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レリクスアンソロジー RELICS Anthology・ボーステック/D4エンタープライズ/エレクトロニック・アーツ

2015-05-01 14:01:24 | RPGゲームReview

 レリクス RELICSは、1986年にボーステックより発売されたPCゲーム。レリクスアンソロジー RELICS Anthologyは、プロジェクトEGG内でダウンロード販売されていた各機種版のレリクスを、Windows版としてひとつにまとめてパッケージングして2003年に発売したもの。


 オリジナル版レリクスは、1986年にPC-98用のゲームとして発売され、PC-88版、FM7版、X1版、MSX版、MSX2版、MZ-2500版、X68000版と当時の主要な機種を網羅する形で移植された。翌87年にはファミリーコンピュータディスクシステム用として、レリクス暗黒要塞が発売された。自分が誰だか記憶すらも定かでない影のような精神体となって、海上に浮かび上がった遺跡を舞台に、謎を解き明かすというアクション型のアドベンチャーだった。PC版では、詳しい設定などはほとんど明らかにされておらず、光と闇が交錯するぼんやりとした背景と、操作方法を書いたマニュアルのみが付属していた。プレイヤーは影となって、遺跡内にうごめく住人に乗り移り、相手を倒すことでより強い身体を手に入れることができる。経験値の代わりに新たな体を入手することで強くなれるということで、当時はRPGに分類されることもあった。この時期の作品としては、まだ珍しかったOPとEDが用意され、クリスタルキングが音楽を担当した。


 倒した相手の体に乗り移ることで強くなるという当時としては斬新な設定や、体の各パーツを別々に作って大きなキャラクターを滑らかに動かすという技術が使われており、PC雑誌に広告が打たれてから発売までに2年ほどかかったということで、いやがおうにも期待が盛り上がった。またSAVE機能が付いておらず、最初は何をすればよいのかというヒントらしいヒントもなかったため手探りでゲームを進めていく必要があった。それでも、エイリアンのH・R・ギーガーに影響を受けたグラフィックや徹底的に作りこまれた世界観、発泡スチロール製のパッケージがエイリアンが掘り込まれたレリーフになっていたりと、いろんな意味で話題になり、多くの人の記憶に残った作品だった。


 このレリクスアンソロジー RELICS Anthologyには、X68000版を除くPC-98版、PC-88版、FM7版、X1版、MSX版、MSX2版、ファミリーコンピュータ版レリクス暗黒要塞が収められている。ちなみに、後にプロジェクトEGGの通販特典用の非売品として、X68000版も収録したレリクスアンソロジーLiteが出ている。


 最初に発売されたPC-98版がオリジナルで、スクロールから画面切り替えになり空が夕焼けになったPC-88版、FM7版、X1版、スプライトによりキャラクターを表現し解像度を落とすことで移植されたたMSX版、オープニングがカットされたもののROMカセットのため高速に動きスクロールも実現していたMSX2版、PC-98版用のグラフィックを流用したX68000版など、各機種ごとの違いや特性が分かって楽しい。ほとんど内容は同じだが、各機種ごとに微妙にな違いがある。当時オーナーだった機種、あこがれて欲しかった機種などに、思いを寄せて遊ぶのが、これの正しい楽しみ方だと思う。


 PC-98版では、最初に出てくるウサギ(セム Semb)に乗り移ると、アイテムが持てなかったり、相手に倒されるとそこで終わってしまうこともあり、ある種のトラップだった。MSX版では、セムのまま地下水路を抜けてドラゴンを通り抜けKINGへと憑依して、そこからまた寺院内に戻ったりできる。


 X-BOXで開発中だった、ポリゴンでリメイクされたレリクスも特典映像として収録されている。残念ながら発売はされなかった。


 開封時。オリジナルのレリクスも、エイリアンの彫られた発泡スチロール製のレリーフになっていたりと凝っていましたが、アンソロジー版も趣があります。


 CD-ROM。プロジェクトEGGのNO.0001となっており、最初のパッケージソフトだった。その後も、スターアーサー三部作やDIVA全機種版、夢幻戦士 ヴァリス コンプリート、ソーサリアンコンプリート、ドラゴンスレイヤークロニクルなど、マニアな企画が続いている。これらのパッケージ商品は、販売が終了してしまうとすぐにプレミア化してしまう。レリクスは、プレミア付いていない方だが、それでもアマゾンだと一万円ほどする。ちなみに発売時の定価は4,800円。


 このイラストは、最初に出てくるMARX軍の兵士なんでしょうか。


 このソフトの特典。MARX兵士のフィギュア付き。この2000年頃は、海洋堂などのブームの影響か食玩なども大人気で、フィギュアの特典付きというのが多かった。レリクスのソフト自体は、昔はボーステックのサイトで無料で配布されていたり、プロジェクトEGGでも会員サービスで無償提供されたりしているので、このフィギュアがメインなのかも。フィギュアの造形は、2003年の時点の新解釈で作られたかと思いきや、映像特典として当時の広告が付いていて、当時の広告に使われていたものを再現しているみたい。極一部の人しか喜ばないだろうフィギュアですが、これが付いてないと中古価格的にはあまり付かないはず。酸素ボンベみたいなランドセルみたいなものを背負っている。


 PDFで当時の広告やマニュアルなどいくつか特典が付いているのですが、レリクス暗黒要塞に付いていたカラーのモンスターマニュアルも特典として復刻されている。これもよいのだけれど、PC版のマニュアルも三つ折の紙一枚だけのシンプルなものなのだから、実際のものを特典としてつけて欲しかった。背景などの説明もほとんどないという、すごく抽象的だけど、気分を盛り上げてくれるよいマニュアルだった。


 レリクス暗黒要塞に思い出(思い入れ)がある層には、あのローディング地獄のない快適な仕様になっている。レリクス暗黒要塞の記事は、こちら


 レリクスアンソロジー本体の方は、各機種まとめて起動したりできる。個人的な思い出としては、当時雑誌広告で期待して、友達の家のPC-98版で遊び、発売されたばかりのMSXのTAPE版で遊びました。90年代に入った頃には、学校近くのリサイクル店で中古のMSX2とMSX2版のレリクスを手に入れて再び遊んだ。ネット上には思い出として、暗黒要塞のロードが頻繁だったことが話題になっているが、MSXのTAPE版ではロードが始まるとカセットテープで5~10分ほど読み込みを始める仕様だった。おまけに専用モニターなどないMSXで、個人ごとのテレビも一般的でない時代だったので、これを茶の間で無理やり遊んだ。親父が飯を食いながら、その様子を眺めていたりと、なんとも牧歌的な時代でした。また、クリスタルキングの幻想的な主題曲も世界観を深めるのに大きな役割を果たしていた。この主題曲Womanとエンディング曲Smile Againに歌詞が付いていると知ったのは、ネット時代になってから。個人的には、大都会、愛をとりもどせ!!と並ぶクリスタルキングの代表曲だと思う。


 1999年には、Win版としてRELICS -The recur of "ORIGIN"がリメイクされ、2001年に正式な続編RELICS -The 2nd BIRTHが作られた。2005年には実質的な続編と言えるRINNEが、日本ファルコムの開発、ソフトバンクBBの販売で発売されたが、ボーステック社は残念ながら倒産していた。ここを書くために調べてみるまで、ボーステックがなくなっていることすら知らなかった。ちなみにRELICS -The recur of "ORIGIN"は、続編ではなくオリジナルのレリクスを拡張したような内容だった。オリジナルでは、大帝HELLはエンディングのエピローグにしか登場しないが、こちらではHELLもHEAVENも遺跡内に登場している。でも、世界観や雰囲気は悪くない。


 プロジェクトEGGも元々は、ボーステックのSoft-City内のコンテンツとして始まった。2003年発行の公式ガイドブックでは、ボーステックの社長や現在の運営会社であるD4エンタープライズの代表などの座談会が収録されている。このWin版RELICS -The recur of "ORIGIN"の発売時期やプロジェクトEGGの立ち上げの前後には、ボーステックのサイトでPC-98版のレリクスが無償配布されていた。外部のサイトでWindowsに対応した全機種版が配布されていたり、2000年前後には、雑誌の付録や書籍にもレリクスが収録されていた。レリクスは、ある意味ボーステックやプロジェクトEGG、レトロゲーム復刻の象徴なのだと思います。この頃には、それらの動きに影響されてか、雑誌やムックなどでもMSXマガジン復刻版や蘇るPC-88伝説など、レトロゲームにエミュレータをセットした復刻企画が多かった。昔の作品をエミュレータにより再現したウルティマコレクション、ウィザードリィコレクションなどもこの時期です。このような流れが、Wiiのバーチャルコンソールなどに結びついていったのでしょう。2003年頃には、レリクスなんて懐かしい~と思って復刻されたこれらの作品群を見ていましたが、もうすでに12年も前ですし、今となってはこの時期すら懐かしいように思います。ボーステック社はなくなってしまいましたが、またいつかこのような記憶に残るムーブメントを起こして欲しいと願います。


 レリクスに現れた影、精神体とは、プレイヤーの意識なんですね。確かにあの頃には、あの遺跡内を探索していたことを懐かしく思います。


 ということで、80年代と2000年代と、二重の意味で懐かしいレリクスアンソロジー RELICS Anthologyでした。



参考:Wiki レリクス、ボーステック、RINNEの項、プロジェクトEGG - アミューズメントセンター、プロジェクトEGG公式ガイドブック、楽しいMSXエミュレータ&ゲームス


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