Snapeの英語指南

英語長文対策、英語速読法、英語学習法、高校生、中学生、社会人の英語学習に役立つヒントを紹介。

日本語に惑わされるな!

2010-07-02 09:01:01 | 試験対策
以下のA と B のような問題を目にした場合、どちらのほうが解答しやすいと思うか。(  )内の語群は同一である。日本語が与えられているか、いないかの違いである。


A) (  )内の語群を正しく並べて意味の通る文を作りなさい。

( famous aunt painter known a my is as )



B) 日本文の意味になるように(  )内の語群を正しく並べなさい。

 叔母は画家として有名です。

( famous aunt painter known a my is as )


ふつうこうした問題では、日本文が与えられているほうが、日本文の無いものよりも易しいと思われている。解答者は、すでに結果が与えられていてそれを参考にして単語を並べていけばいいのである。トンネルの出口が見えていると言える。一方、日本語が無い場合は、解答者は頭の中で、完成した場合の意味を手探りで模索しながら単語を並べていくことになる。つまり、トンネルの出口が見えていない状態で解き進むことになる。どう考えても日本語があるほうが有利に思える。

しかし、である。私が生徒を使って実験をしたところ、 日本文の無いAのほうが、正答率が高く、日本文のあるBは正答率が低いのだ。正答の場合でも、より時間がかかっている。それはおそらくこういうことである。上記のような問題の場合、与えられる日本語は直訳であることは少なく、意訳であることが多い。そして、その意訳の日本語をめざして英文を作ろうとするためにかえって混乱し、正解にたどりつけなくなってしまうのである。

実は、出題者は日本語を与えることによってむしろ問題を難しくしていることが多い。混乱させるためにわざと意訳の日本語を見せているのである。そのことを知らずに、解答者の生徒たちは、日本語があるほうが安心で簡単だと思っているのである。日本語があると、生徒はそれにすがれると思うのだが、それにすがればすがるほど正解から遠ざかるようになっていることがある。


B)では、「画家として有名」という日本語に惑わされ、 famuos as a painter のフレーズを自信満々で作ってしまうために行き詰ってしまう。


A、B の正解は同一で、以下のとおりである。

<解答>  My aunt is known as a famous painter.




次に、以下の例を見てもらいたい。


A) (  )内の語群を正しく並べて意味の通る文を作りなさい。

( be tomorrow weather to what's going the like ) ?



B) 日本文の意味になるように(  )内の語群を正しく並べなさい。

 明日の天気はどうなりそうですか。

( be tomorrow weather to what's going the like ) ?



B)では、「明日の天気」という日本語のフレーズに縛られてしまうことになる。

<解答>  What's the weather going to be tomorrow?


さらに並べ替えではなく、穴埋め問題であるが、次のような極端な出題例もある。


●日本文の意味になるように空欄に適切な語を1語ずつ記入しなさい。


   人間の価値はそのひとの財産にあるのではなく人柄にある。

   A man's worth lies not in _________ he__________ but in __________ he __________ .


この問題で与えられている日本文の中の「財産」、「人柄」という語で惑わされてしまうが、実はこれは、それぞれ「そのひとが持っているもの」「そのひとがそうであるところのもの」というふうに置き換えることによって正答に近づくことができる。完成文は以下の通りである。
A man's worth lies not in what he has but in what he is .



結論として、以下のように言える。

日本語が与えられている場合、わざわざ見ないようにする必要はない。見てもいいが、それは大意をつかむくらいにして、それを逐語訳しないように警戒する必要がある。特に語順は日本語とはまったく違うことが多い。

日本語(J)や英語(E)やフランス語(F)や中国語(C)といった言語で表わされる以前の”事柄”(X)が言語下にまず存在する。それが英語(E)で表されたり、日本語(J)で表わされたりしているのである。であるから、日本語が与えられている場合、その表面の "J"を通して、その下にある "X" をつかみ取る必要がある。そして、その "X" から"E" を作り出さなければいけない。決して"J"から直接に"E" を引き出そうとしてはいけない。図解すれば以下のようになる。

誤ったアプローチ:  J  →  E


正しいアプローチ:  J     E
              ↘   ↗
                X