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これは、電子ゲームブーム期の中期から後期(82~83年)頃にGakken(学習研究社)より発売されたLSI GAME ペイントローラー PAINT ROLLER。
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元ネタは、81年にアルファ電子が開発し、クラールより発売されたクラッシュローラー CRUSH ROLLERで、パックマン型のドットイートタイプのゲームになります。自機は刷毛で、モンスターを避けながら迷路を塗っていくという内容。通路上には、2箇所ローラーが設置してあり、これを押している間は無敵となりモンスターに反撃が出来ます。パックマンのパワー餌と異なり、ローラーは何度でも使用可能ですが、移動範囲が限られています。ブームに追従したドットイート型の中では、秀逸な出来でしたが、クラールという聞きなれない会社という事からか、あまり知名度が上がらないまま終わってしまいました。
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そんな、知る人ぞ知るちょっとマイナーな作品を電子ゲームに移植したものがこれ。塗りつぶすという電子ゲームには難しい題材に、果敢に挑戦してます。版権はとってあるのか、ないのか、学研版はペイントローラー PAINT ROLLERというタイトル。ペイントローラーって単なる一般名詞ですよね。
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取り説。学研らしい、真面目な感じのもの。
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ゲーム機本体は、このような感じ。この頃開発された、反対側が透けて見える透過性の蛍光表示管を使用していて、対面で遊べます。周りのスクリーンもブロックパターンのイラストが入り、無駄にお洒落。
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1P側では、刷毛を操作して通路を塗りつぶしていきます。電源スイッチやセレクトボタン、スタートボタンが並びます。2P側ではモンスターを操作して、刷毛を追いかけます。こちらは四方向レバーのみと、シンプル。対戦がゲームとして成立しているかは別として、アイデアとしては結構楽しそう。イメージイラストがシールで筐体に貼り付けてある。猫が塗りつぶされているのは、おじゃま猫として、プレイヤーが塗った通路を剥がしていくから。オリジナルのアーケード版では、せっかく塗った後に足跡を付けていく設定でした。オリジナルでは、ラウンドが進むごとにねずみや鳥、タイヤ、足跡などが登場していましたが、電子ゲーム版では表示の都合上か猫のみ。
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ゲーム画面。かなりわかりにくいと思いますが、人の文字に見えるものが刷毛(自機)。人に目玉とひらひらが付いたものがモンスター、目と鼻のみのものが猫。外枠の赤いところが塗リ終えた跡。限られた表示能力の中で、かなり頑張って再現しています。
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実際のゲーム画面はこのようなイメージ。同社の初期の名作、平安京エイリアンをほうふつとさせるレイアウト。上のブロック内には点数表示、下のブロック内はモンスターと猫の棲家。この透過性の蛍光表示菅ディスプレイは、NECが開発したものなので、NECの文字が見えます。
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ゲーム開始時。ここから通路を塗りつぶして行きます。全て塗りつぶすとクリア。中央に2つ見えるのが、反撃用のローラー。オリジナルと同じように、中央は立体交差、上下左右はワープトンネルになっている。
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透過性の蛍光表示管のため、2P側は点数表示が反転しています。
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おじゃま猫は、塗ったペンキの上に足跡を付けていく(電子ゲーム版では塗った後を剥がしていく)ため、出現と同時にローラーで塗りつぶします。パワーえさに該当するものはないため、中央のローラーがあるところ以外では、モンスターからは逃げるよりない。
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わかりにくくて、取っ付きにくいレイアウトですが、ゲーム自体はかなり良く出来ています。ゲーム展開もスムーズですし、確かに刷毛で通路を塗っていて、クラッシュローラーだなとわかります。電子ゲームブームの中~後期にかけての作品らしく、この再限度は特筆もの。ゲームも結構遊べる。ただ悲しいかなオリジナルの知名度が今ひとつ。現在でも、それほど人気がなく苦労が報われていません。キャラクター性もいまひとつ弱いし。学研に限らないのですが、電子ゲームにはフィッターとかアミダーとか、原作自体に人気、知名度ともにないのに、なぜか謎移植をされている例が多々ある。バンダイだとザックマン(THE PITの移植)とか。
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ディグダグの項でも書きましたが、学研の電子ゲームは筐体の出来がすばらしい。
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子供のものなのにくどい飾りがなく、シンプルでポップなデザイン。現在でもこのようなお洒落なゲーム機はないのでは。ゲームだけでなく、筐体のデザインをも楽しめるのが、電子ゲームの特徴。
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個人的な思い出としては、学研版は当時知りませんでした。オリジナルのクラッシュローラーは駄菓子屋で遊んでおり、あの派手な音楽とパターンにはめようと、同じ動作を何度も繰り返す人が多かったのを覚えています。街まで行くと不良がいたりするので、友達宅の近所の駄菓子屋で、ビンケースの椅子に、ダンボールの屋根、そして20円のベビーコーラ。自分にとっては、クラッシュローラー=ベビーコーラのイメージが分離しがたく結びついています。そういった意味では、クラッシュローラーの移植であるこれは、懐かしく愛おしい感じがします。
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ということで、よく見かけて出来は良いのだけど、いまひとつ人気がない、LSI GAME ペイントローラー PAINT ROLLERでした。
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参考:Wiki クラッシュローラーの項、帰ってきた電子ゲーム
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