並べ替え問題は、語順問題、整序問題 などとも言うが、要するに1つの文の全体なり部分の語群をバラバラにしたものを、正しい順序に再現させる問題である。この種類の問題には、解き方のコツというものがあるのだが、それを知らずにいて、いつも間違えたり、不必要な時間をかける生徒がいるのをさんざん目にしてきた。そこで、”攻略法”として、より短時間で、グンと正答率をアップさせる方法を伝授しようと思う。
例として、以下の問題をやってみよう。
<問題1> 日本文の意味になるように、以下の語群を正しく並べ替えよ。
昨日ステージでピアノを弾いていた少女を知っていますか。
[ stage know yesterday was you piano on the playing girl do the who the ] ?
こういう問題に取り組む際に、もっとも初歩的で、かつ、いちばんよく見かける致命的なアプローチは以下のようなものである。
[ stage know yesterday was you piano on the playing girl do the who the ] ?
昨日 ステージで ピアノを 弾いていた 少女 を知っていますか。
→ yesterday stage the piano playing girl know ......
このように並べていく生徒が半数以上である。この並べ方は、当人は無意識であるが、ある原理に基づいている。つまり、与えられた日本文の単語列に対応させて英語の単語を拾って並べているだけである。日本文のとおりに単語をならべていけば、何となく英文が完成すると思っているのであろう。これを「単語対応法」という名前で呼ぼう。この方法は、めったに成功することがない。この方法で始める生徒のうち、さすがに途中で「何かおかしいぞ」と思って、最後までこの方法で通せなくなる生徒が約半数である。
この「単語対応法」で解き始めるのは、単に何かしなくてはいけないと思ってシャーペンを動かそうとすると、この方法になってしまうというだけのことである。何かしなくては、と焦りながらも、途中で放棄せざるを得ない方法で始める結果、かえって余計な時間を費やし、遠回りしているのである。
ここまでのまとめ:攻略法1 ●日本文の語順にとらわれるな!
以上、もっとも初心者が陥りやすい誤った自滅的、非建設的なアプローチを指摘した。次に、建設的で、効率的なアプローチを紹介する。
昨日ステージでピアノを弾いていた少女を知っていますか。
[ stage know yesterday was you piano on the playing girl do the who the ] ?
まず、どの単語から始まるか、どの単語が最初にくるかは考えないことである。これは重要なことなのであるが、わかっていない者があまりに多い。たとえひらめいても、それですぐに書き始めてはいけない。
なぜ、いけないのか。その理由は、最初にくる単語1つを誤ってしまうと、そのあといくら時間をかけて作ってもすべてムダになってしまうからである。しかも、解答者が最初に”ひらめく”ような単語は、問題作成者が仕込んだ、引っかけ、ワナである場合が多いのである。そして、これが最も多い失敗である。上述した「単語対応法」で解こうとする者が陥るように仕組まれたワナなのだ。私自身がそういう問題をさんざん作ってきた。
ここまでのまとめ:攻略法2 ●どの単語が最初にくるかは考えるな!
それではどうしたらいいのか。最初にどの単語がくるか考えていけなかったら、手も足も出ないじゃないか!という抗議の声が聞こえてくる。
それでは、教えよう! 文を作らないで、与えられた語群(今の例では14個の単語群)の中で、小グループを作っていくのである。ここで小グループというのは、意味のまとまりを持つフレーズのことである。
たとえば、「ステージで」に相当するのは「on the stage」だろう。「少女」は「the girl」だ。「ピアノ」は「the piano」だ。「弾いていた」は「was playing」だ。このようにフレーズ単位で確定グループを作っていくと、それだけで、最初14個だった要素が、半数以下になる。これは地道であるが、確実なアプローチである。また、これは誰にでもすぐに取りかかれる確かな方法である。そして、要素の数が少なくなればなるほど、文は完成しやすくなるのだ。以下の途中経過を見てほしい。
[ stage know yesterday was you piano on the playing girl do the who the ] ?(スタート時の要素数:14個)
on the stage 「ステージで」
the girl 「少女」
the piano 「ピアノ」
was playing 「弾いていた」
do you know 「知っていますか」
ここまでのまとめ:攻略法3 ●確定フレーズを見つけろ!
なんだ、「日本文の語順にとらわれるな!」と言いながら、けっきょく日本語どおりに並べているじゃないか、と思うかもしれない。しかし、よおく見てもらいたい。確定するのはフレーズ単位であって、文のレベルではない点が重要なのである。
そして、確定フレーズを書き出していくのだが、上記のように縦に、垂直に並べていくことが大事である。なぜか。横に並べて書いてしまうと、まだ未確定の段階なのに文のようになってしまい、たまたま書いたフレーズの順番にとらわれ、縛られてしまい、柔軟に考えることができなくなってしまうからである。とにかく文としての順序は極力気にしないことである。順序は気にせずに垂直に並べていくのだ。確定フレーズにならなかったものは、そのまま下に書き足していけばよい。
すると以下のようになる。これで最初の単語レベルの14個がフレーズレベルへと段階が上がってきて、必然的に要素の数が少なくなり、今や7つである。
on the stage 「ステージで」
the girl 「少女」
the piano 「ピアノ」
was playing 「弾いていた」
do you know 「知っていますか」
who
yesterday
(フレーズ化第一段階での要素数:7個)
ここまできたら、垂直に並べたフレーズの頭に番号を振りながら、文を完成することができる。面白いことに、こうしてフレーズのレベルに引き上げてくると、自然に英語の文の順序になってくるのである。
6 on the stage 「ステージで」
2 the girl 「少女」
5 the piano 「ピアノ」
4 was playing 「弾いていた」
1 do you know 「知っていますか」
3 who
7 yesterday
ここまでのまとめ:攻略法4 ●フレーズを縦に書き出せ!
確定フレーズを縦に書き出す時間がなければ、問題の語群に書き込んでもよい。
たとえば、以下のようにする。
on do
the you
[ stage know yesterday was ............ ]
playing
the
piano
そして、言うまでもないが、移動した単語は抹消線で消していく。
ここまでのまとめ:攻略法5 ●文を作ろうとするな!
いきなり文という高い壁を登らずに、フレーズという踏み台を使え!
いきなり最初の単語から書き始めるのは、ぶら下がっているバナナをゲットするのに、その場でジャンプしているのと同じである。チンパンジーだってすぐに踏み台を使うぞ!
もうひとつ例をあげておこう。とにかく、いきなり文を作ろうとしないで、”確定フレーズ”を見つ出していくことだ。
<問題2>
トムは、雨の日はテニスができないので、今日はいつもより早く帰るだろう。
[ can't rainy today he as than play earlier on Tom day come tennis usual home a will ](17個)
●フレーズ確定 第1段階 (あまり頭を使わないでできる、しかし重要なレベル)
can't play tennis
a rainy day
today
come home
earlier than
he
as
on
Tom
usual
will
(11個)
●フレーズ確定 第2段階 (集中力が必要となるレベル)
仮に和訳がなかったとしても、以下のポイントを押さえれば解ける問題である。
ポイント1: today と on a rainy day がくっつくことは文法的にありえないと考える。
ポイント2: 雨の日にはテニスはできないという常識的推理を前提にする。
Tom can't play tennis
on a rainy day
today
he will come home
earlier than
as
usual
(7個)
●フレーズ確定 第3段階 (最終調整)
6 he can't play tennis
7 on a rainy day
4 today
1 Tom will come home
2 earlier than
5 as
3 usual
●フレーズ確定 (完成文)
1 Tom will come home
2 earlier than
3 usual
4 today
5 as
6 he can't play tennis
7 on a rainy day
→ Tom will come home earlier than usual today as he can't play tennis on a rainy day.
(ミスを指摘してくれたみなさん、ありがとう!ミスを発見するくらい熱心に読んでもらえてうれしいです。とはいえ、ミスはあってはならないもの。これからもっと注意します!)
とにかく、信じて、やってみます!!
驚きのアドバイス。。。
学校でも、こうゆうコト。教えてくれたらいいのに。。。