wharf : 波止場、埠頭
Fisherman's Wharf :アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコにある観光地。「漁師の波止場」の意味。
この世界的に有名な漁港の観光地にあやかってか、単に、”村おこし”にカタカナの名前が欲しいだけなのか知らないが、いつの間にか我が国でも「○○フィッシャーマンズ・ワーフ」が津々浦々にできているようだ。
釧路フィッシャーマンズワーフ
若狭フィッシャーマンズワーフ
瀬戸大橋フィッシャーマンズワーフ
与島フィッシャーマンズワーフ
赤坂フィッシャーマンズワーフ(これはシーフードレストランの名前らしい)
等々
ここで問題にしたいのは、 wharf の日本語でのカタカナ表記である。
フィッシャーマンズ・ワーフ
フィッシャーマンズ・ウォーフ
インターネットで検索してみると、上記の2つとも出てくるが、ワーフ のほうがはるかに多いようである。英語での実際の発音はどうなのかから論ずるべきだと思うが、発音を活字で論ずるのはかなり無理がある。それを承知で以下に論じてみる。
まず、英語での発音が、 ウォーフ であれば、話は簡単である。
英語では ウォーフ であるが、日本語では wharf のスペルの中の a を単にローマ字読みして ワーフ となったのだろうと説明できる。
しかし、英語での wharf の発音は必ずしも 日本語のカタカナで表記される ウォーフ そのままでもない。やもすれば、ウヮーフ というふうにも聞こえる発音である。そうであるならば、ワーフ という表記もあながちマト外れとも言えないことになる。
実際には、英語の wharf の発音は、ウォーフ と ウヮーフ のあいだくらいに位置している。ということは、わすかなりとも 「ア」の発音要素があると認めざるをえない。
しかし、そのわずかにある「ア」の音素があるために、”ウォーフ”を捨てて、”ワーフ”の表記を選んだとは、とても考えにくい。
実は似たような例が、以下のようにゴロゴロある。これらを見ると、カタカナ表記は実際の発音よりも、その英単語のスペルのローマ字読みに強く影響されていることが、いやでもわかる。
award アワード (例:声優アワード)
アウォード [ 原音により近い表記 ]
warning ワーニング (例:パソコン用語の”ワーニング”)
ウォーニング [ 原音により近い表記 ]
launcher ランチャー (例:ロケット・ランチャー)
ローンチャ [ 原音により近い表記 ]
assault アサルト (例:アサルト・ライフル)
アソールト [ 原音により近い表記 ]
laundry ランドリー (例:コインランドリー)
ローンドリ [ 原音により近い表記 ]
ここまでさんざん譲歩して見てきたが、けっきょっく、単にスペルの中の ”a”をカタカナの「ア」に機械的にローマ字表記しているだけであると考えていいだろう。わたしはここで、以上のような英語の単語のカタカナ表記において、 [ 原音により近い表記 ] のほうを選ぶべきであると言うつもりはまったくない。
カタカナ表記の反原語性、流動性は日本語の宿命である。また、日本語に限らず、どんな言語でも外国語の単語の自国語への転記、表記には、多かれ少なかれ無理や、非一貫性が伴うものである。
最後に挙げた、 laundry ランドリー であるが、 [ 原音により近い表記 ] としての ローンドリ に近い表記の マネーロンダリング ( money laundering )が出てきている。ランドリーは”洗濯”で、ロンダリングは ”資金洗浄”というふうに表記が揺れているとも見えるが、うまく使い分けているとも見える。
Fisherman's Wharf :アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコにある観光地。「漁師の波止場」の意味。
この世界的に有名な漁港の観光地にあやかってか、単に、”村おこし”にカタカナの名前が欲しいだけなのか知らないが、いつの間にか我が国でも「○○フィッシャーマンズ・ワーフ」が津々浦々にできているようだ。
釧路フィッシャーマンズワーフ
若狭フィッシャーマンズワーフ
瀬戸大橋フィッシャーマンズワーフ
与島フィッシャーマンズワーフ
赤坂フィッシャーマンズワーフ(これはシーフードレストランの名前らしい)
等々
ここで問題にしたいのは、 wharf の日本語でのカタカナ表記である。
フィッシャーマンズ・ワーフ
フィッシャーマンズ・ウォーフ
インターネットで検索してみると、上記の2つとも出てくるが、ワーフ のほうがはるかに多いようである。英語での実際の発音はどうなのかから論ずるべきだと思うが、発音を活字で論ずるのはかなり無理がある。それを承知で以下に論じてみる。
まず、英語での発音が、 ウォーフ であれば、話は簡単である。
英語では ウォーフ であるが、日本語では wharf のスペルの中の a を単にローマ字読みして ワーフ となったのだろうと説明できる。
しかし、英語での wharf の発音は必ずしも 日本語のカタカナで表記される ウォーフ そのままでもない。やもすれば、ウヮーフ というふうにも聞こえる発音である。そうであるならば、ワーフ という表記もあながちマト外れとも言えないことになる。
実際には、英語の wharf の発音は、ウォーフ と ウヮーフ のあいだくらいに位置している。ということは、わすかなりとも 「ア」の発音要素があると認めざるをえない。
しかし、そのわずかにある「ア」の音素があるために、”ウォーフ”を捨てて、”ワーフ”の表記を選んだとは、とても考えにくい。
実は似たような例が、以下のようにゴロゴロある。これらを見ると、カタカナ表記は実際の発音よりも、その英単語のスペルのローマ字読みに強く影響されていることが、いやでもわかる。
award アワード (例:声優アワード)
アウォード [ 原音により近い表記 ]
warning ワーニング (例:パソコン用語の”ワーニング”)
ウォーニング [ 原音により近い表記 ]
launcher ランチャー (例:ロケット・ランチャー)
ローンチャ [ 原音により近い表記 ]
assault アサルト (例:アサルト・ライフル)
アソールト [ 原音により近い表記 ]
laundry ランドリー (例:コインランドリー)
ローンドリ [ 原音により近い表記 ]
ここまでさんざん譲歩して見てきたが、けっきょっく、単にスペルの中の ”a”をカタカナの「ア」に機械的にローマ字表記しているだけであると考えていいだろう。わたしはここで、以上のような英語の単語のカタカナ表記において、 [ 原音により近い表記 ] のほうを選ぶべきであると言うつもりはまったくない。
カタカナ表記の反原語性、流動性は日本語の宿命である。また、日本語に限らず、どんな言語でも外国語の単語の自国語への転記、表記には、多かれ少なかれ無理や、非一貫性が伴うものである。
最後に挙げた、 laundry ランドリー であるが、 [ 原音により近い表記 ] としての ローンドリ に近い表記の マネーロンダリング ( money laundering )が出てきている。ランドリーは”洗濯”で、ロンダリングは ”資金洗浄”というふうに表記が揺れているとも見えるが、うまく使い分けているとも見える。