天災であれ、人災であれ、大災害の到来を事前に知っている人間が常にいる
Every disaster is known to happen to some people beforehand, whether it is natural or man-made.
タイタニック号沈没: 事前に乗船をキャンセルした客が大富豪を含め多くいた
広島原爆投下: 当日広島の陸軍部隊の上級将校はすべて広島から消えていた
9.11事件: 事前に当該の航空会社の株が空売りされていた、搭乗のキャンセルが多かった
3.11東日本大震災: 数日前から東北の建築関連株が異常に買われていた
ボストンマラソンテロ事件: 爆弾探知犬がスタートとゴールの地点に動員されていた
上に挙げたうちの、“3.11東日本大震災”に関しては当時の記録がネット上で見つけることができる。2011年のうちに指摘されていた事実である。これにはわたしは最初半信半疑であった。株価のチャートを見ても、本当かなと疑っていた。2012年のある日、地元の野村証券の支店に用があって行った。40代の非常に有能な担当者であったので、3.11の事前に建築株が多く買われていたという情報があるが本当かどうか訊いてみた。すると、「そんな話は聞いたことがない」という返事であった。ふつうは地震などが起きた直後から売れ出すはずだと言う。やっぱり、と思い、ちょっと気恥ずかしかった。しかし、念のため異常な買いがあった複数の会社のうちの代表格の“東日本ハウス”の2011年の3.11前後の株価チャートをパソコンで出してくれるように頼んだ。
彼は手なれた様子でカチャカチャとキーボードを叩き、“東日本ハウス”のチャートをモニターに出した。
「うーん、そうですねえ、確かに3.11の数日前からかなり買いが入っていますね。3.11の直後にももちろんたくさん入っていますが・・・」
「やはり、事前に買われていますか?」
「・・・ ま、どんな株も常に売り買いはありますが・・・、確かに多いですね」
「ふつうに考えると、やはり3.11に地震が来ることを知っていた人間がいたということでしょうかね」
「なんとも言えませんが、しかし、どういうことですかねえ・・・」
「こういった例は今までにご経験はありますか?」
「いや、ないですね、こういう例は初めて見ましたね。しかし、これは・・・」 と言いながらモニター上のグラフを見ながら、しきりにまたカチャカチャ叩いている。表示を長期間にして株価の変動の流れを見ているのだ。しかし、いくら長期間にしても、3.11の前後ほどのピークは出てこない。岩手県盛岡市の中堅住宅会社の東日本ハウスの株が上昇し始めたのは2011年2月中旬頃からであるが、地震直前の3月8日頃からさらに急騰しているのだ。
株式の現場の専門家も、自分の知らなかった事実に驚いて言葉を失っている。
「9.11のときも事故機の航空会社の株が事前に大量に空売りされていたそうですね」
「え、そうですか?・・・ それは知りませんでしたが・・・」と言いながら、まだカチャカチャ叩いている。なんとか説明できるような手掛かりはないかと必死のようである。
株式マンは“常識的な考え方”の持ち主が多いのかもしれない。“トンデモ的な話”は敬遠するタイプなのであろう。しかし、自分が毎日仕事で使うモニターに写っている“東日本ハウス”の株式チャートの異常な動きを前に彼は常識的な説明ができずにいるのだ。
わたしの勤務先は横浜にある。駅から歩いてその職場にいく途中に大きなビルがいくつかあるが、その中のひとつの1階の大きなウィンドウに2012年の夏のある日忽然と“東日本ハウス”のロゴがでかでかと出ていて驚いた。かなりのテナント料のはずである。2011年3.11後、岩手県盛岡市の一中堅住宅会社に過ぎなかった“東日本ハウス”はめざましい大躍進を遂げているように思えた。
東日本ハウスは3.11事前急騰では特に有名である。しかし、さらに調べてみると、個々には見たのでは目立たないのであるが、大手ゼネコンの株の買われ方にも同様の傾向が見て取れることが指摘されている。その指摘によると、2011年3月の3日、4日、7日に佐田建設、東洋建設、世紀東急工業、熊谷組、三井住友建設、大末建設、技研興業、東海リース、などの大手ゼネコン関連の銘柄がそろってじわじわと買われているのである。これらの銘柄は、地震が起きた後に需要が急増し、3.11の地震後には大きく値上がりが約束されたも同然の建設や災害復興株ばかりである。
「表は、2月14日から地震があった3月11日、さらに今週までのゼネコン関連株の1日ごとの売買出来高を時系列で示したものだ。特に3・4日から7日あたりに注目。」http://nekotomo.at.webry.info/201103/article_7.html