Snapeの英語指南

英語長文対策、英語速読法、英語学習法、高校生、中学生、社会人の英語学習に役立つヒントを紹介。

F e b r u a r y の発音は?

2010-01-30 20:44:43 | 英語の発音上達法

1年12ヶ月あるうちで、いちばん発音で問題となるのは、この F e b r u a r y (2月)である。これはネイティブスピーカーでもいろいろ意見が分かれる月の名である。このブログでは、発音記号が表示できないので、このテーマはやめようかと思ったのだが、あえてカタカナ表記で語らせていただく。

まず1つ前の J a n u a r y  であるが、これは全く問題なく、ほとんど誰でも正しく発音しているだろう。あえて(以下この前フリは略す)カタカナで表記すれば、以下の通りである。

   J a n u a r y     →        ジャニュ

それでは、F e b r u a r y  はどうなるか。

   F e b r u a r y    →     1) フビュ リ    

                                                  2) フリ 

ご覧のように、実は2通り存在するのである。 さて、発音で2通り存在すると、 

a)  どちらが古いか

b)  どちらが多いか

c)  どちらが正しいか

が問題となる。

F e b r u a r y  のスペルに、より忠実な発音は、2)の フェブリュ ェリ であり、歴史的にも、2)の発音のほうが古いと言える。そして実際にその通り発音している人も存在する。

しかし、である。今日英語圏で最も多く発音されているのは、1)の フェビュ ェリ である。要するに、1)の フェブリュ ェリ が英語国民にとっても発音しにくかったからである。 理由はおそらくこのあとに続く小さな母音の a (ェ)のすぐあとに再び  r y (リ) というr 音が現れるからである。 b r u  という音節はアクセントのある強く発音する音節の直後であるために弱音化するが、さらに、その後にr 音が続くという非常にまれな音素配列であったために、弱音化が進む。しかも母音の谷間に位置しているためにその弱音化がさらに進む。そのために最後にはすっかり消失してしまう。

ラテン語起源の造語である F e b r u a r y には、アクセントのない r 音がほぼ連続しているという点でもともと英語の発音として無理があったのかもしれない。 r 音が続いている他の例として、 r u r a l  があるが、最初の r を含む音節にアクセントがあるので、消失は起きない。けっきょく b r u  の中の r  は、 アクセントのある強い"F e"  と、次のr音を含む "a r y"  のはざまで圧縮の憂き目にあい、人々の舌で転がされるうちに摩耗して消える運命にあったのである。

ただし、歴史的に省略への道筋をたどったわけであって、それが決して発音不可能というわけではないので、 フェブリュ ェリ と器用に発音しているひとは英語国民にもちゃんと存在する。存在するどころか、そのひと達はそういうものだと思って発音しているのである。彼らに言わせれば、「だって、スペルがそうなっているじゃないか!」ということである。ただ、英語ほどスペル通りに発音しないことで有名な言語もないのだ。   move  love   cove  の母音はどうだろう。また逆に to  too  two  や site  sight  cite といった、異なるスペルの単語が同じ発音というのも英語ではごく普通のことだ。スペル通りに発音するのが正しいとあくまでも主張する方には through もお願いしたい。 psychology や comb もぜひお願いしたい。

さて、先ほどの3つの問いにあらためて回答しておこう。

a)  どちらが古いか   →  2) フリ 

b)  どちらが多いか  →     1) フビュ リ  

c)  どちらが正しいか →  1)、2) の両方とも正しい。

日本人の不得意な r 音 の1つ多い2)の リ に執着するよりも、日本人には(比較的)楽な 1)の  フビュ リ にしておくほうが、少なくとも日本人には無難であろう。英語のネイティブスピーカーでも発音しづらいから ビュ リ のほうが多くなってきたのである。

 <追補>

ちなみに、2通りの発音がある場合、片一方はもう一方が発音しづらいために出てきた簡易バージョンという場合がよくある。 

c l o t h e s  (服) という語もそうである。発音は以下のように、2通りある。

   c l o t h e s  →  1) クロウズ  (簡易バージョン)  

                    2) クロウズ 

                                            [th] 

1)は2)のあとから出てきた簡易バージョンで、この発音はなんと、 th の発音をそっくりそのまま落とした発音である。まるで th の発音の苦手な日本人のために用意してくれたような発音であるが、これは、れっきとした英語の発音である。辞書で確かめてみたまえ。”クロウズ”ということは、結果的には 動詞の c l o s e  と同じ発音になっている。

しかし、この場合でも、この簡易バージョンの存在を知らずに、スペル通りの 日本人の不得意な th の入ったほうで文字通り舌を噛みそうになって発音している日本人は多い。中高生だけではない。大学生や大人でもけっこういる。知らない人は永遠に苦労しているという例である。


タダで英語の小説を読む!

2010-01-24 08:55:38 | 英語ペーパーバックの読み方

このブログでは、英語の勉強に役立つようなもの、(書籍、テキスト、音声等)の紹介もしてきているが、原則として、高価なものは対象にしていない。できればタダ、そうでなくても、なるべく低価格のものを紹介したいと思っている。特に私がタダというとき、それはだいたいインターネット上で手に入れられるということである。

英語の小説といっても、どんなものでもというわけではない。新刊書や現存する作家の著作権が切れていないものは対象外である。つまり、著作権がすでに消滅した作品のことである。英語ではそうした状態の著作を、public domain(パブリックドメイン)に属しているという。 パブリックドメインとは、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権を行使しうる者が存在しない状態のことをいう。日本語訳として公有という語が使われることがある。

こうしたパブリックドメインの著作を無料で公開しているサイトが現在いろいろある。日本のサイトでは、「青空文庫」というサイトが最も大きいだろう。そこへ行くと日本の著作権切れの小説などがいくらでもダウンロードできる。夏目漱石、樋口一葉、太宰治等々がまったく無料で読める。本屋にも図書館にも行く必要がない。それと同じように海外のパブリックドメインの著作にフリーアクセスできるところで最も定評があるのは、やはり「グーテンベルク・プロジェクト」ではないかと思う。

http://www.gutenberg.org/wiki/Main_Page

プロジェクト・グーテンベルクProject Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。印刷の父、ヨハネス・グーテンベルクの名を冠し、人類に対する貢献を目指している。

たとえば、英語で、Shakespeare シェイクスピア)と入力すると、彼のほぼ全著作のリストが出てくる。それも原典の英語版だけではなく、ドイツ語訳、フランス語訳、イタリア語訳、フィンランド語訳なども出てくる。あいにく活字の問題があるせいか、日本語訳はない。

もちろん、著作名で検索もできる。

英語で、Alice's Adventure in Wonderland 「不思議の国のアリス」 と入れると、英語版以外には、ドイツ語版、イタリア語版、エスペラント語版が出てくる。また、朗読してくれている英語の音声ファイルもある。オーディオブックを買う必要がない。テキストも音声も無料でアクセス、ダウンロードできるのである。

私のお気に入りのフランツ・カフカの著作を探してみよう。彼の作品はドイツ語であるが、これも英語版があり、英語の音声ファイルもある。

Edgar Allan Poe エドガー・アラン・ポーの著作もかなりある。フラン語版、スペイン語版もある。

もっとさかのぼって、ゲーテ、カント、アダム・スミス、アリストテレス、デカルト、パスカル、プラトンといった、西洋の古典といったものはかなり充実している。ただ、すべてがあるというわけではない。現在もたくさんの著作が電子化されて追加されている。

このグーテンベルク・プロジェクトは、20068月時点の公表では、プロジェクト・グーテンベルクが収集したテキストは19000点を越え、週に平均50以上の新しい電子書籍が追加されている。おそらく現時点ではすでに2万点を超えているだろう。

これらは、ほとんど西洋文化圏の文学作品である。小説や詩、戯曲といった文学作品だけでなく、マニュアルや参考書、雑誌の類も収集の対象である。少量ではあるが、音声ファイルや楽譜といった非文書ファイルも所蔵されている。

大部分は英語のテキストだが、他の言語のテキストも非常に多い。英語以外で特に多いのは(順に)フランス語、ドイツ語、フィンランド語、オランダ語、スペイン語のテキストである。

西洋古典好きのひとは、まったくお金をかけずに一生楽しめるわけである。

私は日本の古典も好きなので、同様のサイトを探しているが、日本にはなかなかないようだ。上述の「青空文庫」は、残念ながら古典のほうはあまり充実していない。「今鏡」を読みたいと思ってさがしても、原典も現代語訳もなかなか見つからない。文部科学省はせめてパブリックドメインに優に入る日本の古典のすべてをフリーアクセスできるようなサイトを作るべきではないか。 それらにすべて現代語訳をつけ、さらに英訳をつけて公開すれば、海外に向けての日本の文化紹介に大いに貢献できると思うのだが、どうだろうか。