80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

LSI Portable Game FLバトルビーム FL BATTLE BEAM・バンダイ

2015-05-30 16:28:28 | 電子ゲーム


 これは、バンダイより1980年頃に発売されていたLSI Portable Game FLバトルビーム BATTLE BEAM


 大ヒットとなったLED(発光ダイオード)ゲームのミサイルベーダー、チャンピオンレーサーに続いて、バンダイが満を持して市場に送り込んだFL(蛍光表示菅)ゲーム。ミサイルベーダーは、同シリーズのサブマリン、コンバット、ゴルフコンペが4,500円だったのに対し、3,980円という価格で勝負を賭けてきました。デザインやゲーム性が良かったことに加えて、廉価だったことから大ヒットとなりましたが、エポック社、トミー、バンビーノなど、他社の蛍光表示菅ゲームと比べると少し見劣りしてしまう部分があったことも事実。少しずつこの頃から、電子ゲームの主役がLEDから蛍光表示菅に移り始めてきたのだと思います。そこに、バンダイ初のFLゲームとして、FL グランプリチャンピオンとともに市場へと送り出されてきたのが、このFL バトルビームでした。


 ゲームは、ミサイル基地を移動させて迫って来る敵の戦闘機を打ち落とすというもの。時間制限制で決められた時間内に、撃墜したポイントで得点を競う。敵のミサイルに当たってしまうと、ゲーム時間が20秒ずつ短縮されていく。箱には、画面くっきりリアルなアクション、2色蛍光表示菅使用とあり、蛍光表示菅を使って綺麗な画面を実現したことが売りだったようです。


 取扱説明書と保証書。バンダイ最初期の蛍光表示菅ゲームなので、ゲーム性はとてもシンプル。バンビーノのUFO MASTER BLASTER STATION(タカラのミサイル遊撃作戦)学研のジェットファイターにも、少し似た内容。 敵戦闘機は、迎撃した距離により点数が変化する。それにしても、3点、2点、1点とは、あまりありがたみはない。画面上部からやってくる戦闘機をひたすら撃つだけという、あまりにシンプルな内容にはあっているのかもしれませんが。ちなみに、もうひとつのFL グランプリチャンピオンは、チャンピオンレーサーのFLゲーム版といった内容。


 ゲームのジャンルとしては、縦型のシューティングゲーム。残念ながら、背景が無いのでスクロールはしない。ゲームの内容的には、あまり特筆すべき点はないが、筐体のデザインは流れるような流線型でえらくかっこいい。 


 操作系は、左右への移動レバー(アクションスティック)とファイアー(攻撃)キー、電源スイッチを兼ねたHIとLOWのレベル切り替えスイッチと至ってシンプル。蛍光表示菅は電力の消費量が大きいためか、電池のみだったこれまでのLEDゲームとは異なり、ACアダプターも使えるようになっている。
 

 バンビーノや学研のような、お洒落感はないが、バンダイらしい玩具的なかっこよさがある。細部に、実用には意味のない様々な装飾も施されていて、デティールも凝っている。どこかガンプラっぽい気もしますな。HIとLOWのゲーム切り替えスイッチが、レバーっぽくなっているところなんかもイカス。


 81万番台と桁違いだったベースボールにはとても及びませんが、5000番台だったサブマリンに対しては6000番台と健闘している。出始めの頃の蛍光表示菅のゲームということで、7,000円~8,000円ほどはして高価だった筈ですが。


 電池は単3電池を4本と、この頃のゲームの標準型。筐体が大型化してくるにつれて、蛍光表示菅ゲームでは単2電池が標準になっていきますが。初期のFL機は、どれもスリムなものが多かったので、こういった選択になったのでしょう。


 ゲーム画面はこのような感じ。下に見えるのが、自機のミサイル基地。左右に3コマしか動けません。敵機は、画面上方より来襲。上からやってくる敵機の軌道上にミサイル基地を移動させ、ミサイルで迎撃します。単純ですが、結構やってくる敵機の数が多くて攻撃も激しいため、意外と熱くなる。


 ゲームのイメージとしては、こんな感じ。ひたすらやってくる敵機を、制限時間内で延々と迎え撃つ。



 単純なんだけど、敵機やミサイル基地の造形もよいし、スリムな筐体のデザインも良い。すごく面白いというわけではないけれど、捨てがたい魅力はある。これが、FLビームギャラクシアンやFL機動戦士ガンダムに繋がったと思えば、初めての蛍光表示菅ゲームということで、技術者のケーススタディーとしては上出来なんじゃないでしょうか。バンダイ流のUFO MASTER BLASTER STATIONという気もする。


 LEDにフイルムのオーバーレイを掛けてキャラクターを表現していたLDEゲームから見れば、表現の繊細さはやはり蛍光表示菅が上。ネオン管の一種なので、押入れや布団の中など暗闇で輝く様は、今のゲーム機でも替えが効かない独自性がある。この後、しばらくはFL機が市場の中心となる時期が続きますが、任天堂のG&W以降は液晶に主役の座を奪われてしまい、ゲーム用途としては1985年を最後に終焉を迎えた。


 個人的な思い出としては、LSIベースボール、LEDのサブマリン、コンバット、ゴルフコンペ、ミサイルベーダー、チャンピオンレーサー、FLビームギャラクシアン、FLクレイジークライマーなどは知っていたのだが、なぜかこのシリーズだけは当時知らなかった。情報源がコロコロコミックや学研の科学と学習の折り込み広告、少年ジャンプや少年チャンピオンなど雑誌の広告くらいしかない時代なので、デパートに行ってみて初めて新製品を知るということも多かった。ということで、これが発売されていた時期に、デパートで遭遇する機会はなかったのでしょう。ヒットした玩具以外では、生産分を売り切って終了ということも多いので、巡りあう機会も一期一会みたいな部分があります。


 ということで、スリムでお洒落なバンダイの蛍光表示菅ルーキーLSI Portable Game FLバトルビーム BATTLE BEAMでした。



参考:Handheld Antique、FLグランプリチャンピオン、FLバトルビームの項、Nostalgia バンダイの項

LSI Portable Game ベースボールBASE BALL・バンダイ

2015-05-29 01:49:10 | 電子ゲーム


 これは、1977年~78年頃にバンダイから発売されたLSI Portable Game ベースボール BASE BALL。数種類が発売されたバンダイの電子ゲームベースボールの中でも、もっともベーシックな最初期に発売されたもの。


 ゲームの処理にLSI(大規模集積回路)を使った日本製のものとしては、最初期のものになると思います。野球の室内ゲームとしては、電気を使わないものとして1958年にエポック社より野球盤(似たようなものは戦前からあったらしい)が発売されています。学校の休み時間などでも遊べるものとして、タカラが78年から98年までの21年間販売していたカードゲームえんぴつ野球があり、70年代後半頃になると、電池やギアを使ったエレメカが登場してきます、その後昭和50年代前半頃に登場してきたのが、この電子ゲームの野球ということになります。アーケードゲームの方では、パチンコやピンボールタイプのエレメカがあり、83年にはアルファ電子開発、セガ販売のチャンピオンベースボールが登場。ファミコン発売以降の83年には任天堂ベースボール、86年にはファミスタが登場して人気を博します。この頃までは、野球が人気スポーツの王者であり、プレイや観戦も含めて娯楽の中心でもあった。


 バンダイエレクトロニクスの文字が誇らしげ。それまで野球ゲームの主役であった野球盤では、手動でやっていた点数付けやランナーの進塁などを、すべて自動化したところが新しかった。また、対戦相手がいなくともコンピュータが相手をしてくれる点が、核家族化や鍵っ子などと言われ始めた時代にもマッチしていた。


 箱裏の解説。イメージとしては、小型の野球盤に近い。野球盤をLSIチップで制御し自動化したものと言える。


 個人的には、野球はあまり興味ありませんでしたが、この頃多くいた野球少年たちの目には、輝いて映ったはず。


 取扱説明書と保証書。アンケート葉書。点数掲示板風の目隠し板が付いている。


 こちらが本体。ベーシックというか、完成されたデザインというか、この後もエポック社、トミー、学研、モリタニなど各社から同じような電子ゲームがでましたが、それらの中でも一番良いのではないかと思います。


 写真やネットなどで見るときには、あまり見かけませんが、スコアボードを模した板が付いている。こちらは、点数を電光掲示してくれるというようなものではなく、単なる紙の板でピッチャーの手元を隠すためのものだと思われる。


 攻撃役と守備側のそれぞれの操作系。投手側は、カーブ・スローボール・スピードボール・シュートの4種が投げられる。バッター側は、バッティングのみが可能。チェンジアップを含めて5種類の球種やスチールが可能になった改良版のLSIベースボールや、ゴージャスなスーパーベースボールが存在する。オートとマニュアルの切り替えスイッチが付いており、ピッチャーをコンピュータにして一人で遊ぶときにはオート、2人で対戦する場合にはマニュアルを選択する。


 単三電池3本という、なかなか変わった設定になっている。電子ゲームの場合だと、大抵は単三電池4本か単二電池を4本だった。


 前回紹介したサブマリンが5000番台だったのに対して、81万番台と2桁ほど桁が違う。メジャーな野球ゲームということで、売れ方のスケールが違っていたのでしょう。


 こちらは、同時期に発売されていたエポック社のデジコムナイン。これもとてもよく見かけた。直接のライバルと言えるかも。


 バッティングできる範囲は0.5秒(ハイスピードボールでは0.25秒)。この0.5秒の時間内で、早打ちするとレフト方向、遅打ちするとライト方向に飛ぶようになっている。ちょうど中間のポイントでヒットした場合にホームランとなる。完全ランダムかと思っていたら、そうではなかった。とはいっても、ヒットとなるかアウトになるかは運しだい。


 gifアニメなのであくまでもイメージですが、ボールの軌跡のイメージとしては、このような感じ。ちゃんとランナーも塁に進塁する。ルールとしては、もちろん高低差の概念はありませんので、ほとんど野球盤と同じと考えてよいと思います。


 自動でカウントも表示してくれる。改良版のLSIベースボールでは、カウント表示もストライクが黄色、ボールが緑とカラフルになっている。


 イメージと少し異なる点としては、オートでコンピュータがやってくれるのはピッチャーのみ。そのため一人で遊ぶ場合は、延々バッティングをすることになる。また、2人対戦の場合でも1回ごとに終了し、累積点数をカウントしないため、9イニングの試合を行いたい場合には、紙に点数をメモしておく必要がある。出始めの頃の電子ゲームなので、色々と制約はあります。各社が出していた電子ゲームごとのより詳しい解説は、こちらにあります


 バンダイの電子ゲームの中でももっとも最初期のものなので、機能面で多少見劣りするのは仕方がないかも。まず最初に野球ゲームが出て、ミサイルベーダーなどのLEDゲーム、FLバトルビーム、FLグランプリチャンピオンからはの蛍光表示菅ゲームへとなり、FLビームギャラクシアンFLパックリモンスターFLクレイジークライミングといった時系列だったと思います。


 個人的な思い出としては、前回のサブマリンを買ってもらった日に、いとこの家に行ったらこれがあった。変わりばんこに、交代交代遊んだが、それは少し前に買ってもらっていたものだったので、もうその時点でも少し古い印象がした。こちらの方がサブマリンなどよりも発売時期が古いことがわかります。いとこは、電子ゲームなどにそれほど興味あるタイプではなかったと思いますが、野球ゲームということで買ってもらったのでしょう。そういった意味で、そうとう売れていたためあちこちで見かけたため、多くの方の思い出の中に登場するゲームだと思います。


 ということで、バンダイ電子ゲームの基本とでも言えそうなLSI Portable Game ベースボール BASE BALLでした。



参考:Wiki 野球盤、プロ野球ゲームの項、ドライブイン環8 電子野球には手を出さないほうがいい、Nostalgia バンダイの項、野球盤道場、TNCおアソビ探偵団、すかせが

LSI Portable Game サブマリン SUBMARINE・バンダイ

2015-05-26 18:11:08 | 電子ゲーム



 こちらは、1978年頃にバンダイより発売されたLSI Portable Game サブマリン SUBMARINE


 世界初の携帯型の電子ゲームとして、76年に米マテル社よりMattel Auto Raceが発売された。これは、大規模集積回路(LSI)チップによって制御されたゲームを、LED(発光ダイオード)をディスプレイとして使用し、表現するという当時としては最先端の玩具でした。これは日本でもマテル社の手により、マテル・ゲームシンジケートシリーズとして売られていましたが、一部はバンダイからも輸入玩具として販売されていました。このLSIゲーム サブマリン SUBMARINEは、それらのマテル社のLEDゲームを参考に作られた、国産電子ゲーム最初期のものだと思います。同時期にサブマリン、コンバット、ゴルフコンペの3種類で発売され、後にミサイルベーダー、チャンピオンレーサー、スーパーミサイルベーダーがラインナップに加わりました。


 ゲームは、駆逐艦を操作してソナー音を頼りに、見えない潜水艦を沈没させるというもの。似たようなアイデアとしては、68年に米国アイデアル社より発売され、日本ではエポック社から販売されていたレーダーサーチゲームというものがありました。バンダイからは、蛍光表示菅のゲームとして潜水艦と駆逐艦側に分かれて2人で対戦できるUボート大作戦、太陽電池を使用して2面構成で遊べるLCDゲーム激戦Uボートというものも出ていました。また79年には、ナムコからサブマリン(Submarine)という潜水艦の潜望鏡をのぞいて魚雷で駆逐艦を攻撃するエレメカもでていて、この箱絵のイメージだと、エレメカのサブマリンに近いかなと思います。


 ハンディタイプということと、LSI使用ということをパッケージでは強調しています。日本の電子ゲームとしては、ほぼ最初期のものなので、小型なのに高価ということで買うほうも躊躇することがあったのかも。こちらも、マテル社のゲームシンジケートシリーズを参考にしたようなデザイン。


 取り説と保証書。当時の玩具やゲームは非電源系のものも多かったので、保証書というのも珍しかったかも。買ったお店のスタンプを押してもらって、それもまた誇らしかったりした。


 操作系統は、電源スイッチ、アクション(移動)キー、攻撃スイッチとシンプル。本体には、MADE IN JAPANの文字が。日本国内で、ものが作られていた幸福な時代。


 ゲーム画面は、このような感じ。赤く光って見えているのが駆逐艦(自機)。潜水艦はまったく見えず、音でしかその存在を確認できない。これ以外に、時折画面を赤い光が左右から横切って行くことがあり、これは敵の魚雷攻撃のため、避けなければ一発でゲームオーバーになってしまう。また弾数制限があって、一定数の魚雷を撃ち終えたところでゲームは終了となる。バンダイの初期LEDゲームには、バージョン違いがあってむき出しのLED球が自機のバージョンと、キャラクターの形に抜かれたオーバーレイを使用したバージョンがある。こちらは、自機が船の形をした後期型。


 敵の探索はソナー音によって行う。駆逐艦の周囲に潜水艦が潜んでいる時に、ビーッ、ビーッと長めのソナー音。真下あるいは上下にいるときにはビッビッビッとソナー音が早くなる。実際には、ジッジッジッ・・・ジジジジ・・・といった感じの音の変化だけど。この時に、攻撃ボタンを押して攻撃をする。


 ビーッ、ビーッが(1)、ビッビッビッが(2)の場合。(2)の場合だと縦三列の中のどこかに潜水艦がいることになる。これが、妙に分かりにくいルールで、子供の頃はうまく理解ができなかった。(2)の場合でも、ほとんど中央でしかヒットせず、上や下の位置で魚雷を投下しても外れてしまう。もちろん中央で投下しても空振りしてしまうことはある。そのために余計に混乱した。逆を返せば、魚雷を避けながらビッビッビッとソナー音が短くなるところを探し、ある一定のタイミングで中央で攻撃しているだけで、簡単にカンストに持っていけた。ミサイルベーダーでもこの永久パターンがある仕様だった。


 アクションキーで移動して、ソナー音が短くなる場所を探り当てたら、魚雷を投下。撮影の都合上、左手だけでやっていますが、実際には両手で遊びます。


 このバンダイの初期LEDシリーズは、ほんとうにマテルのLEDゲームによく似ていた。9V電池という変則的な電源を使用するところも同じ。大きさは、マテル社のものが一回りほど小さい。このシリーズのミサイルベーダーがヒットしたためか、バンダイの初期電子ゲームは、箱の絵や筐体のデザインなど共通のフォーマットで作られていた。マテル社のものは、海外製の高価な玩具というイメージだったが、このバンダイのシリーズのおかげでグッと身近になった。


 当時の思い出としては、このサブマリンは買ってもらって持っていた。同時期に、戦車と地雷戦を題材にしたコンバット、ゴルフを電子ゲーム化したゴルフコンペがあって、どれが良いか目を皿のようにして見比べ、熟考して買ってもらった。エレメカよりは高度だったけれど、やはり単純なものなのでしばらくすると飽きてきてしまうのはお約束。分解して内部構造やLSIを見ようと試みたのもお約束だった。最後はどうなったか、覚えていない。中古の玩具を買い取ってくれるところなどなかったはずなので、いつの間にか燃えないごみに出されてしまったのだろうか。


 ということで、今見ると大人びているというか、舶来品の香りがするというか、大変クールなLSI Portable Game サブマリン SUBMARINEでした。



参考:帰ってきた電子ゲーム、山口 浩の「汚い部屋」

OLD GAMERS HISTORY ロールプレイングゲーム創世記編・メディアパル

2015-05-25 05:12:49 | 書籍・漫画

 こちらは、2013年にメディアパル社より出版された、コンピュータゲームの歴史を俯瞰して紹介したOLD GAMERS HISTORY ロールプレイイングゲーム創世記編


 
 このシリーズは、簡単な解説とともにレトロゲームの歴史を俯瞰できるものとして出版されているムック本で、これまでにもオールドゲーマーズ白書 VOL1~5、オールドゲーマーズSAGA VOL1~4、アーケードゲーマーズ白書 VOL1~2、アクションゲームアーカイブス、そしてこのオールドゲーマーズ ヒストリーと発売されまくっています。このようなライトめのレトロゲームのムック本の場合だと、たいていファミコンを起点としているものが多く、ファミコン前史は抜け落ちている場合が多い。このオールドゲーマーズヒストリー ロールプレイイングゲーム創世記編では、この手の書籍としては珍しくPCのゲームまで網羅されていて、なかなか読み応えのあるものになっています。


 この本では、RPGの起点として、ウルティマの作者リチャード・ギャリオット氏が1979年の高校生の時に開発したAkalabethを持ってきている。Akalabethは、ウルティマ0とも呼ばれウルティマの原点になった作品。もっと突き詰めてRPGの源流ということになると、イギリスのJ・R・R・トールキンによって書かれた1937年のホビットの冒険、54年の指輪物語という小説が発表されたところにまで遡れる。このトールキン氏の世界観を元にして74年にTRPGの元祖であるダンジョンズ&ドラゴンズが登場。このダンジョンズ&ドラゴンズをコンピュータで再現しようとしたところからコンピュータRPGの歴史が始まった。現存する最古のRPGとしては、75年のpedit5だと言われる。76年には、世界最初期のRPGと言われるダンジョン、アドベンチャーゲームの元となったコロッサル・ケーブ・アドベンチャーなどが開発される。TRPGの成長や戦闘の部分をコンピュータ上で再現したものがRPGとなり、謎解きやダンジョンマスターとのやりとり部分を再現したものがアドベンチャーゲームとなって、これら2大ジャンルの源流は同じものだった。ただし、これらは大学など専門機関の大型コンピュータ上で動いており、一般に広く知られたものではなかった。Akalabethは、パーソナルコンピュータとして広く一般に普及したAppleⅡ上で動いており、そういった意味でこのAkalabethがRPGの原点のひとつとして位置づけられる。


 Akalabethは、海外版ウルティマコレクションに収録されているがもはや伝説と言ってよく、コンピュータRPGの原点として一般的なのは、ウルティマ、ローグ、ウイザードリィの3作品から。ローグは、この中ではもっとも早く1980年に登場している。それまでテキストで表現されていたコンピュータRPGに、キャラクター(といってもアルファベットや記号)が持ち込まれ、自動でダンジョンが生成されるところが画期的だった。ローグの日本語版が発売されたのは、相当に遅くてアスキーから86年。対してオリジナルのウルティマⅠは、81年に発売された。この時、リチャード氏はまだ大学生だった。


 コンピュータRPGの原点のひとつとして知られるウルティマですが、日本製PCにウルティマが移植されて遊べるようになったのは、スタークラフト社の手による1985年の発売とこちらも相当遅い。しかもウルティマⅠをすっ飛ばしてⅡから発売された。87年のUltima Ⅳからは、ポニーキャニオンに権利が移ってファミコンにも移植されて一般にも広く知られるようになった。この時にウルティマⅠからⅢまでもグラフィックが綺麗になったIBM-PC版が再度移植されなおして、再発売されている。


 もうひとつの源流、ウィザードリィ。81年にAppleⅡ向けに開発された。製作したのは、ロバート・ウッドヘッド氏とアンドリュー・グリーンバーグ氏の2人。彼らもまたこの時コーネル大の学生だった。日本語版は、アスキーより発売されたPC版が85年、遠藤雅伸氏率いるゲームスタジオが移植したファミコン版が87年に登場している。


 本シリーズは、オリジナル開発元の米国のサーテック社が倒産してしまったため、98年のウィザードリィ8でストップしている。またオリジナル製作者のアンドリュー・グリーンバーグ氏とロバート・ウッドヘッド氏ともそれぞれⅣとⅤまでしか関わっていない。日本で非常に人気が出たため、日本独自の外伝が何本も作られ、オンライン化もされるなど独自の発展を遂げている。Ⅵ以降からは、オリジナル製作者の2人が抜け、リルガミンの街が廃止され、呪文系統が変わるなど大幅に変化していて、新WIZとも呼ばれている。現在Ⅵ~8までの権利を持っているのは、実は日本の会社だったりする。


 ドラクエの鳥山明氏、すぎやまこういち氏に対して、コンシューマ版ではイラストに末弥純氏、音楽を羽田健太郎氏と、スタッフを固定したことも日本での一貫したイメージ作りに幸いしたのかもしれない。 ウルティマⅢ恐怖のエクソダスでは、台詞監修が秋元康氏、音楽担当は後藤次利氏と、おにゃん子コンビだった。


 ウルティマ、ウィザードリィに影響されて、海外では85年にバーズテール、87年にマイト&マジックというシリーズも開発されて人気を博している。当時、これらはどちらもウルティマ、ウィザードリィとあわせて、世界3大RPGに数えられていた。バーズテールの開発にはスカラブレイ出身の忍者ホークウィンドことロー・アダムスIII世氏が関わっており、氏はウルティマ、ウィザードリィの双方にも関与していた。他には、85年にSSIからファンタジーというシリーズも発売された。


 日本でのRPGの歴史としては、歴史シュミレーションで有名になった光栄より82年にドラゴン&プリンセス、83年にクフ王の秘密、ダンジョン剣と魔法、84年に日本ファルコムよりぱのらま島などが発売されている。ぱのらま島の作者は、ドラゴンスレイヤー、ザナドゥの木屋善夫氏。これらの作品は、RPGの要素を取り入れてはいるが、まだ完全にRPGだとは言えなかった。83年12月に、ヘンク・ロジャース氏が設立したBPSよりザ・ブラックオニキスが発売されている。この作品は、学生時代からTRPGを遊びつくしてRPGに精通していた米国人の手による作品で、容量の問題やRPGに不慣れな日本人にあわせて大幅に簡略化されてはいたものの完成度が高く、この作品が日本で最初の本格的なRPGと言われることが多い。


 84年には、ゼビウスで一躍有名になった遠藤雅伸氏の手により、アーケードゲームにRPGの要素を取り入れたドルアーガの塔が発表されている。これは、アーケードゲームという性質上、経験値ではなくアイテムや装備を入手することで主人公が成長するようになっていた。大手のナムコからアーケードゲームという場で発表されたことで、一般にファンタジーやRPGが広く知られるようになったのは、これが最初と言えるかもしれない。ナムコからは、85年にファンタジーやRPGの要素を取り入れたドラゴンバスター、86年に経験値とパスワードを取り入れたドルアーガの塔の続編イシターの復活も登場している。他に4人での同時プレイとパーティプレイを再現した85年のアタリ社のガントレット、よりRPGの要素を取り入れたアーケード作品としては、90年のデーターイーストのダークシール、91年タイトーのカダッシュなどがある。


 84年には、ドルアーガの塔やブラックオニキスの影響を受けて製作された内藤時浩氏のハイドライドがT&Eソフトから、ぱのらま島の木屋善夫氏の手によるドラゴンスレイヤーが日本ファルコムより発表されて、アクションRPGという新しい潮流が生まれた。翌85年には、続編のハイドライドⅡ、ドラゴンスレイヤーⅡであるザナドゥが発売され、PC誌のランキングで年間を通してベスト10圏内に入り続けるという現象がみられるようになり、PCの世界では一足先にRPGのブームが花開いていた。


 当時の8ビットPCでは、ファミコンより一足先に82~83年頃からゲーム市場と呼べるようなものが誕生していた。そのゲーム市場に続々と日本製RPGが登場してきた。こちらは、85年にローレゾ機種向けに開発されたクリスタルソフトのリザード。


 ウィザードリィ風のワイヤーフレームのダンジョンとウルティマⅢ風のタクティカルコンバットを導入した、同じ85年でクリスタルソフトのファンタジアン。


 ドラクエの元ネタになったとも言われる、同じく85年でクリスタルソフトの夢幻の心臓Ⅱ。これら以外にも、サイバーパンク調の世界観をもつザ・スクリーマー、ザ・ブラックオニキスの続編ファイアークリスタル、ドラゴンバスターとハイドライドの影響を受けたザインソフトのトリトーンなど、続々とRPGが作られていた。


 82年(日本での発売は84年)には、電源を使わない書籍の分野でも、ゲームブックという新しい潮流が生まれている。読者に選択肢を選ばせて自由に物語を組み立てられる、もともとあったゲームブックという形式の本に、TRPGのソロクエストをヒントにRPGの要素をとりれたファイティングファンタジーというシリーズが、イギリスで新たに誕生する。その第1作目となった火吹山の魔法使いは、世界的な大ヒットとなり、当時日本でも300万部を売り上げるという大ベストセラーになった。


 そしてついに86年にファミリーコンピュタでドラゴンクエストが発売される。最初は、ROMカセットという容量の問題からファミコンのユーザーである子供達にRPGという新しい遊びを受け入れてもらおうという提案から始まった。作者の堀井雄二氏は、PCで発表していたポートピア連続殺人事件、オホーツクに消ゆというAVGをファミコンに移植して好評を博しており、次はPCで流行っていたRPGを持ってこようということだったらしい。最初は、子供向けというイメージだったが、ROMカセットの容量が増えてフロッピーにも負けない大きなデータを扱えるようになったことから、徐々に高度化していき、独自の進化を遂げた日本製RPGの文化を生み出すこととなった。テレビや新聞に社会現象として取り上げられるようになり、RPGという遊びがゲームに関心のない一般にも広く知られることとなった。


 ドラクエが大ヒットしたことから、ファミコンでも爆発的なRPGのブームが訪れる。公式にはアドベンチャーゲームでRPGではない86年のゼルダの伝説も、アクションRPGとして認知され遊ばれていた。ナムコからは、同じく86年にアクションRPGのワルキューレの冒険が登場。スクエアのファイナルファンタジー、データイーストのヘラクレスの栄光、セガのファンシースター、アトラスの女神転生など、続々とRPGが製作されていった。


 海外では、モンスターが動き始め時間が経過するというリアルタイムのダンジョンが登場。FTL Gamesが87年に開発したダンジョンマスターはRPGのエポックメイキングな作品のひとつと言えるでしょう。89年には、初期のポリゴンをフィールドに採用して3Dのフィールドを自由に歩け回れるようになった、もうひとつの画期的な作品としてフランスのInfogrames社よりドラッケンも登場。この2作はスーパーファミコンに移植されたため、日本でも広く遊ばれていた。


 PCの方では、87年に難解さが売りであったRPGの世界に、謎解きメインではなく物語やシナリオを重視し、感動を持ちこんだイースという新しい流れが生まれる。また同87年には本体とシナリオ部分を分離して、追加シナリオという形で遊べるようにしたドラゴンスレイヤーシリーズの第5作目であるソーサリアンも日本ファルコムより登場している。この頃からメガドライブ、PC-エンジン、SFCとゲーム機の性能が、徐々にPCに追いついてきたことから、PCのゲーム市場は徐々に縮小を始め、ゲームの中心がコンシューマへと移ってゆく。


 これ以降は、シナリオや感動的な物語、ムービーシーンなどの見せる要素を重視した日本製RPGというひとつのジャンルを築くまでに発展していきます。


 ということで、駆け足でRPGの歴史を俯瞰してみました。このオールドゲーマーズヒストリー ロールプレイングゲーム創世記編は、1,000円程度の廉価な価格で入手できるライトなレトロゲーム本にしては、珍しく読み応えのある一冊と言えるように思います。



参考:Wiki ウルティマ、ウィザードリィ、ローグ、ダンジョン(コンピュータゲーム)、コロッサル・ケーブ・アドベンチャー、バーズテイル、マイト&マジック、ヘンク・ロジャースの項、顔面ソニーレイ+、ネット世代の雑評論 コンピューターRPGの歴史、個人的メモ、Nostalgia 迷路の色、古い男の部屋、ゲームレガシー、オールドゲーマーズヒストリー ロールプレイングゲーム創世記編/メディアパル

散財日記 in バンダイ LSIベースボール

2015-05-20 15:38:36 | 散財日記・雑記

 ということで、購入物が少したまって来ましたので久々の散財日記。今は、わりと休みが多く残業もほとんどないという環境にいますので、以前よりは余裕ができた。ただ、もっぱらネットでの買い物が多く、街中やリサイクルショップなどを散策する機会が減った。買い物の楽しみは、物だけではないのですがね。

バンダイ LSIベースボール・(中古/バンダイ) 1,500円

 バンダイのLSIを使用した電子ゲームの中でも、最初期の一品。同時に、そうとう売れたと思われ電子ゲームとしても有名なもののひとつだと思います。LEDのランプの点滅でボールやランナーなどを表示して、それまではカードや野球盤で遊んでいた室内用野球ゲームを全自動化した画期的な玩具。


 70年代の後期と思われます。この頃は、見るのでも遊ぶのでも野球がスポーツの王様だった。大人はナイターをビールと枝豆片手に見て、子供は地区の野球(ソフトボール)チームに入った。


 電子ゲームは、最初LEDの光の点滅をディスプレイに使用していた。そのうち蛍光表示菅を使用してより情報密度の濃い綺麗な画面のものが登場。任天堂がゲーム&ウォッチで液晶を使用すると、価格面、携帯面、(電池の持ちなど)経済面から、液晶が優位になった。


 野球ゲームは定番となり、エポック、トミー、学研、モリタニなど各社から発売された。


 未使用品ではありませんが、箱などは結構綺麗なもので説明書、保証書等すべてついていた。プレミアの付くゲームではないが、思い入れのある人が多いのか入札は結構多く、3,000円~5,000円程度には上がってしまう。まあ、掘り出し物の部類だと思います。ということで、もう少し詳しく調べてからネタとして紹介します。


バンダイ LSIサブマリン・(未使用品/バンダイ) 2,700円ほど

 こちらもバンダイの初期LEDゲームのひとつ。潜水艦を題材としたサブマリン、戦車を題材にしたコンバット、ゴルフを電子ゲーム化したゴルフコンペと3種発売されました。この後に、大ヒットとなったミサイルベーダー、チャンピオンレーサーと続きます。


 これは、潜水艦のゲームということで、ソナー音で見えない敵を探すという、電子ゲームとしてはかなりの変り種。駆逐艦が潜水艦に近づくとビーッ、ビーッ、ビーッとソナー音が鳴り始め、近くにいるとビッ、ビッ、ビッと音が変わる。それを頼りに潜水艦の位置を探り魚雷を投下する。電子ゲームとしては、知的というか大人びているというか。


 LSIベースボールは持っていませんでしたが、これは当時持っていた。コンバットとゴルフコンペと目を皿のようにして見比べて、どれが面白いだろうかと散々考えて買ってもらった。今の時点からだと、ゴルフコンペが一番人気があってプレミア付いていますので、それが正解だったのでしょうけど。5000番台の番号が振ってあるので、5000個は最低でも出たということか。ちなみにMADE IN JAPAN。


 これは、未使用品ということで少々高かった。定形外250円で送ってもらったので、トータルで約3,000円。基本的にプレミア価格のものは買わないようにしてる。電子ゲーム関係だとやはりコレクションのしやすいゲーム&ウォッチ、ゲームデジタルなどの液晶ものが高い。液晶ものは液漏れがあって壊れやすいので、もっぱら蛍光表示菅オンリー。これらはLEDゲームですが思い入れがあるので、まあまあ個人的には良いかなと。ということで、こちらも少し調べてからまたネタにします。


 記事にするときには、見栄えが良くなるよう画像を修正しているのですが、これらはその必要がないくらい綺麗。今となっては、遊ぶ用途より眺める用途の方が大きいので、箱が綺麗なものだと嬉しい。電子ゲームは、ROMカセットやフロッピー媒体とは違って形が個性的なものが多いので、価格が安ければ箱なしでもありかとは思います。


レリクスアンソロジー・(中古/ボーステック・プロジェクトEGG) 4,800円

 こちらはもうネタにしました。ボーステックより1986年に発売されたレリクスをエミュレータでウィンドウズ上で動くようにしたプロジェクトEGGのパッケージングソフト。PC-98版をはじめ暗黒要塞を含めた6種のレリクスが収録されています。発売当時は4,800円だったのですが、2003年のものなのでアマゾンでは10,000円を超える価格で売られている。


 オークションにもそれほど出てこなくて、安くても5,000円ほど。レリクスの当時もののパッケージが欲しくて探していたのだけれども、これも相当根強い人気があって3,000円~以上には上がってしまう。とりあえず、ちょっと高かったけど綺麗なものだったのでこの価格で入手した。


 プロジェクトEGGでは、スターアーサーシリーズ3部作やディーバ全機種版、夢幻戦士ヴァリス COMPLETEなど、時々パッケージソフトを販売しているが、どれも定価で大体10,000円くらいだったものが、販売中止になると値段が跳ね上がってしまう。これらのソフトは、プロジェクトEGGのダウンロード販売だと単体で500円~程度から入手できるのですが、やはりパッケージは大事なんですな。ザナドゥ復刻版やウィザードリィコレクションなんかも、えらい値段になってますし。


究極!!X68000エミュレータ/高木 啓多・(古本/秀和システム) 173円

 こちらは、レトロPCネット管理人の高木 啓多氏の手によるX68000のエミュレータ本。2001年の発行で、エミュレータ+レトロゲーム付きの書籍販売という形式としては最初のものになると思います。X68000の人気メーカーだったズームのソフトと、ボーステックのレリクスが収録されている。アマゾンだと今だと3,600円ほどの価格で売られていますが、これを購入した時には173円と350円位のものがあって、350円のものは評価は可だがCD-ROM付いていますというものだった。この173円のものは一番安かったけれど、評価は良で読む分には差し支えありませんと付属のCD-ROMについては触れられてなかった。CD-ROMがなくては、この種の本は価値が半減してしまうので350円のものを買おうと思っていたら、早速なくなっていた。みんな考えることは同じですな。まあ安いし、書籍だけでも良いかと思いつつ購入。


 届いてみるまではこの価格だしCD-ROM無しかも思っていたが、付いていました。しかも未開封で書籍もおそらく新品。ちょっと嬉しい。


 本としては、そうとうマニアックで専門的なものなので、X68000オーナーだった人とか、思い入れがあって欲しかった人向き。2000年前後は、このようなレトロゲーム+エミュレータ付属の書籍というのが結構あって、合法的にレトロゲームが入手できた。今は、ダウンロード販売が一般化したためか、ほとんどありませんね。レトロゲームCD付属の本は、まだまだ需要があって売れると思うのですが。


サマータイムマシンブルース・(中古/ポニーキャニオン) 355円

 こちらもアマゾンから。サマータイムマシンブルースとは、本広克行監督の2006年の映画。元はヨーロッパ企画という劇団の舞台が映画化されたものだそうです。ネット上でも星★★★★超と評価が高く、見てみたいと思っていましたが、送料込みでこの価格だったためようやく入手。アマゾンだと、中古DVDは350円別途送料がかかることが多い。映画版の脚本もヨーロッパ企画の上田誠氏が書いている。


 物語は、真夏の暑い日の大学のSF研が舞台。ある日突然現れたタイムマシンを使って、昨日に戻り壊れたクーラーのリモコンを取って来るというドタバタ喜劇の青春映画。ストーリーだけ聞いてもちっとも面白そうではありませんが、舞台版のDVDまで売られている人気ぶり。


 入手したは良いが、時間がなくてまだ見ていないので、視聴したらまたネタとして紹介します。