
米海軍のミサイル駆逐艦「デューイ」が南シナ海のスプラトリー諸島のミスチーフ礁で、24日、中国が造成した人工島の沖合12カイリ内を通過する「航行の自由作戦」(FONOPS)を実施したのだそうですね。昨年10月21日以来約7カ月ぶりで、トランプ政権発足後は初めて。
北朝鮮の核とミサイル開発を、空母2隻を派遣し軍事力での圧力を加える一方で、中国による開発中止説得に期待する作戦の米国が、この時期に「航行の自由作戦」を実施したことについて、読売と産経で少し違いがあります。
中国の説得に期待し、南シナ海での「航行の自由作戦」の慣行を控えていたとの見方は両紙とも共通していますが、北朝鮮への圧力強化に慎重な中国の姿勢にいら立ちを強めているトランプ大統領が、中国をけん制し、さらなる協力を引き出す狙いがあると言う強気姿勢の見方が読売。
他方、北朝鮮問題での協力と引き換えに南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いと、国内での「作戦の早期実施」を求める議会の圧力や、太平洋軍からの突き上げをかわす思惑もあったと、守りの姿勢の見方なのが産経。
中国は米国に同調し、北朝鮮の外貨獲得源である石炭輸入の制限に踏み切ったが、追加制裁のカードとなる原油供給の制限については、慎重姿勢を崩せずにいる。そんな中国を牽制したとの見方の読売。
北朝鮮説得協力依頼の見返りに、南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いと、国内の議会や軍対策と捉える産経。
どちらが正しいのか、どちらもあっているのかはわかりません。
また、習近平側も、北への説得推進や、制裁効果が大きいとされる原油供給制限(露の介入で制限効果に限界が生じ、抵抗を増すだけとなりかねない)の実施を、意図して遅らせているのか、進めたくても北を制御できなくて進められないのか、未明です。
空母二隻を動員し、腰の引けたオバマ政権の対北や対中姿勢との違いを展開しているトランプ政権。晩餐会に併せてシリア空軍基地攻撃をして、習近平の度胆をぬいて攻勢姿勢を容認させる戦術にも成功し、優勢に立ったトランプ政権でしたが、動かないことで、時間の経過とともに習近平が失地を回復、形勢を逆転させようとするかにも見え始めてきています。
その歯止めの「航行の自由作戦」挙行だったのでしょうか。
司法介入騒動で、「ロシアゲート」と弾劾の声が聞こえる窮地に立ったトランプ大統領。トランプ大統領によって、外交失政のピンチに追い込まれながらもジワリと失地回復に向かおうとしている習近平は、トランプ大統領の現状にほくそ笑んでいることでしょう。
「航行の自由作戦」挙行について、反撃に転じています。北朝鮮対策で協調姿勢を求めてきたトランプ大統領の「航行の自由作戦」挙行は、習近平指導部にとっては誤算だったとも。だとすれば、トランプ流対習近平翻弄術(安倍首相が教授したともいわれているが)は健在の様ですね。
【緊迫・南シナ海】米の航行の自由作戦再開は誤算? 中国「勝手に進入、強烈な不満」 - 産経ニュース
# 冒頭の画像は、イージス駆逐艦「デューイ」; アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の55番艦。艦名はジョージ・デューイ提督にちなむ。

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北朝鮮の核とミサイル開発を、空母2隻を派遣し軍事力での圧力を加える一方で、中国による開発中止説得に期待する作戦の米国が、この時期に「航行の自由作戦」を実施したことについて、読売と産経で少し違いがあります。
中国の説得に期待し、南シナ海での「航行の自由作戦」の慣行を控えていたとの見方は両紙とも共通していますが、北朝鮮への圧力強化に慎重な中国の姿勢にいら立ちを強めているトランプ大統領が、中国をけん制し、さらなる協力を引き出す狙いがあると言う強気姿勢の見方が読売。
米艦、南シナ海で圧力 対中国 北問題いらだち 航行の自由作戦 (5/26 読売朝刊)
【ワシントン=大木聖馬、北京=竹内誠一郎】ロイター通信は24日、複数の米政府当局者の話として、米軍のイージス駆逐艦「デューイ」が同日、中国が軍事拠点化を進める南シナ海のスプラトリー諸島ミスチーフ礁の12カイリ(約22キロ・メートル)内で航行し、「航行の自由作戦」を実施したと伝えた。米軍が南シナ海で同作戦を行うのは昨年10月以来で、今年1月に発足したトランプ政権下では初めて。
米国防総省の報道担当者は読売新聞の取材に、「我々は定期的に航行の自由作戦を実施しており、今後も続けていく」と述べた。
トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル問題を最優先課題に位置づけ、中国からの協力を引き出すため、南シナ海での同作戦を控えてきた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米太平洋軍は2月以降、国防総省に対して同作戦の実施を複数回にわたって提案したが、同省は認めなかったという。
だが、北朝鮮が21日に2週連続で弾道ミサイルを発射したことを受け、国連安全保障理事会で追加制裁を訴えた。これに対し、中国はロシアとともに反対、追加制裁はまとまらなかった。このためトランプ政権は、同作戦で南シナ海問題に関与する姿勢を示すことで、北朝鮮への圧力強化に慎重な中国をけん制し、さらなる協力を引き出す狙いがあるとの見方が出ている。
実際、トランプ大統領も中国側の姿勢にいら立ちを強めているようだ。米中関係筋によると、トランプ氏は4月の米フロリダ州での米中首脳会談後、習近平(シージンピン)国家主席に少なくとも2回、電話をかけ、「北朝鮮はどうなっているか」と回答を迫ったという。
一方、米中の対北朝鮮政策について、中国軍関係筋は「非核化では一致しているが、金正恩キムジョンウン政権を崩壊まで追いつめるかどうかで相違がある」と指摘する。
中国は米国に同調し、北朝鮮の外貨獲得源である石炭輸入の制限に踏み切ったが、追加制裁のカードとなる原油供給の制限については、金正恩政権の「一層の暴発を招きかねない」(中国共産党関係筋)と、慎重姿勢を崩せずにいる。北朝鮮の政権崩壊で中国側に大量の難民が押し寄せる事態などを強く警戒しているためだ。
また、習政権内では「北朝鮮に対する(中国の)影響力には限界がある」との分析が主流という。
【ワシントン=大木聖馬、北京=竹内誠一郎】ロイター通信は24日、複数の米政府当局者の話として、米軍のイージス駆逐艦「デューイ」が同日、中国が軍事拠点化を進める南シナ海のスプラトリー諸島ミスチーフ礁の12カイリ(約22キロ・メートル)内で航行し、「航行の自由作戦」を実施したと伝えた。米軍が南シナ海で同作戦を行うのは昨年10月以来で、今年1月に発足したトランプ政権下では初めて。
米国防総省の報道担当者は読売新聞の取材に、「我々は定期的に航行の自由作戦を実施しており、今後も続けていく」と述べた。
トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル問題を最優先課題に位置づけ、中国からの協力を引き出すため、南シナ海での同作戦を控えてきた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米太平洋軍は2月以降、国防総省に対して同作戦の実施を複数回にわたって提案したが、同省は認めなかったという。
だが、北朝鮮が21日に2週連続で弾道ミサイルを発射したことを受け、国連安全保障理事会で追加制裁を訴えた。これに対し、中国はロシアとともに反対、追加制裁はまとまらなかった。このためトランプ政権は、同作戦で南シナ海問題に関与する姿勢を示すことで、北朝鮮への圧力強化に慎重な中国をけん制し、さらなる協力を引き出す狙いがあるとの見方が出ている。
実際、トランプ大統領も中国側の姿勢にいら立ちを強めているようだ。米中関係筋によると、トランプ氏は4月の米フロリダ州での米中首脳会談後、習近平(シージンピン)国家主席に少なくとも2回、電話をかけ、「北朝鮮はどうなっているか」と回答を迫ったという。
一方、米中の対北朝鮮政策について、中国軍関係筋は「非核化では一致しているが、金正恩キムジョンウン政権を崩壊まで追いつめるかどうかで相違がある」と指摘する。
中国は米国に同調し、北朝鮮の外貨獲得源である石炭輸入の制限に踏み切ったが、追加制裁のカードとなる原油供給の制限については、金正恩政権の「一層の暴発を招きかねない」(中国共産党関係筋)と、慎重姿勢を崩せずにいる。北朝鮮の政権崩壊で中国側に大量の難民が押し寄せる事態などを強く警戒しているためだ。
また、習政権内では「北朝鮮に対する(中国の)影響力には限界がある」との分析が主流という。
他方、北朝鮮問題での協力と引き換えに南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いと、国内での「作戦の早期実施」を求める議会の圧力や、太平洋軍からの突き上げをかわす思惑もあったと、守りの姿勢の見方なのが産経。
航行の自由作戦 米、中国の軍事膨張阻止 対北連携、影響意識も (5/26 産経)
【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権が24日、南シナ海で「航行の自由作戦」(FONOPS)に踏み切ったのは、北朝鮮問題をめぐる中国との連携に悪影響が出る恐れを意識しつつも、北朝鮮問題での協力と引き換えに南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いがあるとみられる。
しかし今回、南シナ海に派遣されたのは、オバマ前政権が2015年10月~16年10月にかけて4回実施した作戦と同様、ミサイル駆逐艦1隻だけだ。また、米国防総省のデービス報道部長は24日、今回の作戦について「航行の自由作戦は1つの国を対象にしたものではなく、政治的立場を表明するものでもない」などと述べるにとどまり、作戦実施の事実を公式に確認しなかった。
こうした点を見る限り、トランプ政権は中国の習近平体制を必要以上に刺激しないよう、一定の配慮をしたとも推察できる。
トランプ政権にとって北朝鮮の核・ミサイル問題は安全保障分野での最重要課題だが、中国による北朝鮮への働きかけの結果は直ちには見えそうにない。今の時点で作戦を決行したのは「作戦の早期実施」を求める議会の圧力や、太平洋軍からの突き上げをかわす思惑もあったとみられる。
今後注目されるのは、トランプ政権がどれほどの規模と頻度で作戦を続行していく意思があるかだ。
オバマ前政権時代に実施された作戦は、一度に複数の艦艇を派遣することはなく、約3~5カ月に1回程度しか実施されなかったことから、対中強硬派の議員などから「不十分」との批判が上がっていた。
トランプ氏がどこまで南シナ海での「航行の自由」を追求する意思があるのかは、今後の作戦のあり方次第といえる。
【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権が24日、南シナ海で「航行の自由作戦」(FONOPS)に踏み切ったのは、北朝鮮問題をめぐる中国との連携に悪影響が出る恐れを意識しつつも、北朝鮮問題での協力と引き換えに南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いがあるとみられる。
しかし今回、南シナ海に派遣されたのは、オバマ前政権が2015年10月~16年10月にかけて4回実施した作戦と同様、ミサイル駆逐艦1隻だけだ。また、米国防総省のデービス報道部長は24日、今回の作戦について「航行の自由作戦は1つの国を対象にしたものではなく、政治的立場を表明するものでもない」などと述べるにとどまり、作戦実施の事実を公式に確認しなかった。
こうした点を見る限り、トランプ政権は中国の習近平体制を必要以上に刺激しないよう、一定の配慮をしたとも推察できる。
トランプ政権にとって北朝鮮の核・ミサイル問題は安全保障分野での最重要課題だが、中国による北朝鮮への働きかけの結果は直ちには見えそうにない。今の時点で作戦を決行したのは「作戦の早期実施」を求める議会の圧力や、太平洋軍からの突き上げをかわす思惑もあったとみられる。
今後注目されるのは、トランプ政権がどれほどの規模と頻度で作戦を続行していく意思があるかだ。
オバマ前政権時代に実施された作戦は、一度に複数の艦艇を派遣することはなく、約3~5カ月に1回程度しか実施されなかったことから、対中強硬派の議員などから「不十分」との批判が上がっていた。
トランプ氏がどこまで南シナ海での「航行の自由」を追求する意思があるのかは、今後の作戦のあり方次第といえる。
中国は米国に同調し、北朝鮮の外貨獲得源である石炭輸入の制限に踏み切ったが、追加制裁のカードとなる原油供給の制限については、慎重姿勢を崩せずにいる。そんな中国を牽制したとの見方の読売。
北朝鮮説得協力依頼の見返りに、南シナ海での中国の軍事的膨張を容認するという「誤解」が定着するのを食い止める狙いと、国内の議会や軍対策と捉える産経。
どちらが正しいのか、どちらもあっているのかはわかりません。
また、習近平側も、北への説得推進や、制裁効果が大きいとされる原油供給制限(露の介入で制限効果に限界が生じ、抵抗を増すだけとなりかねない)の実施を、意図して遅らせているのか、進めたくても北を制御できなくて進められないのか、未明です。
空母二隻を動員し、腰の引けたオバマ政権の対北や対中姿勢との違いを展開しているトランプ政権。晩餐会に併せてシリア空軍基地攻撃をして、習近平の度胆をぬいて攻勢姿勢を容認させる戦術にも成功し、優勢に立ったトランプ政権でしたが、動かないことで、時間の経過とともに習近平が失地を回復、形勢を逆転させようとするかにも見え始めてきています。
その歯止めの「航行の自由作戦」挙行だったのでしょうか。
司法介入騒動で、「ロシアゲート」と弾劾の声が聞こえる窮地に立ったトランプ大統領。トランプ大統領によって、外交失政のピンチに追い込まれながらもジワリと失地回復に向かおうとしている習近平は、トランプ大統領の現状にほくそ笑んでいることでしょう。
「航行の自由作戦」挙行について、反撃に転じています。北朝鮮対策で協調姿勢を求めてきたトランプ大統領の「航行の自由作戦」挙行は、習近平指導部にとっては誤算だったとも。だとすれば、トランプ流対習近平翻弄術(安倍首相が教授したともいわれているが)は健在の様ですね。
【緊迫・南シナ海】米の航行の自由作戦再開は誤算? 中国「勝手に進入、強烈な不満」 - 産経ニュース
# 冒頭の画像は、イージス駆逐艦「デューイ」; アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の55番艦。艦名はジョージ・デューイ提督にちなむ。

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