蛇口屋

リフォーム業界のあれこれ

磨きすぎは対象物を浪費させる・・・

2006-02-05 21:25:30 | Weblog
室内の設備器具の撤去に伴って、ガチャガチャやっている蛇口屋の背後に、殺気を感じるときがあります。

まあ、殺気は大げさですね。

なんて言うか、必殺の意志とでも言うのでしょうか、ぞうきんとバケツ、時には掃除機なんかを持って、まるでスタートラインの前でクラウチングスタートの体制をしてスタートを待つ陸上選手の様相で、そのお宅の奥さんが、今か今かとその瞬間の到来を待っているのです。

その瞬間とは、まさに、器具がどけられる瞬間です。

例えばボイラーとか、洗面化粧台とか、キッチンとか、室内の片隅で、家の掃除でどかすこともできずに、ずっと、何年も、時には何十年も居座り続けた機具類たち。

重いとか、かさばっている、なんて言う問題ではなくて、
給水や排水の関係上、技術者の介在なしでは施工後二度と外す事は出来ません。
普通、着けたら動かしません。
設備の器具ってそういう物です。

理屈じゃあわかっているんです。

わかっているんですけど、掃除がしたいんです。

結構いるんですよ、こういう奥さん。

いつだって、ギリギリまで、僅かなその隙間だって古い歯ブラシで磨ているのに、その歯ブラシさえ入らない入らないところが恨めしかったりするのです。

だから目には見えない器具によってふさがれている場所は、綺麗好き、掃除好きの奥さんにとってはまさに暗黒地帯、デットゾーンそのものです。

「ああ、あの裏、一体どうなっているのかしら・・・?」と言う不安に毎日駆られていたと言っても過言ではありません。

なんといっても、蛇口屋がこれらの器具を外すというのは十ン年に一度の事で、オリンピックより彼女たちにとって重要な日なのかもしれません。

ああ、蛇口屋の背中も、奥さんたちの熱い視線で焦げ付きそうです。

パッと器具を外して、振り向いて蛇口屋は言います。

「どうぞ、私は別の作業をしていますから」

「ええ? いいの? 邪魔とかじゃない? 本当にいいの?」

そういいながら奥さん、マイペット残量を気にしています。半分は入っているようですが、足りないんですかね?

でもね、本当におかしな所に落とし穴が合ったりするんですよ。

器具を外した所の壁や、床の方が綺麗だったりするんです。

掃除好きがたたって、洗剤等で、床自体が退色していたりして、新品同様はむしろ器具をどかした方だったりするんです。

その事実の前に、しばし愕然とする、掃除好きの奥さん。
たまに、悲鳴にも近い声が聞こえたりします。

で、大抵の奥さんはこう言うんですよ。

「ねえ、今日中に、先に床(もしくは壁)を張り替えてからこの器具をつけるって出来ないかしら?」

真剣な顔して蛇口屋に無茶をいいます。

そういう話なら、また後日にしますよ。
って言うと、「やっぱりやって、いいわ」なんて吹っ切っていいます。
ほんと、いい加減にしてください。




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