これは80年代の中頃~後半にかけて、JICC出版局(現宝島社)より発行されていたゲームブックで、アドベンチャーノベルスシリーズです。題材にウルティマ(1~4)やゾーク(1~3)・アステカ・ウィル・夢幻の心臓Ⅱ・ザ・スクリーマーなどのPCゲームもの、エイリアン2・ゴーストハンターズなど映画原作もの、手天童子・バカボンなどの漫画原作ものなどを使ったゲームブックのシリーズです。シリーズオリジナル作品と思わしきものも含めて、30巻ほど出ていたようです。
ファイティングファンタージーを初めとする海外製のゲームブックは、もともとTRPGのソロシナリオをヒントに開発された為か、RPG色が強い本格的なものでした。国産のゲームブックは、そのようなバックボーンを持たない為か、どちらかと言うとアドベンチャーゲーム色(冒険小説色)の方が強かったような気がします。ゲームブックのブームに便乗して次々と作品が出版されましたから、小説家志望の作家さんが駆りだされるような事が多かったのかもしれませんね。これもRPG的な側面よりも、物語を読ませるという部分が強いシリーズでした。
ウルティマはともかく、ゾーク・ウィル・アステカ(太陽の神殿)・カーマイン・夢幻の心臓Ⅱ・スクリマー・帝王の涙(アビス2)というラインナップは、一般の方にはピンとこないかもしれません。これらは、当時の8ビットPCなどで発売されてたRPGやAVGをGB化したものなのです。当時の8ビットPCは、今のようにネットがあるわけでも、(たいして)仕事に使えるわけでもありませんので、おのずからホビー用途(ゲームですね)が主でした。それでいて20万~ほどするわけですから、一般の人がそうおいそれと買えるようなものでもなかったんですね。ですからこれらのゲームは、ある意味憧れの遊び(ホビー)でもあったわけで、その世界を間接的にでも体験できるこのシリーズというのは、当時はそれなりに意味があったのです。
当時PC-88を持っている友達のところで遊ばせてもらっていましたから、そこそこ体験はしているのですが、やはり他人の家で長時間かかるRPGを解くわけにもいきません。ログインや山下章氏のチャレアベ等を見て、PCゲームの世界を少しでも体験したいという希望を、これらのもので補ったりしていたのですね。ちょっと今からでは想像もつきませんが、PCゲームというものが、それほど新しい遊びで輝いていた時期もあったのです。
このアドベンチャーノベルシリーズは、現在でも古本屋で新書(戦記物とかミステリーもの)の中に紛れて結構見つかります。(まずほとんど100円だと思います)。おやじ向きだからと、つい新書のコーナーはスルーしてしまいがちなのですが、注意して見てみると意外な拾い物があるかもしれません。