の会を設立、翌年から五稜郭公園で公演を続けてきた。


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