今日は大師が高野山で三鈷杵を得られた日
「高野春秋」
「弘仁七年816丙申五月三日。本朝真言根本高祖傳燈大阿闍梨位空海和尚、行年四十三、紀州伊都郡高野山に攀登され、大唐明州津より投るところの三鈷杵を感得さる。是れ神助に依る也。
三鈷記に云、帰朝纜を解くの浜、東方に紫雲起こるを見る。而して黙祈し我所学の密教流布相応の地有らば吾より先んじて早く日域に到い之を點ずべし、落処に大塔を創造せん。而して後に八祖相傳の三鈷、金色杵長八寸、を雲中に投ず。則ち青龍有りて之を受け東に去る云々。・・
野山秘録に云、最初鎮守啓白、弘仁七年五月三日也。嚮高祖二犬に勾引され深山入り三鈷松根に到る。而して犬失矣。首を矯めて松梢を見るに光影の三日月の如き物有。高祖衣袖を展ぜられ誓ひて曰く、其れ大唐所投の三鈷杵ならばまさに袖上に移るべし、と。言下に飛降す云々。・・」