
ドナルド・トランプ米大統領は、自身が導入した関税措置が労働者に恩恵をもたらすと語っていた。しかし、これまでの経過を見ると、最大の受益者はレントシーカー企業(政策変更を求め、不当な利益を得ようとする企業)のようだ。米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)の例を見れば、それがよく分かる。
彼は日本製鉄によるUSスチール買収の阻止に失敗した。そして現在、関税を利用して、自社の鉄鋼関連の資産を外国資本に売り込もうとしていると、WSJ。
米最大級の鉄鋼メーカーであるクリーブランド・クリフスは21日、4-6月期決算で2億4700万ドル(約365億円)の赤字を計上したと発表。
それでも、関税によって出荷量が過去最高水準となり、販売価格が上昇したことで赤字幅が1-3月期の半分になったとの発表を受けて、同社の株価は12%上昇した。
トランプ氏は、6月には、日鉄によるUSスチール買収を容認する一方で、表向きは全米鉄鋼労働組合(USW)に恩恵をもたらす対応だとして、鉄鋼に対する関税率をそれまでの倍の50%に引き上げた。ゴンカルベス氏はこれらの措置を受け、クリーブランド・クリフスが「この新たな現実の恩恵に浴する特別な立場にある」と語った。
トランプ関税はクリーブランド・クリフスにまた別の利点をもたらす可能性がある。それは、同社の工場が外国の買い手にとってより魅力的になることだ。ゴンカルベス氏は「今後、外国の競合企業がこの魅力的な市場に参入したいなら、米国内での鉄鋼生産能力を獲得する必要があるだろう」と語った。
買収合戦で競り負けた後、ゴンカルベス氏は日本企業によるUSスチールの保有が国家安全保障を脅かすと主張して、当時のバイデン政権に買収阻止を働きかけた。
ゴンカルベス氏は21日に自社工場の海外鉄鋼メーカーへの売却を提案し、先の国家安全保障に関する主張が策略だったことをほぼ認めた形となった。
ゴンカルベス氏は、日鉄と競うために工場を改修するよりも、工場を売った方が良いリターンが得られる可能性があると結論付けたのだろう。決めるのはクリーブランド・クリフスの取締役会と株主だと、WSJ。
関税があるにもかかわらず、クリーブランド・クリフスが今年、何百人もの従業員を解雇し、複数の工場の稼働を停止したことは注目に値する。
ゴンカルベス氏のためにこう言おう。少なくとも彼は、関税が普通の人に利益をもたらすと見せかけるようなことはしていないと、WSJ。
日本も含め各国との関税交渉が進み、延期されてきた実行期限終了も間近!
実行開始され、高関税となった製品の輸入が開始された時、輸入品の物価が高騰した米国の消費者や企業は、トランプ氏の関税政策にどのような反応を示すのでしょう。。。
# 冒頭の画像は、クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEO

この花の名前は、ブーゲンベリア
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彼は日本製鉄によるUSスチール買収の阻止に失敗した。そして現在、関税を利用して、自社の鉄鋼関連の資産を外国資本に売り込もうとしていると、WSJ。
【社説】関税で手のひら返しのクリフス - WSJ
外資に資産売り込むCEO、日鉄が安保の脅威との主張どこへやら
By The Editorial Board 2025年7月23日
ドナルド・トランプ米大統領は、自身が導入した関税措置が労働者に恩恵をもたらすと語っていた。しかし、これまでの経過を見ると、最大の受益者はレントシーカー企業(政策変更を求め、不当な利益を得ようとする企業)のようだ。米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)の例を見れば、それがよく分かる。彼は日本製鉄によるUSスチール買収の阻止に失敗した。そして現在、関税を利用して、自社の鉄鋼関連の資産を外国資本に売り込もうとしている。
米最大級の鉄鋼メーカーであるクリーブランド・クリフスは21日、4-6月期決算で2億4700万ドル(約365億円)の赤字を計上したと発表した。これは喜ばしいことではない。それでも、関税によって出荷量が過去最高水準となり、販売価格が上昇したことで赤字幅が1-3月期の半分になったとの発表を受けて、同社の株価は12%上昇した。競争を制限する政治介入は、こうした結果につながることが多い。
トランプ氏は2月、カナダなどの貿易相手国に対する鉄鋼関税の免除措置を廃止した。6月には、日鉄によるUSスチール買収を容認する一方で、表向きは全米鉄鋼労働組合(USW)に恩恵をもたらす対応だとして、鉄鋼に対する関税率をそれまでの倍の50%に引き上げた。ゴンカルベス氏はこれらの措置を受け、クリーブランド・クリフスが「この新たな現実の恩恵に浴する特別な立場にある」と語った。
同氏はまた、トランプ氏による自動車および自動車部品への25%の関税が米自動車メーカーへの支援要因となり、米国製鉄鋼の需要を押し上げる可能性があると語った。ただしそれは、自動車価格の上昇によって販売台数が落ち込まなければの話だ。クリーブランド・クリフスは米自動車業界最大の鉄鋼サプライヤーだ。
トランプ関税はクリーブランド・クリフスにまた別の利点をもたらす可能性がある。それは、同社の工場が外国の買い手にとってより魅力的になることだ。ゴンカルベス氏は「今後、外国の競合企業がこの魅力的な市場に参入したいなら、米国内での鉄鋼生産能力を獲得する必要があるだろう」と語った。
関税によって米鉄鋼メーカーの利ざや改善が見込めるため、米鉄鋼市場は現在特に好まれる状態にある。これが、日鉄がUSスチールの買収を望み、約110億ドルの投資を行うことに同意した理由の一つだ。クリーブランド・クリフスは以前、関税で保護された国内鉄鋼カルテルを形成するため、USスチール買収を目指した。
買収合戦で競り負けた後、ゴンカルベス氏は日本企業によるUSスチールの保有が国家安全保障を脅かすと主張して、当時のバイデン政権に買収阻止を働きかけた。友好国からの投資はいつから国の脅威になったのか。ゴンカルベス氏は21日に自社工場の海外鉄鋼メーカーへの売却を提案し、先の国家安全保障に関する主張が策略だったことをほぼ認めた形となった。
ゴンカルベス氏は、同社が「非中核資産」の売却に向け、「積極的な対話」を行っているとし、「それ以外にもあらゆる可能性がある」と述べた。これは、同氏が買収提案を受け入れる可能性があることを示唆する。恐らく、日鉄と競うために工場を改修するよりも、工場を売った方が良いリターンが得られる可能性があると結論付けたのだろう。決めるのはクリーブランド・クリフスの取締役会と株主だ。
関税があるにもかかわらず、クリーブランド・クリフスが今年、何百人もの従業員を解雇し、複数の工場の稼働を停止したことは注目に値する。鉄鋼業界全体の雇用状況は横ばいだ。ゴンカルベス氏のためにこう言おう。少なくとも彼は、関税が普通の人に利益をもたらすと見せかけるようなことはしていない。
外資に資産売り込むCEO、日鉄が安保の脅威との主張どこへやら
By The Editorial Board 2025年7月23日
ドナルド・トランプ米大統領は、自身が導入した関税措置が労働者に恩恵をもたらすと語っていた。しかし、これまでの経過を見ると、最大の受益者はレントシーカー企業(政策変更を求め、不当な利益を得ようとする企業)のようだ。米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)の例を見れば、それがよく分かる。彼は日本製鉄によるUSスチール買収の阻止に失敗した。そして現在、関税を利用して、自社の鉄鋼関連の資産を外国資本に売り込もうとしている。
米最大級の鉄鋼メーカーであるクリーブランド・クリフスは21日、4-6月期決算で2億4700万ドル(約365億円)の赤字を計上したと発表した。これは喜ばしいことではない。それでも、関税によって出荷量が過去最高水準となり、販売価格が上昇したことで赤字幅が1-3月期の半分になったとの発表を受けて、同社の株価は12%上昇した。競争を制限する政治介入は、こうした結果につながることが多い。
トランプ氏は2月、カナダなどの貿易相手国に対する鉄鋼関税の免除措置を廃止した。6月には、日鉄によるUSスチール買収を容認する一方で、表向きは全米鉄鋼労働組合(USW)に恩恵をもたらす対応だとして、鉄鋼に対する関税率をそれまでの倍の50%に引き上げた。ゴンカルベス氏はこれらの措置を受け、クリーブランド・クリフスが「この新たな現実の恩恵に浴する特別な立場にある」と語った。
同氏はまた、トランプ氏による自動車および自動車部品への25%の関税が米自動車メーカーへの支援要因となり、米国製鉄鋼の需要を押し上げる可能性があると語った。ただしそれは、自動車価格の上昇によって販売台数が落ち込まなければの話だ。クリーブランド・クリフスは米自動車業界最大の鉄鋼サプライヤーだ。
トランプ関税はクリーブランド・クリフスにまた別の利点をもたらす可能性がある。それは、同社の工場が外国の買い手にとってより魅力的になることだ。ゴンカルベス氏は「今後、外国の競合企業がこの魅力的な市場に参入したいなら、米国内での鉄鋼生産能力を獲得する必要があるだろう」と語った。
関税によって米鉄鋼メーカーの利ざや改善が見込めるため、米鉄鋼市場は現在特に好まれる状態にある。これが、日鉄がUSスチールの買収を望み、約110億ドルの投資を行うことに同意した理由の一つだ。クリーブランド・クリフスは以前、関税で保護された国内鉄鋼カルテルを形成するため、USスチール買収を目指した。
買収合戦で競り負けた後、ゴンカルベス氏は日本企業によるUSスチールの保有が国家安全保障を脅かすと主張して、当時のバイデン政権に買収阻止を働きかけた。友好国からの投資はいつから国の脅威になったのか。ゴンカルベス氏は21日に自社工場の海外鉄鋼メーカーへの売却を提案し、先の国家安全保障に関する主張が策略だったことをほぼ認めた形となった。
ゴンカルベス氏は、同社が「非中核資産」の売却に向け、「積極的な対話」を行っているとし、「それ以外にもあらゆる可能性がある」と述べた。これは、同氏が買収提案を受け入れる可能性があることを示唆する。恐らく、日鉄と競うために工場を改修するよりも、工場を売った方が良いリターンが得られる可能性があると結論付けたのだろう。決めるのはクリーブランド・クリフスの取締役会と株主だ。
関税があるにもかかわらず、クリーブランド・クリフスが今年、何百人もの従業員を解雇し、複数の工場の稼働を停止したことは注目に値する。鉄鋼業界全体の雇用状況は横ばいだ。ゴンカルベス氏のためにこう言おう。少なくとも彼は、関税が普通の人に利益をもたらすと見せかけるようなことはしていない。
米最大級の鉄鋼メーカーであるクリーブランド・クリフスは21日、4-6月期決算で2億4700万ドル(約365億円)の赤字を計上したと発表。
それでも、関税によって出荷量が過去最高水準となり、販売価格が上昇したことで赤字幅が1-3月期の半分になったとの発表を受けて、同社の株価は12%上昇した。
トランプ氏は、6月には、日鉄によるUSスチール買収を容認する一方で、表向きは全米鉄鋼労働組合(USW)に恩恵をもたらす対応だとして、鉄鋼に対する関税率をそれまでの倍の50%に引き上げた。ゴンカルベス氏はこれらの措置を受け、クリーブランド・クリフスが「この新たな現実の恩恵に浴する特別な立場にある」と語った。
トランプ関税はクリーブランド・クリフスにまた別の利点をもたらす可能性がある。それは、同社の工場が外国の買い手にとってより魅力的になることだ。ゴンカルベス氏は「今後、外国の競合企業がこの魅力的な市場に参入したいなら、米国内での鉄鋼生産能力を獲得する必要があるだろう」と語った。
買収合戦で競り負けた後、ゴンカルベス氏は日本企業によるUSスチールの保有が国家安全保障を脅かすと主張して、当時のバイデン政権に買収阻止を働きかけた。
ゴンカルベス氏は21日に自社工場の海外鉄鋼メーカーへの売却を提案し、先の国家安全保障に関する主張が策略だったことをほぼ認めた形となった。
ゴンカルベス氏は、日鉄と競うために工場を改修するよりも、工場を売った方が良いリターンが得られる可能性があると結論付けたのだろう。決めるのはクリーブランド・クリフスの取締役会と株主だと、WSJ。
関税があるにもかかわらず、クリーブランド・クリフスが今年、何百人もの従業員を解雇し、複数の工場の稼働を停止したことは注目に値する。
ゴンカルベス氏のためにこう言おう。少なくとも彼は、関税が普通の人に利益をもたらすと見せかけるようなことはしていないと、WSJ。
日本も含め各国との関税交渉が進み、延期されてきた実行期限終了も間近!
実行開始され、高関税となった製品の輸入が開始された時、輸入品の物価が高騰した米国の消費者や企業は、トランプ氏の関税政策にどのような反応を示すのでしょう。。。
# 冒頭の画像は、クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEO

この花の名前は、ブーゲンベリア
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