80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ダンジョン飯/九井諒子・KADOKAWA/エンターブレイン

2016-06-27 17:22:44 | 書籍・漫画

 ダンジョン飯は、2014年からKADOKAWA エンターブレイン系列の雑誌に連載されている九井諒子氏作のファンタジー漫画。ビームコミックスレーベルより、既刊2巻が発売されている。


 ダンジョン飯という奇抜なタイトル通り、ファンタジーRPGに出てくるような架空の世界での冒険者たちの食に焦点を当てた作品。空腹、食料という概念は古くはウルティマから、ザナドゥ、ハイドライド3などコンピュータRPGの世界では基本となるパラメーターのひとつだった。ただウィザードリィやその他の多くのRPGでは省略されていたり、ドラゴンクエストでも取り入れられることはなかった。これは当時のコンピュータの表現力や容量の制限の問題もあって省略せざる得ない場合も多かっただろうし、食事をしないとスタミナが減ったり、ヒットポイントが減るなどプレイヤー側への足枷や制限となって、ゲームに組み込んでもあまり面白くならないという事情があったのかもしれない。とにかく、この作品ではその省略されてしまいがちな冒険者たちの食生活についてスポットを当てて細かく描いている。


 物語は、主人公の戦士(剣士)ライオスのパーティが、狂乱の魔術師の支配する迷宮の奥深くを探索するところより始まる。迷宮の奥深くでレッドドラゴンに襲われ、ライオスの妹である僧侶のファリンがパーティをかばって喰われてしまう。ファリンの死の直前の帰還魔法によりからくも迷宮を脱出できた一行は、ファリン救出のため再度迷宮に挑むことになる。しかし装備、食料を置き去りにしてきた上に、仲間の脱退もあり資金難に陥ってしまう。節約のため、迷宮内で食料を確保することにしたライオス一行であったが・・・。


 パーティのメンバーは、冒険者のリーダーであり物語の主人公でもある戦士(剣士)ライオス。前々からモンスターを食べてみたいという密かな欲求を抱いていたりとマニアックな嗜好を持つ。次に本作のヒロインでもあり、少し神経質で潔癖症ぎみなエルフの女魔術師マルシェル。常識人であり、パーティのつっこみ担当でもある。罠や鍵の解除を担当し、少し冷静な視点でパーティを眺めるハーフフットのチルチャック。中立的であり、個性的なメンバーのクッション的役割も果たす。モンスターを調理し、若き一行を導く役割を果たす戦士(ドワーフ?)のセンシ。この人は料理のレシピの解説も行い、クッキングパパみたいな役割を果たす。これ以外に、ドラゴンに喰われてしまって、現在はドラゴンの腹の中にいる僧侶のファリンがいる。ダンジョンズ&ドラゴンズやウィザードリィに倣って能力別の職業わけがなされているだけでなく、キャラクターの性格付けも明確に分かれており、これが本作の物語を引っ張っていく。


 物語の舞台となるのは、狂乱の魔術師の支配する迷宮であり、モンスターに倒されても即死ではなく、死からの回復の手段も残されており、迷宮の奥深くで遭難したパーティを探索隊を作って回収に行くことができるなど、ベースとなる世界観はウィザードリからの影響を色濃く受けている。宝箱には鍵や罠が仕掛けられており、その解除が必要だったり、帰還魔法ではアイテムを持ち運べなかったりと、随所にウィザードリィからの影響が見られる。


 モンスターを食するという部分では、やはりダンジョンマスターからの影響が強く感じられる。ダンジョンマスターは、アメリカのFTL Games社が1987年に発表した作品で、リアルタイムで動くモンスターやダンジョン内に経過する時間にスポットを当てた、リアルタイムRPGとして最初期のもの。時間の経過やアイテムの重量、食料や空腹などリアルさを売りとしたゲームだった。ともすれば足枷になりがちな空腹、食事という部分を、上手くゲームの中に落とし込んだ一例といえるかも知れない。


 プレイヤーはダンジョン内に閉じ込められており、この作品にはアイテムとしてのコインはあるが商店や通貨の概念はないため、食料はダンジョン内で調達することになる。先行する他の冒険者が落としたものなのか、ダンジョン内にはリンゴやとうもろこし、パン、チーズ、もも肉といった食料が落ちている。また人型のモンスターを倒すと、まれに食料を持っていることもある。


 ただし、落ちている食料だけでは足りないため、食べられるモンスターを倒して食料とする。これは、スクリーマーという植物か動物かわからないモンスター。倒すとブロッコリーみたいな肉片になる。


 ダンジョン飯だと、このような描写。


 こちらは、名前もそのままにワーム。ダンジョンマスター中盤の強敵。ちなみに毒も持っている。


 倒すとこのようなカラフルな肉片を落とす。これを焼かないで(調理しないで)、そのまま食べる。なんかプリプリしてて、噛むと肉汁も出てきそう。


 リアルに考えるとこうなるわけで、これらのゲテモノ喰いを、それらしく調理して料理に持っていくというところに、この漫画の面白さがある。


 扉絵では、そのまんま方眼紙に書かれた手製のマップという趣が演出されており、オールドRPGを楽しんできた読者には刺さる仕掛けがたくさんされている。それだけではなく、罠の解除の手順が詳細に描写されていたり、スライムがなまこやほやみたいな生き物だったり、宝箱に擬態するミミックがヤドカリみたいな生き物だったり、ゴーレムを畑として利用してみたりと、コンピュータRPGでは省略されていた部分への独自の解釈が楽しい。それ以外にも、迷宮内に店舗があり街があってたくさんの他の冒険者も描かれているため、最近のMMORPGからのネタも入っていると思われる。迷宮内にオークの集落があり、そこを訪れる描写などあるので、ウルティマアンダーワールドからの影響もあるのかもしれない。


 グルメ部分だけに焦点が当たっているというより、迷宮での排泄やトイレの管理はどうなっているか、行き倒れた冒険者はどうなるのか、植物や生き物の生態系はどうなっているかなど、ゲームでは省略されてしまっている部分を、深く考察して独自の解釈を与えリアリズムを追求している点が興味深い。8ビットのコンピュータやファミコンでは、容量や表現力の問題からダンジョン内での生活は大幅に省略、簡略化されており、プレイヤー自身がその空白を想像で埋めることによって、それぞれにリアルな冒険を楽しんでいた。この作品は、その空白の部分を埋めていくというところに作者の情熱が注がれているようにも見える。


 物語を引っ張っていく、それぞれのキャラクターの性格付けも良く出来ていて、それぞれが大変魅力的なキャラクターになっている。 ということで、ウィザードリィやダンジョンマスターなどのオールドダンジョンRPG好き、ファイティングファンタジーなどのゲームブック好きには、なかなかのお勧めの作品になっていると思います。

参考:ダンジョン飯/九井諒子・KADOKAWA/エンターブレイン、Wiki ダンジョン飯、ダンジョンマスターの項、Dungeon Master - Return To Chaos

散財日記 in 冬物語

2016-06-21 14:19:41 | 散財日記・雑記

 ということで、夏に向かうこの時期に逆行するようなタイトルですが散財日記。前回の更新より一週間ほどなので、それほどめぼしい物は買ってないので小ネタ。

冬物語/原秀則 全7巻セット・(古本/小学館) 送料込み400円

 漫画(の特にセットもの)は場所をとるため基本的には買わないのですが、7冊のセットで400円ということは一冊あたり100円にもみたない上に送料も込みということで、あまりのお買い得さに負けてふらふらと買ってしまった。漫画喫茶で使用されていたものとのことだったが、店のシールやスタンプもなく、(おそらく)カバーでもかけられていたのか、表紙もつるぴかだった。


 冬物語とは、シェイクスピアのロマンス劇であり、ビールの商品名であり、ケツメイシの楽曲であり、最近では三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの歌ですが、ある世代にとっては漫画のタイトル。さらに調べたら72年のテレビドラマもあった。ここでの冬物語は、ヤングサンデー誌に1987年~90年にかけて連載されていた原秀則氏の作品。予備校を舞台とした青春群像を描いている。


 少子化の影響もあり、大学が全入時代を迎えて代ゼミが大量閉鎖を行うなど、予備校というのはスポットがあたらない衰退産業になっていますが、この80年代末から90年代半ばにかけて団塊世代Jr(いわゆる氷河期世代)の受験期にあたっていたこともあって、大学入試の競争倍率が20倍だとか偏差値も鰻上りになったりだとか、大変な時期がありました。予備校の講師がスター先生になったり、90年には予備校ブギというドラマ(主題歌はフリッパーズギターの恋とマシンガン)も作られたり、わりと浪人することが普通となっていた背景がありました。


 これは、その頃もにわりと珍しかった予備校漫画の先駆けとなった作品。それまでの浪人生といえば、藤子F不二雄先生の勉三さんみたいなイメージで、暗くて苦しいものというイメージでしたが、大ヒットとなっためぞん一刻や柴門ふみ先生のデビュー作P.S. 元気です、俊平でも予備校生活から物語がスタートするなど、少しずつ変わっていました。その決定版となったのが、この作品。物語は、受験に失敗して予備校に通うことになった主人公森川光が、憧れの女の子と同じコースを受講するため東大専科コースを選択することから始まります。その後、私立文系コースに移ることになり、大学にも合格したものの仮面浪人を始めてしまったりと、迷走しながらも物語は続いて行く事になります・・・。


 けっこうなスマッシュヒットとなったため、1989年には東宝で映画化もされている。


 主演は光役に山本陽一さん、奈緒子役に宮崎萬純さん、しおり役に水野真紀さん。惜しむべきことに、VHS版のみでDVD化されてない。


 この頃は、子供が多かったので予備校生活ですらまぶしい生活の舞台となったのですね。また、詳しく調べてネタとして紹介します。


ダンジョン飯 1巻(ビームコミックス)・(古本/KADOKAWA/エンターブレイン ) 1円(送料250円)
ダンジョン飯 2巻(ビームコミックス)・(古本/KADOKAWA/エンターブレイン ) 99円(送料250円)

 ダンジョン飯は、KADOKAWA エンターブレイン系列の雑誌に連載されている九井諒子氏作の漫画。グルメ・ファンタジー漫画という独特のジャンルに分類分けされている。あちこちで評判になり、話題となっている作品ということで買ってみました。


 物語は、主人公の戦士(剣士)ライオスのパーティが、狂乱の魔術師の支配する迷宮の奥深くを探索するところより始まる。レッドドラゴンに襲われ、ライオスの妹である僧侶のファリンがパーティをかばって喰われてしまう。ファリンの死の直前の帰還魔法によりからくも迷宮を脱出できた一行は、ファリン救出のため再度迷宮に挑むことになるが、装備、食料を置き去りにしてきた上に、仲間の脱退もあり資金難に陥ってしまう。節約のため、迷宮内で食料を確保することにしたライオス一行であったが・・・。


 ということで、ベースとなる世界観はウィザードリィの影響を色濃く受けたものであり、モンスターを食するというところはダンジョンマスターからの影響だと思います。スライムがなまこやほやみたいな生き物だったり、宝箱に擬態するミミックがヤドカリみたいな生き物だったり、ゴーレムを畑として利用してみたりと、独自の解釈が楽しい。


 表題的には、ダンジョンファンタジーものに孤独のグルメとか、クッキングパパのようなグルメ漫画の要素を持ち込んだ色物の漫画に見えますが、実はストーリーやキャラクターが良く出来ていて、かなり面白い。グルメ部分に焦点が当たっているというより、迷宮でトイレの管理はどうしているか、行き倒れた冒険者はどうなっているか、植物や生き物の生態系はどうなっているかなど、ゲームでは省略されてしまっている部分を、深く考察して独自の解釈を与えリアリズムを追求した作品といったほうが近い。この漫画の作者の九井諒子氏、そうとうRPGをやり込んでいていて、かなりの才能の持ち主だということが分かります。


 評判どおりかなり良くできた作品です。純粋なファンタジー漫画として捉えても、トップクラスに良くできているのではないでしょうか。ということで、こちらも詳しく調べて、またネタとしてやります。


レジェンドパソコンゲーム80年代記・(古本/総合科学出版) 655円(送料250円)

 レジェンドパソコンゲーム80年代記は、2014年に発売されたフリーライター佐々木潤氏の手による80年代のレトロパソコンの周辺を描いた書籍。80年代マイコン大百科に続いて出版された第二弾であり、激レア!お宝発掘!!80年代マイコン読本 という第三弾が存在する。元の定価は1,728円とそこそこ高い本なのだが、送料込み900円ほどということで購入してみた。


 前作80年代マイコン大百科では、筆者のコレクションである当時の雑誌やカタログなどの写真をふんだんに使い、この頃のトピックスを広く浅く紹介するという体裁の本だった。このような書籍は、最近少しずつ増えてきたが、これまでは皆無に近いという状況だったので、そういった意味でも貴重だった。


 本作では、80年代を前期、中期、後期と3つに分けて、パソコンのハード、雑誌、ゲームやソフトハウスなどのエッセイをまとめてあるという感じになっている。カタログ本という性格が強かった前作と比べて、エッセイや読み物としての割合が大きくなっている。アマゾンでの評価がいまひとつなので、購入に二の足を踏んでいたが、読み物としては面白く良く出来た一冊だった。


 惜しむべきことに、アマゾンでの評価がいまひとつなことの理由でもあると思うが、全ページモノクロで版も小さくカラー写真がないため、懐かしさはいまひとつ伝わりにくい。黄色い表紙も目立つことは目立つが、内容が伝わりにくく他の2冊とも区別がつき難いので、そういった意味でも不利でしょうか。


 それでも、この時期の広告写真を使ってのエッセイは貴重であるし、この手の本は未だに少ないため資料としての価値も持っていると思う。アマゾンでの評価を見て、二の足を踏んでいる人がいるとしたら、モノクロという点を除けばわりと良い出来なのでお勧め。


王子の対決 (現代教養文庫―アドベンチャーゲームブック・(古本/社会思想社) 1,000円(送料別)

 こちらは、社会思想社より1987年に現代教養文庫内の一冊として発売された王子の対決。かなり珍しい2人対戦用のゲームブックとなっています。こちらは、オークションより入手。


 「魔法使いの書」「戦士の書」として、通常のファイティングファンタジーシリーズの一冊分にあたるものが2冊セットになっている。当時の定価も、2冊合計分の1,000円。この王子は双子という設定で、2人のプレイヤーは魔法使いか戦士かをそれぞれ選んで、プレイすることになります。


 箱より出したところ。箱にはファイティングファンタジーのマークが付いているし、装丁のフォーマットも社会思想社のファイティングファンタジーシリーズと共通。ただ、これがファイティングファンタジーシリーズに数えられるのかは微妙。本国では、別のシリーズなのかも。Wikiでは、その他という扱い。カバーイラストや挿絵は、ソーサーリーのジョン・ブランシュ氏。ちなみにJohn Blancheで検索すると、あのソーサーリーの狂気に満ちた混沌とした絵柄からは想像もできない世界が広がる。実に多彩な人ですな。


 御大S.ジャクソン氏、I.リビングストン氏監修。アンドリュー・チャップマン氏は宇宙の連邦捜査官、海賊船バンシー号、宇宙の暗殺者などを手がけた方。


 特に未使用品とかいうわけでもなかったが、記録用紙も未記入で、ほとんど使用感もないものだった。ちなみに2人用ゲームブックというのは珍しいが、この本自体はそう希少なものではありません。


 1987年9月に第1刷、約8ヵ月後で第4刷とは、ゲームブック末期に入ってきていると思いますが、まだまだ勢いがあった頃でしょうか。個人的には、この時期にはそろそろゲームブックへの興味を失いかけていた。


 ということで、株式会社ウィズのオレのRPGノートを除くとゲームブックを買ったのは実に7~8年ぶりくらい。綺麗なものなので1,000円であれば、まあお買い得に見えるが、送料、振り込み手数料を加えると1,6倍ほどの金額となった。レトロゲームやレトロハードと比べても、ゲームブックは設定される値が元の価格に比べて高めで、送料なども含めるとネットで買うのはなかなか難しい。オークションでも高めなので、ブックオフの100円コーナーで見つけたというように手軽にはとても買えません。ということで、こちらもまたネタとして紹介します。

ゲームセンターあらしコラボ 1/12スケール ミニゲーム筐体・ゲームインパクト実行委員会

2016-06-16 03:27:26 | 玩具・雑貨

 こちらは、広島でレトロゲームのイベントを企画している団体、ゲームインパクト実行委員会が企画したゲームセンターあらしコラボ 1/12スケール ミニゲーム筐体(組立キット)。


 すがやみつる先生協力の元、ゲームセンターあらしとコラボした企画で、1/12スケールのミニアーケード筐体を作ってしまおうというもの。アーケード筐体のミニチュアは食玩やプラモデル等ありますが、貴重なゲームセンターあらしグッズのひとつであるという点がポイント。ということで、早速組み立てて行きます。


 本体は木製。型枠より外していきます。


 大手玩具メーカーの製品ではなく、木製の製品ということからも、そのまますんなりはまるとはいかない。カッターで削り角を落としてやります。無理にはめ込むと、木なので割れててしまう可能性もあるため、穴に対して少し小さめくらいが丁度いい。木製ボンドで接着するため、少々削りすぎても問題はありません。


 フロントパネルがはまりました。このような感じで仮組みをしていきます。


 背面のパネルも取り付けて、なんとなくそれらしい雰囲気が。


 看板パネルを取り付けます。


 天井部分のパネルを取り付けます。


 コントロールパネルを取り付けて、仮組みは完成。


 裏面は黒で塗装となっているため、この段階では接着しません。木製なので一度仮組みをしておくと組み立てやすくなる。黒く塗るのは、筆ペン推奨となっていますが、今回は黒での塗装は行いません。


 コントロールパネルにジョイスティックとなるピンを刺し貫通させます。その後、一端ピンを抜いてからコントロールパネルシールを貼って仕上げます。


 ゲーム画面となるアクリル板。こちらも仮取り付けを行います。


 アクリル板にシールを貼り付け、裏よりゲーム画面を接着してモニター部分を仕上げます。


 コントロールパネルとモニターを取り付けるとこんな感じ。このモニター部分は、PCでゲーム画面を取り込んで自分で作成すればお好みのものに変えられると思います。


 看板にゲームインパクトのシールを貼り付け。ここも、PCで画像を取り込んで好みのゲーム看板を作成すればよりリアルなものが作れるかも。組み立て式なので、色々と手を加えることのできる余地があります。


 看板も取り付けました。


 筐体の前面に木目調のパネルシールを貼り付け。どうやら、これは駄菓子屋筐体風の雰囲気。あまり木目調のゲーム筐体というのは記憶にありませんが、ATARIなどの70年代あたりの古い筐体だと存在するよう。


 筐体側面にゲームセンターあらしシールを貼り付け。ちなみに、これはゲームセンタあらしのてんとう虫コミックスの7巻の表紙が元ネタになっている。


 ということで、一応の完成。本来は筐体の裏面を黒で塗装して、付属の木工用ボンドで接着して完成ですが、今回は接着までせずに改造できる余地を残しておきます。必要な道具は、面取りをするためのカッターナイフと黒く塗るための筆ペンのみで、所要時間1時間ほどで作れる。シールはある程度は貼りなおしが効くし、失敗した時のためにシールとは別に元となった原画も付いてくる。


 元々は紙で作るペーパークラフトだったみたい。筐体のペーパークラフトを作成している同人サークルとのコラボということのようです。木工の製品なのでペーパークラフトやプラスチック製品とはまた異なった独特の風合いや感触があります。


 ここを黒で塗装してやればより完成度が高まる。モニター周りが黒いというのは、やはり駄菓子屋筐体ですな。あの駄菓子屋に置いてあったミニ筐体は、筐体のパネルが木製だったと思いますので、そういった意味でもリアル。


 また筐体の底面はありませんので、このあたりも自作してやればより完成度が上がる。


 大手玩具メーカーの完成品ではありませんので、手作り感溢れるものになっている。次は、食玩のぼくのゲームセンターシリーズが6万円もの高値を付けたというスペースハリアー筐体をやって欲しいところ。約3,000円という価格は微妙なところですが、木工製品の玩具ってたいてい高価ですし、あらしのライセンス料も入っているでしょうから、大量生産ではない一品ものに近い同人ものということを考えれば、リーズナブルと言えるかも。イベントではすがや先生のサイン入り筐体も限定販売されるようですが、量産版にもサインを印刷していて欲しかった。これを作っていると、ハングオン筐体のプラモデルも欲しくなってきました。


 ということで、早速行くぜ!おりゃ~炎のコマ、炎のコマダブルアタック!!くらえ!炎のコマ+月面宙返り(ムーンサルト)~月面宙返り(ムーンサルト)二段撃ち!!


 謎の人さん、勝負です。一撃でクリアーッ!!!たとえのこの身が灰になろうとも、俺はかける!!超新星スーパーノバだあ~~~っ!!


 以上。こんな遊び方も出来る、意外と簡単に作れて出来上がりもなかなか綺麗なゲームインパクト実行委員会 ゲームセンターあらしコラボ 1/12スケール ミニゲーム筐体の組み立てでした。

参考:ゲームインパクト公式サイト、ゲームセンターあらし/すがやみつる・小学館、アーケードゲーマーふぶきORIGINAL/吉崎観音・エンターブレイン

散財日記 in ゲームセンターあらしコラボ 1/12スケール ミニゲーム筐体(組立キット)

2016-06-12 03:00:51 | 散財日記・雑記

 ということで、半月振りくらいの散財日記。ボーナスもそろそろですが、特に大きな買い物をする予定はなし。そのまま貯金して、ちまちまと小さな買い物をするのが気楽でいいですね。

ゲームセンターあらしコラボ 1/12スケール ミニゲーム筐体(組立キット)・(新品/ゲームインパクト実行委員会) 2,880円

 これは何かというと、アップライト型筐体を1/12スケールで再現したアーケード筐体のミニチュア。広島のゲームインパクト実行委員会というサークル(団体?)が企画した同人もの。レトロゲーム情報サイトのファミコンのネタ!!さんとか、そうさめもさんで紹介されて、レトロゲーム界隈の一部では話題となっていた。アーケード筐体のミニチュアといっても、外側だけなのでこれでゲームをすることはできない。


 では、何故そんなものを買ったかというと、すがやみつる先生の協力の元、ゲームセンターあらしとコラボしたあらしグッズだったため。アップライト筐体のミニチュア+ゲームセンターあらしという組み合わせには抗えなかった。


 内容物はこのような感じ。本体は木製。それにゲーム画面の再現のためのアクリル板、ジョイスティック再現のためのピン、外側に貼るあらしのシール、組み立て説明書、木工ボンドなどが付属している。


 企業の製品ではないので、手作り感溢れる感じ。ゲームインパクトの3周年企画の第一弾ということらしい。以前には、ファミコンロッキーとコラボしたファミコン本体だとか、ファミコンカセットなどのグッズも出していて話題となっていた。


 組み立ては、それほど複雑ではないけれど、時間がないためまた別の機会にやります。


 6月18日~19日にかけて広島でイベントが行われ、そこではすがや先生のサイン入り筐体が30個限定で発売されるらしい。お近くの方は、そちらのほうが良いかも。そちらはプレミア化するでしょうね。


 ゲームセンターあらしグッズは、連載当時にインベーダーキャップが作られたくらいで、あんまり記憶にない。ピンバッチとかはありそうだが、超合金とかソフビは聞いたことない。検索してみると、ゲームセンターあらしけん玉を見つけた。当時のプレゼントものとかはあるかもしれないが、TVゲームにしてもプレイステーションで発売されたサウンドノベルゲームがあるくらい(アニメ化された当時、ボードゲームはあった)。なので、あらしグッズとして考えた場合にはなかなかスルーできない一品。同人もので限定品のため数に限りがあるようなので、興味のある方は在庫がある内にどうぞ。


SRアーケードゲーマーふぶき パッションパンティー発動編 全6種・(新品/タカラトミーアーツ) 1,100円(+送料)

 くらえ、炎のコマだ!ということで、2002年にタカラトミーアーツより発売された、SRアーケードゲーマーふぶき パッションパンティー発動編のARASHI。一回200円のガチャだったようです。上のあらしミニ筐体と合わせてというわけではなく、たまたまなのですが、こちらはオークションより。


 上にも書いたように、あらしのグッズ、フィギュアという時点で非常に珍しい。とはいっても、ゲームセンターあらしのフィギュア化ではなく、この2002年当時にOVA化されたアーケードゲーマーふぶき内のキャラのひとつとして登場してる。往年の必殺技炎のコマ・ダブルアタックを繰り出している。


 あらしのかーちゃんのノーブラボイン撃ちとか、エレクトロニックサンダー、ムーンサルトなど、あらしには必殺技やインパクトのある名場面が多いので、フィギュア化すれば栄えると思うのですが。S.H.フィギュアーツみたいに可動式にして、様々な必殺技のポーズが取れるものとかでないですかね。ポリゴンで様々な技が繰り出せる、アクションゲームのあらしも遊んでみたい。


 200円のガチャにしては、頑張っている方でしょうか。炎のコマのエフェクトが、透明なパーツで再現されているので迫力もある。静止画だとわかりませんが、実際には接続部が甘くって、ポロポロとれてストレスが溜まる。


 こちらは、桜ヶ咲きふぶき。ふぶきの必殺技一撃でクリアを再現。ちなみにこの筐体は、クレージークライマーのものでOVA一巻に登場する中野サンプラザでのクレージークライマー勝負の時のものを再現している。この筐体の元ネタは、バンダイの電子ゲームであるFLクレイジークライミング。


 あらしとふぶきの直接対決。ちなみに何故、筐体の上に倒立しているかというと、あらしのエピソード内で飛行船の中での勝負があり、揺れる不安定な中、筐体と一体化することでそれを克服したという話があるから。ここから、ムーンサルトに発展した。CGを使って数々の必殺技を再現した実写版あらしとかあれば楽しそう。


 まあ、なかなかこのようなゲームバトルのシーンを再現したフィギュアはありませんので、その意味では貴重。ちなみに今、オークションでは6種セットで500円で出ている。


 ふぶきのライバルである十文字ちづる。ギュラシック四天王の1人で、人呼んでシューターちづる。ディグダグのプーカを模したゴーグルがお洒落。


 200円の小さなフィギュアですが、顔の造形は良く出来てますな。こんなのどうやって塗るのでしょうか。


 金髪アメリカ女性のゲーマーメロディー・ハニー。アメリカ人なので、マックシェイクみたいなものを飲んでいます。同じ吉崎観音作品のケロロ軍曹にも登場している模様。


 ノーブラボイン撃ちとかやれそう。


 作品内では、明るい天然なキャラだった。もちろんOVA版にも登場している。


 こちらは、ふぶきと親友の国分寺花子のコンビ。この2人設定としては、女子中学生。ルーズソックスが流行っていた90年代末頃の話なので、今だと30歳過ぎか。


 2002年のものなので、作りとかは甘いと思います。接続部がきちんとはまらずポロポロと取れてストレスが溜まる。経年による劣化もあるのかも。それにしても造形自体はなかなか良く出来ている。昔のコスモスの20円ガチャガチャと比べると雲泥の差がある。それにしても200円でここまでやって、もうけとか出るんでしょうか。


チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム 3―パソコンゲームの楽しさを伝える本・(新品/電波新聞社) 2,592円

 チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム通称チャレアベは、1980年代にマイコンベーシックマガジンに掲載されていた山下章氏の連載を別冊としてまとめたもの。80年代当時のPCゲームの攻略法を紹介したゲーム攻略本の先駆けと言えるもの。84年からチャレンジ・アドベンチャーゲームとしてベーシックマガジン誌上で連載を開始し、Ⅰ~Ⅴまで発売されていた。80年代後半にも版を小型化した復刻本が出され、2003年にも復刊ドットコムの企画で再販されている。古い8ビットPCゲームの資料としては、これ以上のものはないため、今でも根強い人気があってアマゾンでもオークションでも5,000円~10,000円ほどとプレ値で取引されている。


 Ⅲの方は、残念ながら収録数が7本と少ない。チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲームが25本、Ⅱが10本と当時のゲームの内容の高度化、複雑化にあわせて少しずつ掲載本数が減っている。マイクロキャビンのめぞん一刻、うる星やつら、日本ファルコムのイース、工画堂スタジオのサイキックウォー、ウィザードリィⅠ~Ⅲが収録されている。ウィザードリィの攻略は、別にチャレアベでなくとも読めるため、チャレアベの中ではそれほど人気がない号にあたるかもしれません。


 で、何故これを買ったかというと、なぜかアマゾンで新品が売られていたから。このチャレアベは2003年に復刻されて以降、ずっとプレ値が続いてきたのですが、なぜだかこのⅢのみアマゾンに2回ほど入荷していた。入荷するなり1~2日ほどであっという間に完売してしまっていた。


 再販されたかなと思って発行年月日を確認すると2003年のまま。Ⅲのみまだ出版社に在庫が残っていたということなのかもしれません。ちなみに楽天ブックスなどではまだ売っているところもあり、そちらも残り一冊という状況。


 ということで、チャレアベとしては収録本数も少なく、いまひとつといった感じなのですが、新品の再販本が手に入るというだけでも貴重。当時の8ビットPCゲームを扱った書籍もちらほらと出版されていますが、資料としての価値としては、未だに一線級と言えるものなので、買える機会があれば押さえておきたい一冊。


家庭用ゲーム機興亡史・(新古/オークラ出版) 300円(送料250円)

 こちらは、2014年にオークラ出版より発売された家庭用ゲーム機興亡史。家庭用テレビゲームの歴史、発展史をまとめたもの。著者は、近年レトロゲーム関連の本を出しまくっているコナミ出身の前田尋之氏。定価1,620円ほどの書籍なのですが、出版社の判断により価格拘束を外した自由価格本(バーゲンブック)として、新品が500円前後で売られていたため購入してみました。


 アマゾンの評価を見ても分かるように、平坦な記述で書かれており、それほど資料として詳しい本ではない。ゲーム史の記録とかそのような大げさなものではなく、どちらかというと軽く読んで楽しむための本。


 モノクロで文章メインの本ですが、ところどころに該当する機種の写真が入れてあるため、視覚的にも分かり易い。


 この著者は、ホビーパソコン興亡史という書籍も出しており、そちらとのセットという意味でも手に入れたかった。ホビーパソコン興亡史も、軽く読んで楽しめるライトなつくりの本。電車の中とか、喫茶店だとかで、軽く暇つぶしをする時間には丁度良いくらいの作りになっています。


 参考文献がネットの任天堂サイトやコタクジャパンとかなっていますので、ネットで調べればわかる情報ではあるのですが、平坦な記述で簡潔にまとめてくれているということで、十分にこの本の価値はあると思います。個人的には、アマゾンでの評価よりは高ポイント(まあ、安かったからということもあるでしょうが)。


ラビリンス 魔王の迷宮 コレクターズ・エディション・(中古/ソニーピクチャーズ エンターテイメント) 190円(送料350円)

 こちらは、もうネタとして紹介しました。1984年に公開されたジョージルーカス製作のファンタジー映画。2016年の1月に主演のデビッドボウイが亡くなられたということもあって、リメイクの話や2016年の夏にボードゲーム化される予定があるなど再度注目が集まり、再評価がなされている作品といえるかもしれません。 


 子供の頃に見たときには、子供っぽいファンタジー映画という印象でしたが、大人になってみるとまた別の角度から見えるものがあるかも。DVD化された時に、デジタルリマスターされているのか、画像が非常に綺麗になっているのも高ポイント。


 個人的には、80年代に作られたオズの魔法使いという印象。オズの魔法使いでは、オズの国で出会う魔女、ブリキのきこり、かかし、ライオンなどの主要登場人物を演じた俳優が、現実世界での人物もそれぞれ兼務している。それによって現実とファンタジーの間の微妙な距離感(ファンタジー世界はごく身近なところにある)を表現している。このラビリンスでも、現実とファンタジーの距離感で似たような手法を使っており、印象もけっこう似ている。ミュージカルの古典として評価されているオズの魔法使いと並んで、いずれ再評価される様になる作品なのかもしれません。

ラビリンス 魔王の迷宮 Labyrinth・ソニーピクチャーズエンターテイメント

2016-06-08 16:24:36 | 映画・DVD・CD

 ラビリンス 魔王の迷宮 Labyrinthは、1986年に製作されたファンタジー映画。1982年に公開されたダーククリスタル The Dark Crystalに続いて製作され、主人公、魔王以外のキャラクターがほとんどマペットにより演じられている。


 この当時、すでにカリスマ的な人気を誇っていたデビット・ボウイが、主演、楽曲の提供をしたことで話題となった作品。主人公のサラ役には、当時まだ15歳で売り出し中の新進女優だったジェニファー・コネリーが抜擢されている。製作は、ジョージ・ルーカスで製作会社はルーカスフィルム 、監督はモペット操者の第一人者だったジム・ヘンソン。2016年1月にデビッド・ボウイが亡くなった事を受けて、最近になってリメイクの噂が出るなどもあったようです。


 制作費は2500万ドルに対して、興行収入は1300万ドルほどと、当時としてはそれほどヒットしなかった。ただ、その後ビデオ化やDVD化などを経てカルトな人気を獲得しており、今日では再評価もされているのだそう。前述のリメイクの話もそうですが、こんなものも発売されるみたいで、ずいぶん昔の過去の作品だと思っていたらそうでもなかった。ちなみに、日本では当時RPGやファンタジーがブームだったため、ファミコンやMSX2でゲーム化されており、映画もそこそこの人気を得ていた。


 物語は、15歳の少女サラが継母より腹違いの弟(赤ちゃん)の子守を任されたことより始まる。泣き止まない赤ん坊に業を煮やしたサラは、赤ん坊をどこかに連れ去ってもらおうと愛読書に書かれていたゴブリンの王を呼び出す呪文を唱えてしまう。呪文により呼び出されたゴブリンの王ジャレスは、サラの希望通りに赤ん坊を自分の支配するゴブリンシティの城へと連れ去ってしまう。サラが弟を連れ戻すためには、13時間以内にラビリンスを抜けて、魔王の城まで到達しなければならない・・・。


 DVDのコレクターズエディションには、当時のメイキングやイメージスケッチ、ストーリーボードなど製作過程について記された、色々な特典が付いている。CGは主にオープニングの梟にのみ使われ、そのほとんどは、マペットや巨大なセット、マットペイントなど当時のSFXを駆使して作られている。


 劇中に登場するゴブリンのデザインは、ファンタジーのイラストを得意とするイラストレーターのブライアン・フロウドの手によるもの。ちなみにサラの弟トビーを演じたトビー・フロウドは、ブライアンの息子。


 ラビリンスというタイトル通り、迷宮探索を主なテーマのひとつにしており、天井の無いオープンフィールドの迷路から、ひたすら直線が続く悪夢のような迷路、植木を刈り込んだ庭園型の迷路、下水道風の地下通路、壁が警告してくる地下のダンジョンまで、様々なタイプの迷路が登場する。それだけではなく1人はいつも正直で、もう1人はウソしか言わない扉や、マウリッツ・エッシャーの相対性(騙し絵)、ルネ・マグリットのトロンプルイユ(錯視)など、精神を惑わせるあらゆる意味での迷路が登場してきます。


 イメージスケッチが作られ、それにあわせてセットが作られる。CGが本格的に使われる前の時代なので、模型やミニチュアを含めて全てが本当に実際に作られている。メイキングを見ると、とんでもない手間や人手、時間をかけて作られているということがわかる。


 74年のダンジョン&ドラゴンズから、80年代初頭のウルティマ、ウィザードリィを経て世界的にファンタジー世界や地下迷宮(ダンジョン)が、注目を集めていた頃でしたから、それらのファンタジー世界の実写化という意味もあったと思います。


 魔王に毒入りの林檎を食べさせられた事による幻覚により、泡の中の世界でのダンスパーティに参加することになるシーン。こちらも、子供から大人になる前に大人の世界を垣間見るという意味合いで、思春期の精神世界という迷宮を表現していると思う。主要なシーンではデビッドボウイの楽曲がかかり、ミュージカル仕立てとなる。


 こちらは、当時もののVHS。ポスターやサントラなんかも、こちらのイラストを使用していた。


 当時は、この頃ルーカスがよく作っていた子供向けの金のかかったB級映画という印象でした。なぜかルーカスは、ハワード・ザ・ダックとかイウォーク・アドベンチャーとか、Willowだとか、あまり評価されない特撮映画をたくさん作っていた。アクションや剣劇があるわけでなし、迷宮や特撮は良いけれどストーリーは子供向けで退屈な映画といった印象だった。※ここから先は、ネタばれしてます。


 今見ると、不思議の国のアリスやオズの魔法使いといった、異世界を通り抜けることで大人になる少女の通過儀礼を描いた映画だということがわかります。オープニングに出てくるサラの部屋には、オズの魔法使いやこの映画の元ネタである“まどのそとのそのまたむこう”の本が置いてある。マウリッツ・エッシャーの騙し絵が壁にかかっており、劇中に登場するゴブリンたちのぬいぐるみ、それだけでなく魔王らしきフィギュアまで置いてある。つまり、このラビリンス、迷宮とはサラの精神世界を暗喩したものだということがわかる。デビッド・ボウイ扮する魔王は、劇中あれこれと様々な手段でサラを幻惑しますが、最後には、おまえが望むことはすべてしてやった。私を崇拝し、愛してほしい。そうすれば、私は喜んでおまえの僕(しもべ)になろう・・・などと言い出します。あげくにサラにYou have no power over me(あなたは、私に対して何の力もありません)と言われて、梟になってピューっと飛んで逃げて行ってしまいます。 これは、同時に美少女を前にした中年のおじさんの悲哀も描いているんですね。


 デビッド・ボウイは、白のタイツを履いてこの哀愁ある魔王役をノリノリで楽しそうに演じていますから、実にふところが深い。まあ実際には、ジェニファー・コネリーはデビット・ボウイと共演したことから高校では、嫉妬によるいじめにあったそうです。結局、大人の世界を垣間見せてくれる誘惑者への憧れや好奇心と、子供のままファンタジーの世界にいたいサラの葛藤の夢世界ということで、非常にロマンチックな話なんですね。この作品のもうひとつの売りであるゴブリンのデザインや世界観は、イラストレーターのブライアン・フロウによるところが大きい。この方、有名なようでアマゾンでも画集が売っている。


 このブライアン・フロウはイギリスの人なので、そのまんまイギリス製のゲームブック、ファイティングファンタジーの世界観に通じるところもある。日本製のゲームにありがちなアニメ絵ではなく、このような濃いファンタジーの世界の実写化としても楽しめます。日本のような甘いファンタジーではなく、油断するとバクっと喰われそうな、ダーティな闇や暗がりの怖さをも含めたファンタジーの世界。


 ということで、あらためて見直してみると、とても良く出来た作品であるということが理解できる。個人的評価は、星★★★★☆(90点)。ファミコン好きやRPG好き、ウィザードリィ好き、ダンジョン好き、ゲームブック好き、ファンタジーな気持ちを忘れないすべての人にお勧め。

参考:Wiki ラビリンス/魔王の迷宮、デビッド・ボウイ、ジェニファー・コネリー、ジム・ヘンソン、マウリッツ・エッシャー、ルネ・マグリットの項、amass.jp、ミドルエッジ【美少女出身】ジェニファー・コネリー☆ワンス・アポン・ア・タイム~子役出身