Snapeの英語指南

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”some people” は ”数人の人々”か? (2)

2013-01-04 19:16:23 | 英語の読み方

英語の some という語は実に奥が深く、前回の考察だけでは捉えきれていないというのが本当のところだ。

早い話が、次のような単純な文はどう見る?”部分集合としての some ” ではどう説明するのか?

a) I have some Blu Ray Discs.   ブルーレイディスクを何枚か持っている。

たしかに、いろいろな "disc" のうちの Blu Ray Discs という部分集合であるという捉え方は無理がある。実際、今日ではDVDは持っていなくてもBlu Ray Disc は持っているというひとがいてもおかしくない。

この文と、すでに見た以下の文とを比べてみよう。

b) I have some books written in French.  フランス語で書かれた本を複数持っている。

 

上記の二つの文は非常に似ているが、よく見ると違う。b)では母集団を books, 部分集合を books wriiten in French" と理解できる。しかし、a)ではこれと同じように集合的な階層を想定するのには無理がある。単独の文としては無理である。

なぜ無理なのか。文法的な限定句がない、もしくは文脈的・状況的な限定がないからである。実際には some を含むほとんどの文では何らかの限定があるのがふつうである。単独の文としては限定句がなくても、その前の文やあとの文で何らかの状況が与えられているのである。たとえば、以下のような例である。

 

The railway accident happened in the station. The express train crashed into the train which was waiting to start in the station. The station turned into Pandemonium(地獄絵). It was the worst accident in the last 60 years in the city. Some people were killed instantly.

 

最後の Some people were killed instantly.  はやはり文脈からして「一部の人々」と訳すべきであって、「数人の人々」ではまずいであろう。文脈的、状況的、母集団的に考えて、”数人=5人前後”というわけにはいかないだろう。つまり、some を含む文であって、文の内外から何らかの限定のないケースはむしろ例外であり、たいていは限定がある。以下の例を見ていただきたい。

 

c) Some countries have no nuclear power plants.

d) There are some countries where women have no right to vote.

 

c) 一部の国々には核発電所がない。

d) 女性に選挙権がない国もある。 

 まず、世界の国の総数は現在200弱である。これがc)、d)共通の上限であって自明なことである。ちなみに核発電所を持たない国のほうが世界では多数派である。次にd)であるが、女性に選挙権が無い国のほうが少数派である。

さて、ここまで "some people" が「数人」や「何人かの人々」 という理解ではとらえられない場合があることをみてきた。しかし、このステレオタイプの”一つ覚え”の「数人の人々」がこれほどまでに根を張っているのはなぜだろうか。これはおそらく中学で最初に習う時に刷り込まれたままで来ているひとが多いせいであろう。子どもの世界は家庭と教室であって、人数も母集団比例的にみても"some"といえばたしかに「数人」である場合が多いのだ。また英語の授業の例文でも、some students, some classmates, some books,  some CDs,  some pencils, some apples ・・・ というような材料が使われているので実際に、"some"=「3~6」にあてはまる場合が多いのである。高校くらいになるとsome cities in Europe, some people in Japan というふうに世界が広がってきてそれにつれて母集団比例的な理解が必要になってくるのだが、教師の側も気づかずに生徒が「日本の何人かの人々は・・・」と訳してもマルにしているのである。

結論: "some"は状況依存的、母集団比例的に理解せよ。