"Warning: Graphic Images"
「 警告: 刺激的なシーンを含みます」
このタイトルにひかれてこの記事を開けた方は多少失望があったかもしれない。ここには映像も画像もいっさいない。"graphic" という言葉の話だけである。
"graphic" :形容詞
第1義として、「グラフィックな、視覚的な、写実的な、絵の、グラフの、図表の」、というニュートラルな意味である。グラフィックデザイナー、コンピューターグラフィックス などがいい例である。
第2義として、「活き活きとした、目に見えるような」という意味に使われる。これは比ゆ的用法なので、視覚的なものにはむしろ言われず、もっぱら言語表現について言われる。「群衆による活き活きとした(graphic)報告」などである。
しかし、近頃では、上記の2つとは別の意味で、「刺激的な」「残虐な」「残酷な」というマイナスの意味で使われるのを目にするようになってきた。一部の映画やYouTubeの映像の本編前の警告などで時おり目にする表現である。
この意味でメディアで大きな事件に関して使用された例として、オバマ大統領の声明がある。ビン・ラディンの死体写真を公表しないという決定についてのものである。
"... photos are too graphic ..."
「(死体の)写真は刺激的すぎる…」
写真について”写実的”かどうかを言うのは意味がないであろうし、”活き活きとした”、”目で見るような”という意味は、文章について言うものである。となると、ビン・ラディンの死体写真についての "too graphic" の意味はやはり「刺激的すぎる、残虐すぎる」という意味にとるほかないだろう。
しかし、この意味は、Oxford やWebster の辞書にもまだ掲載されていない。おそらく、あと1、2年のうちに載ると思われる。
他の用例を以下にいくつか挙げてみる。
"WARNING :This gallery may contains graphic images that some viewers may find disturbing."
「警告: この映像には、一部の視聴者が不快に感じるおそれのある刺激的な部分を含む可能性があります」
"Warning: This film depicts scenes of graphic violence and may upset sensitive viewers."
「警告: このフイルムには、刺激的な暴力シーンがあり、感受性の強い方には不快である可能性があります」
"WARNING! Graphic Images and Descriptions"
「警告!: 刺激的なシーンと描写を含みます。」
"Warning: This video contains graphic content. Viewer discretion is advised."
「警告: このビデオには、刺激的な内容を含みます。視聴者の側でのご注意をお願いします」
"Man electrocuted live, dies - Warning Graphic"
「感電して死亡する男性 - 警告:刺激的」
"GRAPHIC...Trainer Dies After Being Attacked By Grizzly Bear, Caught On Tape!!!
「刺激的... 調教師がグリズリーベアーに襲われた後に死亡。記録映像!!」
"WARNING GRAPHIC: Public Execution Of 3 Young Insurgents In Iran Caught On Tape...."
「警告/刺激的: イランにおける3人の反政府活動家の公開処刑の記録映像」
"WARNING VERY GRAPHIC" Man Commits SUICIDE, Jumps From Apartment Building!!
「”警告: 非常に刺激的”自殺を図る男性、アパートからの飛び降り」
(上記の例は、すべて"graphic" の用例を集めるためにグーグルでこの語を検索にかけてから拾ってきたものである )