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■untie とく- 石神照美、経塚真代 (2024年5月6~15日、北広島)

2024年05月15日 11時52分59秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 ドイツの森をヒントに名づけられたギャラリー「黒い森美術館」は、森に面した大きな窓が特徴です。
 窓越しに見える自然の緑を意識して作品を展開する作家も少なくありません。
 今回の、陶による造形作家と、人形作家による2人展も、屋外の窓の近くに人形を1体置き、動植物のモチーフが多くあるなど、ロケーションをじゅうぶんに踏まえた展観になりました。

 窓ガラスに次のような詩句が縦書きで印字されています。

森に差す光
生命と共に存在する

雨水の月
遠くにいていいと言う

夜明けの霧
離れていてもいいと言う

不透明で見えないものが
解かれていく

 
 
 石神照美さんは物語性を感じさせる陶の家型オブジェやびんなどの器を作るかたわら、東京・阿佐ケ谷と札幌にギャラリースペース(札幌は「CONTEXT-」S)を開いています。

 経塚真代けいづかまさ よ さんはなんともいえない憂いや切なさを帯びた人形が支持され、近年は地元札幌はもとより本州や台湾でも発表の機会が増えています。

 この2人のコラボレーションは2018年以来、何度も行われています。
 
 
 
 今回は、空間を不織布の白いカーテンで仕切り、そこから窓までの間の展示スペースに黒い布を敷き詰めて、スリッパを脱いで入るようになっています。
 あらかじめ穴を開けた石塚さんのオブジェに経塚さん作の一角獣などを突き刺したり、石塚さんの瓶のふたを外して経塚さんの花や鳥を差し入れるかたちで、40個余りを、間隔を離して並べています。

 ひとつひとつに物語を感じるような、みごとなコラボレーションになっていますが、石塚さんによると、事前に組み合わせなどを綿密に打ち合わせたわけではなく、会場で瓶のふたをあけてそこに経塚さん作の動植物などを差し込んでいったというから、おどろきです。 

 家のかたちのオブジェの下にあかりが仕込んである作品が3点あって、家の窓がほのかに光ります。

 そのことからも、天候や光の具合によって見え方はだいぶ異なるのだろうなと思いました。
 筆者がうかがったときは快晴でしたが。









 
 窓の外側にたたずむ人形。
 手前のアヒルは、北広島の陶芸家松原成樹さんの作品で、ふだんからここに置いてあります。
 これに対比させようと、室内の天井から1羽の鳥がつり下げられてありました。

 ゆっくりと会場のなかを、作品を倒したりしないように気をつけながら歩いて、ひとつひとつの組み合わせが宿している思いとしずかに対話するように鑑賞して、気持ちをときほぐしていきたい。
 そんな気分になる2人展でした。


2024年5月6日(月)~8日(水)・13日(月)~15日(水)午前10時30分~午後3時30分
黒い森美術館 渋谷栄一記念ギャラリー(北広島市 富ケ丘509-22)

□サイト terumiishigami.com/
 Instagram terumi_ishigami/
□CONTEXT-S https://context-s.net/

http://masayokeizuka.com/index.html
□blog https://masayokeizuka.tumblr.com/
□twitter @keizukamasayo
Instagram keizukamasayo


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黒い森美術館への道順 (アクセス)

・JR北広島駅あるいは地下鉄東豊線福住駅から中央バス「広島線」の「輪厚ゴルフ場経由」に乗り「竹山」降車。約600メートル、徒歩8分。北広島駅と福住駅はいずれも始発・終点


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