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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ユーロ20年の節目に歴史に残る首脳会議

2011-12-10 23:24:16 | my notice
 世界中が注目する、欧州債務危機の解決策をめぐる首脳会議は、独、仏、英の激しい主導権争いが絡み徹夜で行われました。国内の支持基盤と国益を背負ったつばぜり合いは、これぞ国際交渉と言えるものでしたね。
 結果は、ユーロ圏17ヵ国のほか、英国を除いた非ユーロ圏 9ヵ国の計26ヵ国が議会の承認を得たうえで政府間協定を結び、財政規律を強化する「新財政協定」を合意して閉幕しました。
 財政規律で各国を縛ろうとする独と、国家の主権を護るべきとする英国の対立は第二次大戦の対立を想い起しましたが、仏とドイツは相互に譲歩しあい、EUの主導権を護った結果で、英国は孤立の道を選択し、ユーロ創設20年の節目にEU分裂の芽を産む結果となりました。
 

EU深刻な亀裂 財政新条約 独、規律を最優先 援助拡大強く反対 (12/10 読売朝刊)

 8、9の両日開かれた欧州連合(EU)首脳会議は、財政規律の強化の必要性や資金面での安全網強化で合意した。ただ、2日間の議論では、キャメロン英首相が「ユーロ圏に入っていなくて本当に幸せだ」と公言する場面も飛び出すなど深刻な亀裂も明らかになり、結束を印象づけることはできなかった。(ブリュッセル中沢謙介、工藤武人)
<中略>

孤立の英不満あらわ 非ユーロ圏9か国は参加検討

 EU首脳会議で9日、財政規律の強化に向けて締結が基本合意された新条約には英国が加わらない。特定の国を置き去りにして「有志」国で合意を急ぐやり方は、EUの分裂を招く危険も秘める。
 サルコジ仏大統領は9日の記者会見で「英国の友人の反対のせいで(27か国全体の)条約改正が出来なかった」とキャメロン英首相を批判。キャメロン首相は「今後もユーロに入るつもりはない」と、不満をあらわにした。非ユーロ圏のうち、英国を除く9か国が新条約参加を検討すると表明。英国の孤立ぶりが際立った。
 8日夜に始まった首脳会議では、仏独首脳が、EU加盟27か国全体の賛成に基づく基本条約の改正を通じて財政規律確立を目指す姿勢を見せたものの、英国の強力な反対を前に、すぐにユーロ圏だけでスタートさせる戦術に切り替えた。
 これに強い危機感を抱いたのがファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)だ。同議長は、各国の批准が不要な付属議定書の改定を通して、財政規律を達成できると主張。英国などを除外した新条約を認めてしまうと、EUに二つのグループが生まれることにつながると懸念したためだ。
 だが、「条約化での合意がなければ帰らない」との決意で臨んだとされるメルケル独首相はファンロンパイ議長の提案を一蹴した。メルケル首相には、議長提案のような悠長な対応を市場は容認しないとの危機感があった。新条約案では、「来年3月までの採択を目指す」と明記している。
 ただ、財政危機の深刻化で「欧州が分裂に向かっている」(EU高官)との懸念も広がる中で、英国を排除した形での合意形成は、EU加盟国間で対立点が際立ったとき、それぞれの陣営が別々のルールを採用する先例になりかねない。
 今回の合意は統一通貨ユーロ創設につながるEU基本条約「マーストリヒト条約」が合意された1991年12月から、ちょうど20年の節目に成立した。サルコジ仏大統領は「歴史に刻まれる首脳会議になった」と形容したが、EUの分断を広げた会議として歴史に記録される可能性もある。

 英・キャメロン首相の強硬姿勢の背景については以下の日経の記事が解りやすく説明しています。
 
孤立深まる英、金融主導権で独仏ときしみ  :日本経済新聞

 通貨統合をしたが、通貨の裏打ちとなる財政は各国がバラバラに運用し、国の財政と通貨の実力に差が生じていたことが欧州債務危機を招いた原因であることははっきりしましたが、その対策の選択が争点でした。
 ①財政規律の違反国に対して自動的に制裁を発動②財政規律を憲法に明記③予算案を事前にEUの執行機関、欧州委員会に提出などを柱に、財政赤字をGDPの0.5%内に抑える方針も示し、新基本条約締結を目指したのが独とそれに擦り寄った仏でした。

 英国と独仏の間の溝が鮮明化したEUが今後どのような展開を見せるのか。マネーゲーム的に金融利益を追求する市場(ファンド会社等)と、各国政府との戦いの成り行きも含め、世界中の経済に及ぼす影響が大きく、まだまだ先行きが不透明で目が離せませんね。

 【参考】英国内の状況については以下のページがありました。EUの脱退はないと。
     キャメロン首相の「拒否権」行使で英国は孤立へ-国内では賛否両論 - Bloomberg




  今年も帰ってきた鴨

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