テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 重なる影絵たち ~

2012-07-20 23:37:14 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 2012ツール・ド・フランスは第17ステージを終え、
 山岳部を後にしました……
 残るは平坦な第18ステージ、第19ステージの個人TT、
 そして――

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱりィでス!」
「がるる!ぐるるがるっぐる!」(←訳:虎です!パリが待ってます!)

 総合優勝者は、ほぼ決まった、とみられています。
 よほど大きなアクシデントが起こらなければ、初の英国人チャンプさんが誕生する模様!ですが……

「ゆだんッたいてきィ!」
「がるがるぐるる!」(←訳:とにかく完走を!)

 では、私たちも地道な読書タイムを重ねてゆきましょう。
 本日ご紹介いたしますのは、こちら~!

  


 
              ―― 猫背の虎 動乱始末 ――


 
 著者は真保裕一さん、2012年4月に発行されました。
 表紙のデザインから、お分かりですね、この御本は、時代小説なのですけれど、
 まず、最初に記しておかねばならない事柄があります。
 
 物語の“柱”となっているのは、
 江戸時代の巨大地震、
 『安政のの大地震』と呼ばれる災害です。
 先の震災による痛みに現在も苦しめられている方々にとっては、
 とても読めない、
 読みたくない、
 そう感じるのも無理からぬことと思われます。

 それでも、
 歴史とは常に我々に何かを教えてくれるものであると信じて、
 さあ、
 『猫背の虎』さんをお訪ねしてみましょう!

「とらッ???」
「がっるるぐるがるるぐる~?」(←訳:虎っていうとボクの親戚~?)

 虎は虎でも、
 この虎さんは人間さんです。

 名を、大田虎之助(おおた・とらのすけ)さん。
 職業、南町奉行所の当番方同心。
 年齢、24。
 
 虎之助さんがなぜ、猫背の虎、などという
 あまり有り難くない仇名を頂戴したのかというと。

 虎之助さん、大男なのです。
 『身の丈六尺近い偉丈夫』だそうですから、
 身長180㎝超、でしょうか。
 これは、江戸時代にあっては、
 あいつ妖怪か?と言われちゃうくらいの、
 常識外れな大きさです。
 大きな背丈がなんとなしに心苦しくて、
 つい猫背になるから、猫背の虎。

 大男の虎之助さんを、
 幼児のように転ばせたのは、
 江戸の町を襲った大地震でした。
 あらゆるものが、揺さぶられ、折られ、
 壊れてゆく――

「たいへんでスッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:どうしよう!)

 余震に怯える時間は、
 虎之助さんには与えられていません。
 下っ端といえど、
 同心は役人です。
 奉行所へ急ぎ駆けつけ、
 災害の被害を少しでも軽減すべく、
 江戸の人々の助けになるべく、
 ただただ働かねば。

 虎之助さんは自ら志願し、
 燃える町を走り、
 籾蔵(もみぐら)の警固に出向きました。
 蔵に収めてある米は、
 『お救い米』として
 窮状に在る人々に振る舞うべき非常用食料なのです。
 蔵を守らねば、
 人の暮らしも町の建て直しもままならなくなってしまう――

「たきだしィ!」
「ぐるるがるぐるがるっぐる!」(←訳:炊き出しにはお米がなくちゃ!)

 蔵を守り、
 人々を守ろうとする虎之助さんのもとに
 次々と難題が押し寄せます。

 混乱の中、
 かつて『仏の大龍(ほとけのおおたつ)』と慕われた亡き父の足跡を、
 一歩ずつ辿り、
 町に何が起きているのか、
 探ることを止めない虎之助さん。
 江戸時代末期と、
 21世紀の現代が重なって見える物語の結末は……?

「ゆけッ、とらさんッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:町を守ろう!)

 どうか皆さま、一読を!
 
コメント
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