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20億円のカネをぶら下げ自治体「買収」を狙う、しかし決まらない最終処分場 - 利権塗れの原子力を象徴

2017-07-20 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
高レベル放射性廃棄物の最終処分場の受け入れを
玄海町が検討すると報じられて、また若狭湾のような
安全保障上の重大な弱点が中国や北朝鮮のすぐ近くにできると
強く懸念した良識的な人々は少なくなかったであろう。

勿論、欧州と違い地層が新しく地震大国の日本に
最終処分場に相応しい場所などそう簡単に見つかる訳がない。

玄海町も地下の石炭埋蔵を理由に事実上受け入れ不可能となった。
日本の安全保障を考えても当然の結論であるが、
官庁のやり口はいつも通りの「ニンジンぶら下げ」、
つまり巨額のカネで自治体を事実上「買収」する手法だ。

最初の調査受け入れだけで最大20億円という
途上国の人身売買にも似たカネ塗れの構造が露骨に顕れている。

以前のようにモンゴルに最終処分場をもってくるとか、
無責任極まりない評論家の放言するように深海へ捨てるとか、
そういった手法が最初から論外である以上、
日本国内で最終処分場を探さざるを得ない。

その過程でまた原子力絡みのカネが追加請求され膨張するのは間違いないから、
これまで原子力で散々稼いできた利害関係者や、これから稼働させたい人々には
当然のことながら一般国民以上に「負担」を要求することが必要となろう。
(儲けるのは自分達、負担は国民が分担などというモラルハザードは許されない)

▽ 利権勢力にはカネのため「安全」を強弁・連呼し、福島原発事故を招いた「実績」がある

『原発と大津波 警告を葬った人々』(添田孝史,岩波書店)


最終処分場だけでなく、原子力にまつわるあらゆる分野で胡散臭いカネが動いている。

「国民の血税を何兆円も無駄にしてまだまともに稼働していない「もんじゅ」。
 不祥事続出の「問題児」施設であることで名高いのであるが、
 また驚くべき実態が明らかになった」

「原子力規制委員会がもんじゅの再開に向けた準備作業をストップさせ、
 管理体制の不備を厳しく批判したのだ。
 「こうした組織の存続を許していること自体が問題」との糾弾まで出ている」

「どっかの島国の首相が「日本の原子力技術は世界最高」と
 つい調子に乗って口を滑らせたが、実態はこのざまである」

「原子力利権に固執する勢力の存在と電力大手の地域独占こそが
 こうした醜悪な「エネルギー政治」の根源である」

「彼らが生み出した数々の問題と政策介入、世論操作を見れば余りにも明らかである。
 彼らの「業界」は利益相反とモラルハザードの巣窟だ」

「毎日新聞が鋭い取材で腐敗した原子力利権勢力の本性を暴いている。
 こうした買収行為が彼らにとっては「常識」「当然の業務」だったのである」

「議論を拒否して情報操作を図る強烈な独善性は、
 そのまま全てが日本国民からの不信となって跳ね返ってくる」

「イギリスの医学誌に、衝撃的な疫学調査の結果が掲載された。
 低線量被曝でも発癌による死亡リスクが上昇することが分かったのだ」

「しかも、従来指摘されていたのは白血病のリスクだけだったが、
 他の癌のリスクも高まっていたことも判明した」

「当ウェブログは、「福島原発事故で一人も死んでいない」と主張する愚劣な非科学的論者を批判し、
 まだ結論を出せる段階にはなく、原発の現場労働者のリスクはこれから明らかになるため
 こうした傲慢不遜な論者の嘘が発覚すると警告してきた」

「真に科学に基づいた見解は、「科学は常に進歩するから、分からないことが多い」
 「今、正しいと考えられていることも新たな研究によって否定される」なのだ」

「だから、既存の科学研究をおのれの利害や主義主張のために「利用」して
 「原子力は安全」「低線量であれば安全」「福島原発事故で一人も死んでいない」
 などと平然と言う連中は、全員嘘つきであるばかりか科学を冒涜するものである」

「福島原発事故でも、詳細な研究分析が望まれる。
 従事した労働者数に比べて労災申請がかなり少なく、
 報道で知って申請者が増える可能性が高いと見ておいた方が良い。
 (低線量被曝による悪影響はすぐに現れるものではなく、まだ分からないことも多い)
 今後の研究が進むことで、労災認定基準が拡大される可能性もかなりある」

「原発再稼働による収益回復を図る大手事業者が、
 原子力規制委の審査に合格した後に安全対策を手抜きする事案が発生している」

「彼らは「電力の安定供給」と言うが、それは見え透いた建て前である。
 電力を供給しないとカネが稼げないから、「自社への収益安定供給」が本音だ」

「これ迄の原子力の実態を見れば明らかなように、
 「安全」を連呼して実際には収益占有を図り、
 不祥事や不都合な情報は、ほとぼりが冷めてから公表する。
 毎回毎回そうなのだから、全てをプロパガンダや自己利益の観点から分析されるのは当然だ」

「いかに今回、津波対策をアピールしても何も変わらない。
 原子力は幼稚技術であり、それでカネを稼がなければならない業界が依然として残っている」

「原発を動かさないとカネが入らない事業者がいるから
 「安全」「安全」と連呼して何が何でも動かそうとするのである」

「事実として不祥事や不都合な情報が後になってから出てくる、
 国民の不信を買う状況が福島原発事故の後も変わっていないのが問題なのだ。
 そしてその根源には、もともと原子力という技術の持つ欠陥がある。
 それは、人為的ミスが必ず生じて稼働率が大きく変動するという、投機的な本性である」

「そろそろほとぼりが冷めたかと見たのか、
 またぞろ原発広告が復活してきた」

「原子力に「宣伝」「広報」が必要な理由は明白である。
 原発を稼働させないとカネが入らないからだ」

「本当は「原子力を使わないと自分達がカネを貰えず、生活できない」が真実であり、
 やたらと嘘くさい公益性を強調する理由はただ一つしかない。
 根本から欺瞞で成り立っている業界なので、嘘を否定することができないのだ」

「本来なら国民の電気料金を使った原発CMは法律で禁じなければならない。
 (事実上、独占された高収益事業で多額の補助金が投入されているのだから宣伝など必要ない)」

「もしどうしても原発を稼働したいなら、国民に真実を告げなければならない。
 原発再稼働でどれ程のカネが利害関係者に入るのか、である。
 電気料金引き下げよりも事業者の収益増の方が確実に多い筈だ」

「本当に原子力が公益に資するものだと言うのなら、情報公開するがいい。
 事実と数値だけが真実を証明するのだから」

「原発再稼働とともに日本経済がマイナス成長に陥ったのは、天の警鐘と考えねばならない」

「大方の予想通り、「福島原発事故で一人も死んでいない」という
 科学に無知であるばかりか、とんもでない嘘に綻びが見えてきた」

「日本のために危険を冒して「トモダチ作戦」に従事した米軍兵士が
 健康被害が生じたとして裁判に訴えることになった」

「また、福島では甲状腺癌の発生に対する疑念が深まり、
 公的には安全が強弁されているにも関わらず、
 (いや、強弁されているからこそ尚更と言うべきだろう)
 国際環境疫学会が「憂慮」を示す事態になっている」

「原子力の「安全」などというものは、
 利害関係者が口にする限り決して信用できないものだと
 またしても事実が示しつつあると言えよう」

「『週刊ダイヤモンド』には興味深い記事があり、
 関電の内部では原発停止の差し止め仮処分の取り消しに大喜びしていて、
 裁判所からの「クリスマスプレゼント」などとふざけた言辞を弄していたと言う」

「その後、大津地裁の高浜原発運転差し止めの仮処分が下り、
 社内では怒り心頭という状況であるようだ」

「公益性や住民の憂慮など完全無視して、
 自分達の給料のために原発再稼働を急いでいるのは明白だ」

「どうせ福島第一原発事故の被害の深刻さも後になってから明らかになり、
 科学的に解明されるまで利権勢力が再稼働でカネを稼ぎまくるという腐った構図だろう」

「政府は多くの場合、最初は被害を否定する。
 因果関係が科学的に解明されるのは何年もかかってからで、
 多くの被害者の既に亡くなっていたりすることも多いというのが現実だ」

「福島原発事故でも決して被害を過小評価すべきではない。
 低線量被曝は、現在の科学では解明されていない部分が確実にある」

「矢張り「原発事故で1人も死んでいない」は真っ赤な嘘だった。
 既に米兵が福島原発事故による放射能汚染で亡くなっているのがほぼ確実だ」

「軍務に従事できるほど頑強だった米兵で若くして既に亡くなっている者が7名、
 福島原発事故との因果関係の証明はもはや時間の問題であろう」

「しかも少なくとも400名が健康被害を訴えて米国で裁判になっている。
 よくある症状は粘膜からの出血で、あの東海村の事故と共通しており寒気がする。
 しかも米兵女性の中には「一生妊娠できない」と医師に通告された者もいると言う」

「はっきり言っておくが、米兵の被曝は医学的に立証される可能性が極めて高い。
 「福島原発事故で1人も死んでいない」との大嘘は粉砕されるが、
 それは粉砕されるべき数多くの嘘の一つでしかないのである」

「米兵は米政府を相手に訴訟することはできないので、
 困窮の中、東電等を相手に訴訟を行っているのである」

「被災者への補償も値切ろうとし日本国民を驚かせた東電は、
 高額なカネで米国の優秀な弁護士を雇い訴訟そのものを妨害しようとしているとか。
 (まともに訴訟したら負けるから、と考えざるを得ない対応である)」

「一方、週刊誌で「誤解された」と称して言いたい放題の
 原子力専門家の対談が掲載されており、非常に興味深い内容である」

「日本のために働いてくれた米兵の死など完全無視であるばかりか、
 福島原発事故で半永久的に我が国の国土を汚染したこと、
 故郷を失って半永久的に帰れない人々が大勢いることも無視して、
 「日本のように天然資源も化石燃料も少ない国にとっては原子力しかない」
 「「もんじゅ」が日本の平和と環境に資する」と信じがたい大言壮語を行っている。
 (だったら福島原発事故の補償をお前達が行い、「もんじゅ」のカネを自分達で出せばいい)」

「原子力で給料を貰っている利害関係者が本当のことを言う筈がない。
 正しくは「日本のように風力も太陽光も地中熱も豊富な国に、原子力は害しかない」
 「もんじゅは関係者のために毎日、無駄な予算を蕩尽している」である」

「日本は原発再稼働して成長率でも実質賃金上昇率でもドイツに完敗している。
 原子力を早く見切って省エネに注力していればドイツのように成長率も賃金上昇ももっと高かった筈だ」

「大体において、北朝鮮がSLBMを持ち、中国が多数のミサイルを配備しているのに
 原発を稼働して儲けようとする神経がそもそも根本的に間違っている」

「しかし、彼らの行動原理は以前から変わっていないというだけで、
 仲間内の利益しか考えていないとすれば全ての行動と発言が理解できる」

「原子力関係者が広告代理店と組んで大量のプロパガンダを垂れ流す様を、
 当事者として隅から隅まで知り尽くした本間龍氏は
 「自分たちさえよければ他人はどうでもいいという冷徹さ、傲慢さ」と指摘している」

「悲しいことに予想通りの事態になっている。
 当ウェブログは、福島原発事故での被曝の影響は
 現場で働いていた労働者に真っ先に出ると予言してきたが、
 矢張り厚労省がフクイチで働いていた労働者にまた労災を認定した」

「白血病での労災認定は既にあったが、
 今度は甲状腺癌での初の労災認定だ」

「20年もの長い間、原発で働いていたそうなので、
 福島第一原発が直接的な原因とは断定できないが、
 当然ながら影響を否定することもできない」

「原発はクリーンエネルギーなどではない。
 政治的には完全にカネで汚染されているし、
 こうした労働の現場でも薄汚い実態を隠しているエネルギーなのである」

「また、福島原発事故発生時に18歳以下であった層においては、
 同じ甲状腺癌が不気味に増えてきている」

「「福島第一原発事故で死者はいない」というとんでもない軽口が、
 原子力ドグマで頭脳が汚染された輩のプロパガンダであったことが、
 事実によって証明されつつあると言って良かろう」

「「今のところ確認はされていない(が、今後は分からない)」
 というのが科学的に正しい見解であるのに、プロパガンディストは
 根本的に思考回路が歪んでいるので自らの歪みを自覚できないのだ」

「彼らは福島原発事故の影響での死が強く疑われても、
 平然と因果関係を否定して「証明されていない」だの「確認されていない」だの
 科学の名を僭称して原子力を庇い続けるであろう」

「既に、「トモダチ作戦」で日本のため活躍した米兵の中に、
 放射線被曝によると思われる深刻な症状が複数出ている。
 福島原発事故との因果関係が明らかにされるのはもはや時間の問題だ」

「福島原発事故の影響を客観的・科学的に探求する姿勢の全くない
 原子力利権勢力と原子力擁護派は、自業自得で信用を失いつつある。
 これも結局は、安全性よりカネやドグマを優先してきた報いなのだ」

「復興担当相の軽々しい発言を見れば分かるように、
 安倍政権は福島原発事故の影響を軽視し、
 「復興」など完全に口だけである」

「安倍首相自身が福島原発事故前に「電源喪失は考えられない」などと
 官僚の「ご進講」を鵜呑みにして答弁したことでも分かるような無責任政治家である上に、
 東京五輪を招致する際に「アンダーコントロール」などと豪語したため
 被災者の苦境など無視して事故が収束しつつあるかのように「演出」したいだけだ」

「スピーチライターが考えて首相に言わせているしおらしい謝罪など信用してはならない。
 権力の座にとどまりたいがために喋っているだけで、何ら心から反省などしていない」

「それは、避難解除地域において避難計画を立てさせていないことや、
 安倍政権が避難解除とした地域の危険性を、
 原発で働く労働者が明言していることからも明白だ」

「どうしても故郷に戻りたい高齢者は仕方がないが、
 不誠実な安倍政権を信用せず故郷に戻らない被災者の猜疑は
 至極当然のものであると言える。
 (これまでの安倍政権の実態を見れば、信用する方が間違っている)」

「こうした安倍政権の無責任さと権力第一の姿勢は
 原子力利権勢力と双子のように似ており、
 他人の身に及ぶ危険など無視して自分のために「安全」を強調するのである」

「避難計画の欠如に、安倍政権の本音が露骨に出ている。
 被災者を無視し、形だけは収束が進んでいると見せかけて幕引きを急ぎたいのである。
 今、核燃料がどうなっているか、安全に取り出して廃炉に至るまでどれだけ大変で
 どれだけの国費を費やすというのか、全く理解することができず
 被災者の安全より政権の手柄を重視する腐った精神こそが最も深刻に汚染されている」

と当ウェブログが指摘してきた通り、相当厳しく監視しないとまた新たな問題が生じるであろう。

▽ 原発依存度の高い電力大手は再稼働しないとボーナスが出ない、原子力は関係者のカネ儲けの手段と堕した

『週刊ダイヤモンド』2016年 6/11号 (世界を変えるiPS)


安倍政権がレイムダックになっても、原子力利権勢力は安倍政権より遥かにしぶといと考えるべきであろう。

「安倍政権下で経済成長率も実質賃金も低迷しているのは、
 一つには事実上の通貨切り下げにより日本を安売りする「売国政策」によるものだが、
 もう一つ見逃せないのは相変わらず公共事業に依存する旧態依然の政策である」

「だから生産性が停滞したままで、実質賃金も消費も伸びないのは自業自得だ。
 間違った愚かな政策の必然の帰結でしかない。
 スウェーデンばかりかドイツにも大敗するのは不思議でもなんでもない。
 政権の「実力」や政策の中身から言えば当たり前のことなのだ」

「おまけにエネルギー政策では原子力利権を護持する
 「経済合理性ゼロ」の状況だから、救いようがない」

「最近、除染事業での汚職や不正など不祥事が相次いで報じられているが、
 原子力産業がイノベーションや発展をもたらすものではなく、
 利権や腐敗を生む元凶であるのは事実によって証明されつつあると言えるだろう」

「除染事業は確実にカネが落ちて来る分野でしかも下請けの階層構造になっているから、
 原発関連事業と同じく利権と隠蔽と不正の温床であるのは誰にもでも分かる」

「大手事業者が中抜きをして公費をたっぷり貰い、
 末端では低賃金で他に仕事のない労働者を安く使って儲けるという構造。
 これで問題が起きない方がおかしい。
 つまり、除染事業には原子力の腐敗した構造がそのまま投影されているのだ」

「除染事業は非効率性と経済効果の低さが指摘される公共事業と酷似している。
 賄賂や接待で仕事を取ろうとする業界が健全な筈がない」

「除染に絡む不正は、「ゴキブリ一匹いれば」の俚諺と一致する。
 表面化したのは一部に過ぎず、他にも不正が隠れている可能性が極めて高い」

「安倍政権は原子力利権勢力とともに、歴史に汚名を残す」のが確実だと書いたが、
「安倍政権の崩壊は近いが、原子力利権勢力とともに歴史に汚名を残すのは確実」と修正したい。

 ↓ 参考

原子力は事故前も事故後も利権の温床、除染事業でも汚職・不正が続々 -「福島を食い物にしている」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/afc18a79d79bedfe146613a799f753e5

避難指示解除地域に「とんでもなく放射能汚染された場所がある」-「鉛で遮蔽するレベル」との証言も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/316ee7c9f6d44be8a572df692aa9148a

米軍兵士7名を死なせても反省ゼロ、原子力関係者は公然と自己正当化している - 東電は米国で訴訟対策
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8ae804781ca3bad72459b09e53b0bede

「100mSv以下の低線量被曝でも癌による死亡リスク増加」- 疫学調査で判明、矢張り原発は安全でない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9d37409245eb262148160ed1c412bd0e

▽ 福島事故後も利権構造は全く変わらず、また御用メディアで「安全」を連呼しカネ儲けに走る

『原発プロパガンダ』(本間龍,岩波書店)


核ごみ処分場:候補白紙、玄海は不適 政府調査(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170715/k00/00m/040/186000c.html
”原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定で、地質学的な適否を推定するために政府が策定中の「科学的特性マップ」の概要が明らかになった。国土の7割以上が適地とされた一方、町長が処分場受け入れに前向きな姿勢を示した佐賀県玄海町は、地下に石炭が豊富で将来採掘の可能性が否定できないため「好ましくない」とされた。東京湾沿岸から千葉県中央部一帯も天然ガス田があるため適地から外れた。【岡田英、宮川裕章】
 玄海町の岸本英雄町長は昨年4月の毎日新聞の取材に、同町が適地とされた場合は「町民説明会を開き、国と協議したい」と受け入れに前向きな姿勢を示した。しかし、町のほぼ全域が石炭埋蔵地とされ、適地から外れた。現時点で受け入れに前向きな意向を表明している自治体は他になく、同町を「有力な候補地」(電力会社幹部)とする見方もあったが、候補地選びは振り出しに戻った格好だ。
 マップは日本地図を適性の度合いに応じて4種類に塗り分ける。火山から15キロ以内▽活断層付近▽鉱物資源が豊富−−などに一つでも該当すれば、「好ましくない特性があると推定される」に区分され、適地から外れる。鉱物資源が「好ましくない」のは将来、地下資源が採掘された際、放射性廃棄物と知らずに掘り出されてしまうことが懸念されるため。
〔中略〕
 このほか、核のごみの処分技術を研究する日本原子力研究開発機構の施設がある北海道幌延(ほろのべ)町の一部も、油田の存在を理由に適地から外れた。地元には最終処分場へ転用されかねないとの疑念もあった
 政府は近くマップを公表し、9月ごろから自治体向けの説明会を実施する方針。その後、数年かけて複数の候補地を選び、(1)文献調査(2年程度)(2)概要調査(4年程度)(3)精密調査(14年程度)−−の3段階で建設場所を最終決定する。自治体は、最初の文献調査を受け入れるだけで最大20億円の交付金を得られる。
◇解説 絞り込み、難題
 核のごみの最終処分場がないことは、「トイレなきマンション」と言われる原発のアキレスけんだ。今回の科学的特性マップはその解決に向けた第一歩となるが、今後、国土の7割超を占める「適地」の中からどのように候補地を絞り込むかこそが難題だ。
 国は2002年から最終処分場建設に向けた調査を受け入れてくれる自治体を公募してきたが、実現しなかったため、15年に安全性などを科学的に検討した適地から国が複数の候補地を選んで受け入れを打診する方式に転換した。
 国はマップ公表後、全都道府県を回って説明会を重ね、自治体側の意向を探りながら候補地選定を進めたい考えだ。しかし、マップで適地とされたのは国土の7割超に及び、ここから特定の場所を選ぶのは容易ではない。最終処分場を受け入れない確約を歴代政権と結ぶ青森県や、「受け入れがたい」とする条例を持つ北海道など、既に拒否を表明している自治体もある。
 自治体が受け入れを容認しても、住民の強硬な反対が予想される。07年に唯一、建設に向けた調査の受け入れを表明した高知県東洋町では反対運動が起き、頓挫。
原発への賛否にかかわらず最終処分場は必要である以上、国は丁寧に説明し、国民全体でこの問題を考える必要がある。【岡田英】

【ことば】高レベル放射性廃棄物
 原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出した後に残る廃棄物。日本ではガラスと混ぜて固めた「ガラス固化体」にして地中施設に埋める。放射能が安全なレベルに下がるまでに約10万年かかる。世界で最終処分場が決まっているのはフィンランドとスウェーデンのみ。”

最終処分場の問題はまるで半永久的に出口が見つからない「黒田日銀」状態であるが、
そもそもフィンランドとスウェーデンしか最終処分場が決まっていないという事実は重い。
両国とも日本より遥かに地層的条件に恵まれているという大きな格差もあり、
日本では事実上、最終処分場は蜃気楼のように先送りされることとなろう。
20億円をちらつかせても決まらない現状はまさに末期的である。


理研:核のごみを貴金属に 現代の錬金術、実験へ(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170211/k00/00m/040/164000c.html
”◇18年度から着手 パラジウムに「重陽子」照射
 理化学研究所は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)に含まれる長寿命の放射性物質を、生活に役立つ貴金属に変える実証実験に2018年度から着手する。理論上は可能とされるがこれまで実用化には至らず、「現代の錬金術」とも言われるが、実現できれば、処分に困る「核のごみ」の減量や有効活用にもつながるという。【岡田英】
 実験は、内閣府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT(インパクト)」の一環。まずは、核のごみに含まれ、放射線量が半減するのに650万年かかる放射性物質「パラジウム107」を、宝飾品や歯科治療、車の排ガス浄化用触媒などに使われる無害な貴金属「パラジウム106」に変える。理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の加速器で、「重陽子」(陽子と中性子各1個で構成)のビームをパラジウム107に当て、原子核の中性子が1個少ないパラジウム106に変える「核変換」の実現を目指す。パラジウムの核変換実験は世界初という。
〔中略〕
 「核のごみ」は放射線量が高く、専用容器に密封して地中深く隔離する方法が現在検討されている。核変換が実用化すれば、ごみの減量や有効利用の可能性がある。一方で、理論通り実現するか、低コストで実用化できるかは未知数だ。国内では、燃料のウランが原子炉内で中性子を吸収して質量数が大きくなった「重いごみ」(マイナーアクチノイド)では、高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)で核変換の実験をしたことがあるが、パラジウムと同様に核分裂してできた「軽いごみ」(核分裂生成物)では前例がないという。
 研究を主導する藤田玲子プログラムマネジャーは「まだ基礎研究の段階で、実用化には遠いが、実験でデータを取れれば一歩前進だ」と期待する。”

このような研究も始まっているが、
また原子力の歴史において繰り返されてきた「バッフル現象」であろう。
(ごく近くにあるように見えて、実現がどんどん遠ざかる)
愚かな国民に幻想を見せて解決を先延ばしにする一環ではないと、誰が断言できようか。
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