B面でかせごう!

京都なまりのフランス語通訳
*人見有羽子のポップでキュート*

子供の頃の記憶

2019-12-22 09:11:26 | ひとりごと

ほぼ年内の仕事納めも完了し、さて次は帰省の準備。

といいながら、昨日はふたたび千駄木・団子坂の森鴎外記念館へ。

 

1月初頭まで開催中の「荷風と鴎外」展の関連イベントで、俳優の今井朋彦氏が『日和下駄』を1時間朗読。

イナルコ(=フランス国立東洋文化言語研究院)でオリガス先生のもとで読解し和仏翻訳に挑んだのが本作。

江戸初期の東京案内である「紫の一もと」からインスピレーションを得たと思われる、十一章仕立ての随筆ですが、鴎外も登場する「崖」や「淫祠」を読んだ記憶があります。

日和下駄ってどうやって訳したか・・覚えていない。

展覧会には荷風が愛用していた蝙蝠傘と日和下駄も展示されていて、あら、これが日和下駄? ふつうの下駄とどう違うのだろう。雨が降っても大丈夫ということで、つま先が爪皮に覆われているのかしら、と思っていたのですが、いたって普通の黒の鼻緒の下駄でした。

当時、東京は湿気ていてぬかるみも多いから便利だそうな。確かに革靴よりは差し歯ぶん高いです。

東京散策随筆『日和下駄』に私がどうも入っていけないのは、東京の町、坂、川の名前に具体的なイメージが湧かないせい。

京都の町名もいわくありげなものばかりなので、荷風に解説してもらいたかったと思いつつ、やはり、幼少時代の記憶につながる土地でないとね。

今朝、テレビ番組で、熊野灘の冬の秋刀魚の丸干し作りが紹介されていましたが、12月のサンマ寿司! は私の幼少時代、熊野の山中での12年間、ほぼ欠かさず登場した食べ物ですから、冬のサンマの美味しさは想像できます。

昨日、離日目前というスイスの男の子とお茶をしましたが、彼にとってはチョコレートなしの生活はあり得ないそうで。

食の記憶、町の記憶はそれぞれ三つ子の魂に刻印されるというわけです。

東京に生まれ育った俳優の今井氏にとっては、朗読した章に登場する数々の地名はやはり小学生の頃の自分にタイムスリップする体験だそうで、そのきびきびとリズム感あふれる朗読は、小学生の男の子の快活な足どりなんだな、と微笑ましく。

たしかに子供の頃、ほぼ毎日片道半時間の通学路がまるで苦痛でなかったのは、子供特有の底知れぬエネルギーと好奇心のおかげだったかな、と思い返しました。

今、田園都市線の駅まで駒沢公園を近道で抜けていますが、脇目もふらずひたすら歩を進めるだけ。せわしない時間との競争。

道ばたの花々にも、路上のアリたちにも目もくれず・・。

年老いて市川に越してからも病に臥すまでは散歩を続けた荷風はやはり永遠の少年のような気がします。

 

 

 

 

コメント
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